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春うらら
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「拝啓 厚生労働大臣さま」~ハローワーク障害者求人の闇に迫る~

精神障がい者就労支援事業所あれび庵
代表 太田幸治

拝啓
厚生労働大臣 柳沢伯夫さま
 安部内閣発足後、日も浅く、大臣としての任務を果たすべく日々奔走されている
ことと思われます。
 社会保障費抑制の問題、とりわけ年金の財源をどうしていくのか、政府として課題が
山積しており、日ごろのご公務、さぞやお忙しいかと存じます。
そんな中、たいへん恐縮ではございますが、本日は要望がございまして、
お手紙を差し上げました。
どうかご一読いただけますよう、よろしくお願いします。
 
 私は一介の福祉事業従事者でございます。
主に精神障がいのある人の「社会で働きたい」という気持ちを叶える仕事をして
おります。
 数年前に厚生省が労働省と合併し、障がいのある人が働きやすくなるものと
期待しました。
 ところが、大臣が管轄される公共職業安定所(ハローワーク)の様子をみると、
そうとも言い切れません。

 ハローワークは障害者求人情報提供の最大手でもあり、働くことを希望する
障がいのある人にとって砦とも言えます。
 そのハローワークが危機に瀕しているようにお見受けいたします。
そこで本日は、私が体験したハローワークの障害者求人窓口での出来事を
ご紹介しながら、障がいのある人がよりハローワークを活用しやすくなるよう改善点を
呈示しまして、大臣にご一考願えればと思う次第でございます。

事例1 求職に来た人に対して「今のあなたに紹介できる仕事はない」と言い切る職員
 まず職員の側に「障害者は働けない」という思い込みがあるのではないでしょうか。
私が精神障がいのある人の障害者登録に同行した時に体験したのは、
職員の方からの「精神障害者は最初は1日3時間、それから徐々に慣らして長くて
1日6時間。今のあなたに紹介できる仕事はないです。ショックを受けるといけないから
今のうちに言っておきます。まずは私との信頼関係を築くために1週間ごとに
ここに通ってください」という言葉でした。
私 が「この人は働けますから仕事を紹介してください」といくら言っても話は平行線。
言われた本人はけろっとしていて後日別の場所で仕事を見つけ働き始めてしまいました。
 たしかに精神障がいの特徴に「集中困難、疲れやすさ」がありますが、
すべての人に当てはまるわけではありません。
求職にわざわざ足を運んできた人に「仕事はない」と言える人の方がどうかしていると
私は思います。
ハローワークが自宅近くにあるケースはまれで、障がいのある人が電車やバスを
乗り継ぎ、大切なお金を使い、期待を胸に秘めて来たことをまずは窓口の人に
ねぎらっていただきたいのです。
求職に来た人に敬意を払い、「この人のために仕事を見つけてあげたい」という
意気込みを障害者窓口の職員には
見せていただきたいのです。
 また、ハローワーク職員との信頼関係は大事かもしれませんが
1週間に1度通っても就職が保障されるわけではないので、まずは職員が、
求職に来た人を信頼するのが先ではないかと思います。
 大臣さま、どうも窓口では主客が逆転し、サービスを受ける側が提供する側に気を
遣っているようです。
 精神障がいがある人の中には、過度に気を遣い、被害妄想が高まるという
特徴もあります。
 ハローワークは政府の市場化テスト案に組み込まれ、民営化されると聞いております。
どうかサービスの基本である「お客様は神様です」という言葉を今一度現場に
徹底させ、求職者に仕事を紹介するという基本業務に職員が精を出すうご指導よろしく
お願いします。

事例2 「週5日毎日作業所に行き、きちんとした生活のリズムを整えた上で、
やれるところを見せてくれないと、こっちも仕事を紹介できない●%★$@*¥・・・」

 前々大臣のときに国会でかなり議論され、
前大臣の時に可決された障害者自立支援法は障がいのある人の就労に力を入れて
いるのが特徴です。
 しかし、働ける力があるのに生活保護、障害基礎年金を受給していると、
なかなか仕事をしようという気になれない人が多いのも事実です。
特に40歳を過ぎると社会で働く意欲がわかないという人を作業所の中でよく目にします。
 そうした現状がある中で、「働きたい」という意欲を見せている人に厚生労働省は
エールを送るべきで、説教している場合ではないと思います。
事例1と関係するのですが、働きたい人の気持ちを受けとめるところから支援は出発
します。
 上の言葉は私が事例1とは別の市のハローワークの障害者窓口で30分以上にわたって
求職者とともに言われたうちの一部です。

 生活のリズムを整えることは大事で、朝から働きたければ日ごろから朝から
起きていないといざというときに体が動きません。
 しかし、作業所はもう退屈だし行く気になれず、
どうせ何もしていないなら働きたいと思うのは自然なことではないでしょうか。

 私が同行した人も作業所には一時期通いましたが作業に飽きてしまい通わなくなり、
家で過ごしていた人でした。
ただ説教するだけではなく、仕事が見つかったらモチベーションも上がり、
生活リズムも整っていくのではないかという視点を窓口の方に持っていただけると、
日ごろ社会と接点が少なくて困っている人も救われるのではないでしょうか。
 どんな人であれ仕事を探しに来た人には、可能な限り仕事を紹介していただきたいのです。

その先の「できる」「できない」は本人の問題です。

くれぐれも本人のやる気や挑戦意欲をそぐ言動だけには神経を遣って
いただきたいのです。

 大臣さまには、仕事に挑戦する意欲を持った人を表彰していただきたいのです。
就職を果たした障がいのある人、その障がいのある人を雇用した会社、
そしてその就職のつなぎ役となった窓口の職員を毎年表彰する制度を設けられたら、
様々な所でとても励みになると思います。
一人でも多くの障がい者が仕事に就きTAXPAYERとなれば、国のためにもなるはずです。

事例3 「ごめんなさい、これは身体障害者の方だけです」
 求職者がややこしい求人登録をくぐりぬけ、ようやく障害者用端末にて仕事を探し、
やっとの思いで求人票を見つけ窓口で面接の予約をしようとしたところ、職員から出た
言葉がこれです。
職員の方は丁重に「こちらのせいです」と謝っていましたが、相互に後味の悪さが残り
ます。
 企業の側からハローワークには採用条件として「障害の種別」「性別」などを
通達してきている場合があるみたいです。それを知らないのが求職者だけです。

 やっとの思いで見つけた一つの求人票が窓口で「これはダメです」と言われて
しまっては悲しくなりますよ。
寅さんではありませんが「それを言っちゃおしめぇよ」です。

 大臣さまも、狙っていた閣僚ポストが「あれは最初から女性と決まっているから無理」
と言われたら、どう思われますか。
私は採用条件をつける企業側を責めるつもりはなく、
最初から求人票に採用条件をわかるように記載していただきたいのです。

 採用条件を明記してしまうと法律に触れるのかもしれませんが、
ハローワークの側で最初から条件を見せない方が余程罪かと思います。
世は情報公開の時代です。公開せずに後悔するなら初めから公開しちゃいましょう。

事例4 「個人情報の問題がありますので郵送はダメです」
 これも不可解な一言でした。障害者求人登録をした人の障害者手帳の有効期限が
迫っていたために、更新後の手帳の写しが必要とのことで「郵送でもいいですか」と
聞いたところ、上の返事でした。
個人情報と郵送不可はどうしても結びつかず、
障害者求人の一切が窓口主義の横行によるものと私は結論付けました。
窓口に来ないとすべてが進まないというのは、障がいのある人にとって負担です。

 一般の求人検索ならインターネットでハローワークのホームページから簡単に
できるのですが、障害者求人はインターネット検索ができずにいます。
障がいのある人こそ在宅などで簡単に求人にアクセスでき、必要書類などもスキャナー
を利用して添付し登録できるようにすれば窓口に行く労力も減らせます。

 おそらくこうした試みはすでに実験段階に入っていると思われ、早期に実用化
されないと、厚生労働省が唱える「障害者雇用を促進させます」という言葉は空言
となると同時に、総責任者である大臣さまのやる気が疑われてしまいます。
 窓口申請は職員の側の都合だけでしかなく、登録する側は仕事さえ見つけられれば
いいわけで、障がいのある人へ余計な負担がかからぬようご配慮願います。

 大臣さま、これまでお目を通していただき、まことにありがとうございました。
現場で起きていることは大臣さまのお耳には届いていないのではないかと思われます。

 そこで、最後に提案があるのですが、大臣さまは「水戸黄門」というテレビドラマを
ご覧になったことはございますか。あの黄門様の風貌と大臣さまのお顔が私には
だぶります。

 ですので、大臣さまのような風格のある方が水戸黄門のように諸国を漫遊されながら、
求職者のふりをしてハローワーク窓口を視察されるというのはいかがでしょうか。
そして、その場で障がいのある人の訴えに耳を傾けられ、
職員を指導されるのがよいかと思われます。
 一方で、障がいのある人のために職場開拓や仕事紹介を熱心に
行っている職員にはぜひとも昇進、昇給などでねぎらっていただきたく存じます。
 今後とも経済活動に参加しようとする、障がいのある人への応援、
よろしくお願いします。

敬具

注:この書簡はアメディアレポート用に書かれたものであり、
実際に厚生労働大臣宛に送付はしておりません。

アメディアレポート

by amedia  at 10:08  | Permalink
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