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春うらら
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名古屋旅行記-ガイドブックにご用心(後編)

 2月13日、名古屋珍道中の続きです。
 かなりの長文になっていますが、お暇な時間にゆっくりお付き合いくださいませ。

 10時ちょっと前に名古屋駅に戻った私たちは、ガイドブックに載っていた別のモーニングサービスのことを思い出し、さらに闘志を燃やして挑みました。 これは、やはりドリンク料金だけで焼きたてパンが食べ放題のお店です。
 でも、前述したように、既に1.5人前ずつのモーニングを食べていた私たちは、当然そんなには食べられないのでどうしようかとは思ったのですが、やっぱりせっかくなので行ってみました。
 黒川から名古屋駅に戻るのに使った市営地下鉄東山線の南改札から近いところにあるサンロードに面した『シャポーブラン』というお店です。
 パンの食べ放題といっても、そんなにいろいろ楽しめるもんでもないだろうと思っていったらさにあらず。全てコロコロと一口大にカットされたパンたちなので、連れはコーヒー、私はココアで、何種類もの味のパンを堪能してこられました。まぁ、パンとしてはもっと美味しいところがいろいろあると思うのですが、やはりバイキングは楽しいのでした。
 こちらは、ドリンクがオール480円で、パンの食べ放題の他に、ゆで卵が一つ付きます。
モーニング:AM7:30~AM11:30
『シャホーブラン サンロード店』住所:愛知県名古屋市中村区名駅4-7-25サンロード地下街
TEL: 052-551-2551
 なお、この情報は、2005年に出たガイドブックの情報でも大丈夫でした。ま、ドリンクが100円上がってこの値段になっていたのですが。

 さて、朗読会を始めるための準備スタッフとの待ち合わせは12時です。
 この時点でまだ時間があったので、件の2005年番のガイドブックに従い、名古屋の駅ビルである『JRセントラルタワーズ』最上階の51回にあるという『パノラマハウス』という展望台に向かうことにしました。
 ガイドブックによると、地上245メートルのところにあり、天井まで6メートル、窓の高さが5メートルもある展望室で、360度の眺望が楽しめ、市内はもとより、アルプス連峰や御嶽山(おんたけさん)、伊勢湾も一望できると書かれているのです。
 私は全盲ですが、見える人と一緒の場合、その人の目でそれらの眺めを楽しんでもらい、その様子を聞くのが大好きなのです。だから、とても楽しみにしていきました。
 セントラルタワーズはツインタワーになっていて、高島屋のあるほうのより高いビルにあるはずです。
 ガイドブックに従い12回まで普通のエレベーターで移動し、底から展望台専用のエレベータに乗ります。
 ところがここで不思議なことが…。ガイドブックによれば、ここで大人は700円を支払わないと展望台にはいけないはずなのです。なのに、どこにもお金を払うところはなく、ただでエレベーターに乗れてしまったのです。上で払うのかなと思いながら行ってみましたが、降りたところにも何のチェック機構もありません。
 それどころか、なんと51回に降り立っても360度のパノラマなんて見えるような状態ではないのです。あるのは、エステ、美容室、カフェ、レストラン…。確かにそれぞれのお店に入ればそこの窓からの眺めは見事であるに違いありません。見れば、フロアーの天井もかなりの高さですから、ガイドブックに書かれていたフロアーに違いありません。
 狐につままれたような気持ちで12回に降りてきて、連れが見た物と私がガイドブックで調べた物をつき合わせてみると、ガイドブックには「パノラマハウス」と書かれていますが、そこにあったのは「パノラマサロン」なのでした。
 「きっと、商用で店舗として提供するほうが儲かるのかしらね」 などと寂しく想像しながら、いまさらのように本屋さんに立ち寄り、最新と思われるガイドブックを求める私と連れでした。
 もう時間もあまりなくなっていたので、ミニミニ名古屋観光はここで諦めて朗読会会場である盲導犬センターへと向かったのでした。

 後日、ゆっくり調べてみると、いやはやとても口惜しい事実を知りました。
 「パノラマハウス」は2005年9月で終了してしまったのですが、その理由が、なんとこのビルの道を挟んだ向かい側に新しいビル「ミッドランドスクエア」というのが完成し、地上245メートルの「パノラマハウス」より2メートル高い地上247メートルのところに、天井のない回廊式の展望室「スカイプロムナード」というのができたからだというのです。
 私は、この新しい展望室の存在を知らなかったため、ミニミニ名古屋観光を挫折のうちに終わってしまったのでしたが、そんなに近いところにそんなに素敵な展望室ができていたのなら、ぜひとも行ってみたかったものです。

 しかし、名古屋は逃げません。またそう遠くない時期に再訪して、こんどはお腹だけじゃなくて、心のスクリーンもしっかり満たしてきたいと思っています。

 そうそう、モーニングはいささか負け気味でしたが、翌日の夜、中日劇場の宝塚を堪能した後、地元の先輩に連れて行っていただいたお店で、しっかり名古屋飯を満喫しました。市営地下鉄名城線・東山線の栄駅の地下街にある『万年坂』というお蕎麦屋さんです。
 私たちがいただいたのは、その名もズバリ「名古屋名物定食」でした。天むす3個、味噌かつ、きしめん、お漬物でたったの千円!お腹いっぱいになったし、けっこう美味しいお店でした。定食類も充実しているし、リーズナブルだし、天むすのテイクアウトもあるし、近くに行ったら寄ってみると良いかもしれません。
 『万年坂 栄地下街店』
中区栄3-5-12 栄地下街
TEL: 052-971-6197
営業時間:11:00~21:00(L.O. 20:20)

 その後、遅い時間の新幹線に乗り込んだ私たちは、「尾張良いとこ一度はおいで」、いや、「終わり良ければ全て良し」といった充実感で、安眠しながら運ばれていったのでした。

 今回は、お店の情報をちょっと載せてみましたが、これもいつどうなるかわかりませんので、それぞれのお店にお越しの際は、一応電話で確認してみてくださいね、くれぐれも!実感を込めて!

(おわり)


P.S
 この記事を書くためにいろいろ調べ物をしていたら、面白いページを見つけましたので、貼り付けておきます。ぜひアクセスしてみてください。

車いす【くるみゃ~す】でいりゃあせ!名古屋めしバリアフリーマップ
http://www.crayon-box.jp/nagoyameshi/758meshi-index/topindex.htm

目の見えない子を支援するなら~点字定規セット「点字サポーターへの道」

(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 17:33  | Permalink

名古屋旅行記-ガイドブックにご用心(前編)

 2月13日・14日の2日間、名古屋に行ってきました。
 目的は、我が演劇結社ばっかりばっかりの初の地方公演としてのプチ朗読会と、そして大好きな宝塚の舞台を中日劇場で観劇することでした。
 その二つの目的は、十二分に果たすことができました。
 特に、朗読会へお越しいただいた皆さんには大感謝です。お楽しみいただけたようで、役者冥利に尽きました。この場をお借りして、お礼申し上げます。ありがとうございました!!

 さて、たった2日間のスケジュールでも、食いしん坊の私はしっかり名古屋名物を堪能したいと思いまして、ないーぶネットで落とした数冊のガイドブックでしっかり予習したつもりでした。
 特に心惹かれたのが、近年話題になっているサービス盛りだくさんの名古屋のカフェモーニング。通常のドリンクの値段、もしくはプラス100円くらいで、朝の時間帯のみ、セットメニューが楽しめるのです。
 中でも、バイキング形式で食べ放題の数店にはとても心惹かれ、さらにその中でも、『チェリー』というお店のモーニングバイキングは、焼きそばやパスタまで選べるとのことで、ぜひとも体験したくなりました。7時ちょっと前に夜行バスが名古屋駅に到着するやいなや、地下鉄2線乗り継いでまっしぐらに黒川駅へ向かいました。 ところが、7時半から空いているはずのこのお店が、8時ちょっと前になっていた
にも関わらず閉じたままなのです。連れによく見てもらうと、なんと9時からオープンとなっているではありませんか!
 愕然としながらも、その辺りの喫茶店数件を覗いて周り、地下鉄の入り口脇にあった『ツツミ』というお店の「赤卵付き」というのにちょっぴり興味を惹かれそこに落ち着くことにしました。
 店内に入ると、常連客らしきおじさんの一団が楽しげに語らっています。
 マスターもとても気さくな人で、「コーヒーでいい?ホットでいい?」と注文を取りに着ました。
 ちょっと圧倒されながらもそれでお任せしました。
 なんと、コーヒーに厚切りトーストと赤卵のゆで卵がついて、300円!しかも、どれもとても美味しい!赤卵の黄身って、本当に味がまろやかでコクがあるんですねぇ!
 それをいただいているうちに、ふと思いつきました。「9時まで待ってて、例のモーニングバイキングが始まったら、もう一度『チェリー』にいってみよう」と。
 なんとなく手持ち無沙汰になったので、久々にウィンナーコーヒーを飲んでみようかと注文すると、「モーニングはどうする?」との質問。なんと、この時間帯は、ドリンクの値段のみで、2杯目以降であってもトーストと卵が付くのです。
 自分の頭が止める間もなく、口は勝手に「お願いします!」と、小脳レベルで反応してました。
 というわけで、連れと二人で半分こにしましたが、既にこの時点で私たちは1.5人前ずつのモーニングをいただいてました。
 余談ですが、このお店、さらにびっくりしました。なんと、連れがトイレに行こうとしたら、「あ、うちはトイレがないから、地下鉄のに行ってね」と言われたのです!!もう、あまりのことに、怒るどころか、笑い転げてしまいました。
 結局、モーニング3人前で、締めて1050円でした。(コーヒー300円、ウィンナーコーヒー450円。味わい深いのは断然コーヒーのほうです!)
 『ツツミ』TEL  052-914-2661

 さて、『チェリー』です。
 ああ、なんと残念なことに、モーニングバイキングは跡形もなく消えうせて、飲み物の値段で厚切りトーストとゆで卵が付くという、名古屋としては普通のモーニングになってました。
 ということで、コーヒー350円のモーニングには「ごめんなさいね」と心の中でつぶやきつつ、黒川駅を後にしたのでした。

 それにしても、ガイドブックを鵜呑みにしてはいけませんね。もちろん、予め電話して確かめておけば良かったのですが、ネットでも話題になったままだったので、すっかり信じ切っていたのです。
 この記事を書くため、冷静になったいまお店に電話してみたら、
 「もう、モーニングバイキングは、6・7年前にやめたんですよ」
 とのお話しでした。
 ネットに慣れてしまい、パソコン点訳データに慣れてしまった私は、情報の確かさ、新しさを確認するところが抜けてしまっていたようで、大反省しつつも、各地のガイドブックが新版が出るつど点訳されたら良いのになと、心底願ってしまいました。

(つづく)

by amedia  at 18:23  | Permalink

春のバリアフリー上映会いろいろ

 久しぶりに、バリアフリー上映される映画の話題です。

 毎年3月辺りになると、調布映画祭とか日点チャリティ映画会など、画面の音声ガイド付きで映画を楽しめる機会が増えます。
 今回は、長野、大阪など、東京以外の情報も入っていますので、どうぞチェックしてみてください。


1. 調布シネサロン『豚と軍艦』(1961年、日活映画)
日時:2月9日(火曜日)
場所:調布市グリーンホール
(京王線調布駅中央口よりすぐ。)
上映開始:11時~と15時~の2回。(音声ガイド付き)

昨年10月享年76歳でお亡くなりになった南田洋子さんの代表作の一つです。
『うなぎ』でベルリン国際映画祭グランプリに輝いた巨匠・今村昌平監督が、戦後の安保体制の下、混迷しながら欲望の道へと突き進む日本人の姿を基地ヤクザにたとえ、痛切に批判した社会派ドラマです。

 ※ ちょこっと出てくる字幕を、美月も朗読しています。


2. 『ブタがいた教室』
日時:2010年2月27日(土)
時間:午前10時半~と午後2時~の2回
会場:飯田文化会館 (飯田市)
料金:高校生以上前売り1000円(当日1500円)小中学生800円(当日同額)
お問い合わせ
NPO法人飯田ボランティア協会
TEL:0265-52-9152

 新任教師と26人の小学生が挑んだ「ブタを食べる授業」。卒業までの1年間、子供たちが真剣に命と向き合った感動の実話を映画化した作品です。
出演は、妻夫木 聡(つまぶきさとし)、原田 美枝子、大杉 漣、田畑 智子ほか


3. 『その木戸を通って』
日時:2月27日(土)午後1時30分~4時
会場:日本ライトハウス4階会議室1・2
参加費:500円(ガイド一人無料)
定員:70人
 ※上映後「地デジの説明会」を予定しています。ぜひご参加ください。
お問い合わせ・お申し込み
 電話 10日(水)午後5時までに総務係(電話06-6441-0015)まで。
 Eメール 2月10日(水)までに、
warouza@iccb.jp
へ。
 題名に「わろう座2月申込み」と書き、氏名と電話番号、ガイド の有無を書いてください。

 70数本におよぶ市川崑作品の中で、ただ一本未公開となっていた幻の逸品です。
 城勤めをしながら、出世のための縁談を進める侍と、彼の屋敷に突然現れた記憶喪失の女“ふさ”の物語を描きます。
少し不思議で、やがて切ない‥‥崑監督の美学が隅々まで感じられる作品です。
 出演は浅野ゆう子、中井貴一、フランキー堺ほか。


4. 調布映画祭2010 音声ガイド付き上映3作品
会場:調布市グリーンホール/調布市文化会館たづくり
   (京王線調布駅中央口(南側出口)より 徒歩3分以内)
日程:3月6日(土)・7日(日)
料金:無料

主催:調布市 (財)調布市文化・コミュニティ振興財団
運営:調布映画祭2010実行委員会
音声ガイド協力: シティ・ライツ/川崎市アートセンター

◆プログラム━━━━━━━
A:3月6日(土曜日) 15時50分~17時47分 
会場:調布市グリーンホール 大ホール(定員800名)
『グラン・トリノ』 2007年/アメリカ映画/117分  
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド ビー・ヴァン ブライアン・ヘイリーほか

B:3月7日(日) 10時20分~11時54分 
会場:調布市文化会館たづくり 2F くすのきホール
『静かなる決闘』 1949年/日本映画/94分  
監督:黒澤 明 
出演:三船 敏郎、三條 美紀、志村 喬、植村 謙二郎、千石 規子ほか

C:3月7日(日)12時35分~14時34分 
会場:調布市文化会館たづくり 2F くすのきホール
『トウキョウソナタ』 2008年/日本映画/119分
監督:黒澤 清 
出演:香川 照之 小泉 今日子 役所 広司ほか

■お申し込み■ 
[※お申し込み〆きりは、2月末日まで ]

宛先
chofu@citylights01.org
件名
鑑賞希望作品のアルファベットを明記してください。

本文に、以下のことを明記してください。
1.氏名
2.人数(障害者と晴眼者の内訳)
3.連絡先(誘導希望の方は、当日連絡のとれる携帯番号)
4.誘導の要・不要
5.ラジオ貸出の希望

電話:シティ・ライツ事務局  03-3917-1995

※音声ガイド付き上映作品以外にも、多数の映画が上映されています。
調布映画祭2010ホームページ
http://www.chofu-culture-community.org/forms/info/info.aspx?info_id=14928

※ 調布映画祭の作品に関する内容紹介は省略しました。お知りになりたい方は美月までメールしてください。


5. 日点春のチャリティ映画会『ディア・ドクター』
日時:2010年3月26日(金)19時開演(18:30開場/21:07終焉予定)
会場:なかのZERO大ホール
    (JR及び東京メトロ東西線中野駅南口より徒歩8分)
入場料:1,500円
※FM電波による音声解説と、聴覚障害者向け日本語字幕付
 当日は、西川美和監督の舞台挨拶も予定されているそうです。
お問い合わせ・お申し込み
電話:03-3209-0241(日本点字図書館)


なお、シティライツが関わっている調布シネサロンと調布映画祭をご鑑賞される方は、お手持ちのイヤフォン付きFMラジオをご持参ください。FM周波数88.5MHzで、場面説明・字幕朗読の音声ガイドをお聞きいただけます。
※ お持ちでない方には、貸し出し用のラジオもご用意しております。


 以上、ザザッとご紹介してきましたが、4月29日の昭和の日には、シティライツ
としてのビッグイベント『第三回シティライツ映画祭』が、都内・領国の江戸東京博
物館大ホールで行なわれます。邦画『虹をつかむ男』と、アメリカのミュージカル映
画『雨に唄えば』を予定しています。こちらに関するお知らせは、今暫くお待ちくだ
さい。ただ一つ言えるのは、明るい初夏にぴったりの楽しい作品だということです。
どうぞお楽しみに!!

by amedia  at 15:57  | Permalink

あの、私なんですけど…?

 視覚障害者にとってはミミタコな話題で失礼します。
 よく、「視覚障害者は人の顔を見て話さない」などと言われます。これは、一般常識に照らしてみればやはりあまり感じの良いことではありません。
 しかし、人によっては、横を向いている形でも、それこそ文字通り“耳を傾けて”
真剣にお話しを聞いていることもあるのです。私も、本当に相手の話を聞きたいと思うと、そうしたくなるのですが、形で捕らえ目を合わせることを“真剣”と捕らえる晴眼者の文化に合わせることにしています。それは、私の話もちゃんと聞いてほしいからです。

 しかし、こちらが一所懸命そうしようとしているにも関わらず、晴眼者の中には、視覚障害者が晴眼者の連れと一緒にいると、そちらにだけ話しかける人が多くいます。
 昨日もそうでした。NTTドコモに、携帯の充電の具合が悪いので見てほしいと思って行ったのですが、そのついでにキャンペーンに関する説明をしてきたスタッフ、なぜか私にでなく連れに話しかけ説明しようとしています。思わず、 「あの、私なんですけど…?」
と言うと、慌ててこちらに向きを変え説明し始めました。

 これは、ドコモに限らず、役所や買い物先などでもときどきあることです。
 昨日はそれ以上の不愉快な想いはしなかったのですが、場合によってはこれに加えて、こちらに顔を近づけ、幼児に話しかけるような調子で「わかりまちゅか」といわんばかりの説明をされたり、声を大きくしてゆーっくり説明されたりするという、ちょっと屈辱的な対応をされることもあります。同じ人の対応を何度か受けていくうちに徐々に変わっていってくれるケースもありますが、1回限りの接触だとそれを正す
間もなくて、「またこの人と接して嫌な想いをしてしまう障害者がいるのだろうな」と思いながら、正せなかった自分を反省してしまうこともあったりします。
 今まではあまり意識せず流してしまうことが多かったのですが、自分だけのことではないはずなので今後は面倒がらずに、今回ドコモでやったように、きちんとこちらを向いてもらえるような言葉を発していかなければと思っています。

 今回話題にさせていただいたような経験をお持ちの方は少なくないはずです。読者
の皆さんの経験談や対応など、よろしかったらお聞かせくださいね。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 16:42  | Permalink

今年の夢の第1歩とその礎

 前回のコラムの続きのようですが、今年こそはの第1歩について、中京地区方面の皆さんへのお知らせからスタートします。

 念願だったばっかりばっかりの地方公演の第1弾として、名古屋でごく小さな朗読会を行います。

 『ばっかりばっかり、朗読とおしゃべりの午後』
日時  2010年2月13日(土曜日) 午後2時から4時半。
場所  中部盲導犬協会盲導犬訓練センターボランティア交流室(愛知県名古屋市港区寛政町3-41-1)
交通  名古屋駅から、「あおなみ線」にて「荒子川公園」駅下車。徒歩3分。
 (ご希望により、最寄駅からの誘導をいたします。名古屋駅での合流をご希望の方は、別途ご相談ください)
出演:演劇結社ばっかりばっかり・鈴木大輔、美月めぐみ
内容:絵本から時代物まで、バラエティに富んだストーリーの朗読と、気楽なおしゃべりによる交流会。
料金  千円(おやつ代と同センターへの寄付)
定員  20名(完全予約制、定員に達し次第締め切ります)

 ご予約は、演劇結社ばっかりばっかり宛てにメールかお電話でお申し込みください。
 その際、お名前、人数、誘導希望の有無をお知らせください。

お問合せ・ご予約
TEL 090-3818-6424
Eメール otegami@bakkaribakkari.net

 中京地区周辺にお住まいの皆さんとお目にかかれるのを楽しみにしております。
 と、ここまでがお知らせでした。

 この企画の、私の気持ちとしての礎は、日本点字図書館、通称「日点」(にってん)が発行している『日点デイジーマガジン』の中の『ホームライフ』という婦人向け雑誌の1コーナーを担当させていただいているということにもあります。3ヶ月に1度の担当になりますが、『日々の暮らしに』というコーナーで、文字通り、日々の暮らしの中で関心を持ったことについて10分ほど一人で語るフリートークのコーナーです。
 もちろん、本誌『週刊福祉情報』や姉妹誌『アメディアレポート』を通じて全国の皆さんに私の拙い文章とお付き合いいただいているということもありますし、アメディアをはじめ、幾つかのメーリングリストを通じて双方向のメールのやり取りをさせていただいていることもありますが、このデイジーマガジンでは、実際の私の肉声をお聞きいただいているということもあり、より身近に感じていただけているのではな
いかと思うのです。
 そうなったら、やはり朗読や芝居にも接していただきたいという気持ちもふつふつと湧いてくるわけです。
 旅費や宿泊費、また会場を探すなど、いろいろな壁があり、なかなか東京周辺から飛び出すことができないのが現実なのですが、今回は私用での名古屋への旅があったので、思い切って地元の友人に相談に乗っていただき実現できたのです。
 ご参加いただける人数には限りがありますが、お気軽に、そしてお早めにご連絡いただければ幸いです。

 最後に、デイジーとは何か、そして『日点デイジーマガジン』とはどんなものかを簡単にご紹介しておきましょう。
いまさらと言われる向きも多いでしょうが、ご存知ない方のために、(財)日本障害者リハビリテーション協会、略称JSRPDのHP、http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/
から一部引用してデイジー(DAISY)について解説してみますと…。
 DAISYとは、“Digital Accessible Information SYstem”の略称&通称で、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためにカセットに代わるディジタル録音図書の国際標準規格として開発された素晴らしいアクセシビリティを実現させたシステムです。
 DAISY録音図書の特徴のうち、視覚障害者がその恩恵に預かる物として、以下の3点が挙げられます。
1. 目次から読みたい章や節、任意のページに飛ぶことができる。
2. MP3などの最新の圧縮技術で一枚のCDに50時間以上も収録が可能。
3. 声の高さが変わらない状態で倍速以上の早聞きができる

 というわけで、この素晴らしい機能を利用すれば、手分けして作られた録音雑誌を複数収録して1枚のCDマガジンとして配布することが可能になり、それを実行してできたのがこの『日点デイジーマガジン』なのです。
 この中には、私が関わらせていただいている上記婦人雑誌『ホームライフ』の他に『にってんボイス』『ブックウェーブ』『ニュー用具タイムズ』『医学研究』『文藝春秋全文朗読版』。といった録音雑誌が、計50時間分ほど収録されています。購読は無料です。
 詳しくは下記ページをご参照ください。
http://www.nittento.or.jp/kasidasi/cd_magazine.htm

 なお、次回の『日々の暮らしに』の私の担当は2月号です。他の月のパーソナリティのお二人のトークと合わせて、どうぞお楽しみください。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)


by amedia  at 16:19  | Permalink

小さな夢、大きな夢

 皆さん、あけましておめでとうございます。
 今年もどうぞ、『週刊福祉情報』を、そしてこのコラムをじっくりお楽しみください。

 さて、新年最初の話題は「夢」です。
 皆さんは初夢を見ましたか?どんな夢だったのでしょうか。
 とは言いつつ、初夢っていつ見るのを言うのだろうと常に疑問に思っていたのでwikipediaで調べてみたところ、どうやら諸説あり、大晦日から元日の間、元日から2日の間、2日から3日の間となっています。
 で、とりあえずの主流派1日から2日の間のようなので、それを思い出してみようとしたのですが、どうにもこうにも思い出せません。ただ、キーワードとして富士山が入っていたような気が、うっすらとしています。
 ご存知のように、「一富士、二鷹、三茄子(いちふじ、にたか、さんなすび)」というのが良い夢とされているのですが、もしかすると今年はとっても良い年になるのかななどと新年早々わくわくしました。
 ちなみにwikipediaによると、四以降もあるそうですが、これも諸説あるそうです。一般的な物としては、
「四扇、五煙草、六座頭(しせん、ごたばこ、ろくざとう)」なんですって。座頭って、俗に盲人のことを指しますよね。もちろん厳密にいうと盲人全般じゃないんですけど、なんか良い夢の末端にあるのが面白いですね。でも、理由が駄洒落なんです。
「座頭=坊主頭→毛がない→怪我ない」なんだそうです。それで私は逆に知りました。座頭って、坊主頭なんですね!
 初夢についてのwikipediaの項目はこちらを参照してください。、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%9D%E5%A4%A2

 さて、ここまでトリビア的な雑談を書いてしまいましたが、せっかくですので、演劇結社ばっかりばっかり所属の舞台役者である私の夢を語らせてください。

 まず、今年の抱負といったような身近で小さな夢です。
 今年は、東京周辺だけでなく、ちょっと離れた都市での公演を、朗読会でもいいから開いてみたいと思っています。そして、いろいろな人たちと交流できたらいいなと願っています。
 その先駆けとして、2月にごく小さな朗読会を名古屋で開いてみようと思っていますが、本当に小規模なので一般向けにお声がけするのは難しいかもしれません。まずはとっかかりとして足を踏み出すことが大事だと思うので、チャレンジです。
 それから、今年の秋の芝居では、聴覚障害の方へのバリアフリーを研究すると共に、手話のこと、聞こえない世界のことをもっと知りたいと思っています。もちろん、盲ろう二重障害の方たちへの配慮についても、引き続き考えていきたいと思っています。
 こういったことは、自らの努力の積み重ねで実現し得る夢です。もちろん、協力してくださる方があるからこそ実現できることではあるのですが、そのご縁を大事にしていくこととか、学ぶ気持ちとか、そういったことの一つ一つが大切な「自らの努力」なのです。

 そうして積み上げていきながら実現していく小さな夢が更に重なっていけば、私たちの生み出すエンターテインメントを多くの人に知っていただく機会が、もっと多くのメディアに広がっていくかもしれないし、それによってそのエンターテインメントを生み出す側、それを受け取る側にいる障害者の人たちのバリアが取り払われていくきっかけになっていくかもしれません。
 今は「かもしれません」という形で可能性を語ることしかできませんが、ぜひとも現実の物にしていきたいと考えています。それが私の大きな夢なのです。
 そして、舞台上で、TV上で、スクリーン上で、一般の人の中に当たり前のように障害者が混在する情景を描き出すことによって、それを社会にフィードバックして、どんな集団の中にも普通に障害者が混在できる社会が現出したらどんなに素晴らしいだろうと、大きく大きく夢想しながら、今年も1歩ずつ着実に歩いていきたいと思っている美月なのです。

 ということで、本年も宜しくお付き合いくださいませ。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 17:16  | Permalink

30年近い時を越えて

30年近い時を越えて
(美月めぐみ)

 昨日、恒例のアメディアフェアが開催され、私は相方の鈴木大輔と共に、今年も司会を務めさせていただきました。
 このアメディアフェア、なんと今年で第20回!!うーん、私もそれなりの年齢になるわけだ。ふぅー。

 そんな想いを胸に秘めつつ、浅草橋の東商センターの会場で朝1でお迎えしたゲストが、東京大学教授の福島智先生。ご存知の方も多いかと思いますが、福島先生は盲ろう二重障害の身でありながら、都立大学を卒業後、金沢大学助教授、東京大学助教授を経て、現在は同大学の教授となられた方です。
 この福島先生の講演『点字が切り開いた我が人生』が、今回のアメディアフェアのイベントのメインディッシュでした。
 福島先生は、とにかくお話しが楽しいので、司会の身でありながら、私は前々からとても楽しみにしていました。

 そして登壇されるに当たってのご紹介で、私は見事に会場の皆さんに告白しました。じつは、私は筑波大学附属盲学校の高等部普通化にいたころ、福島君とクラスメイトだった時期があることを!同じ教室で机を並べていた仲間でも、かたや天下の東大の
教授先生、かたやしがないバイト人をしながらの役者生活、みたいなことを言ったら、
会場からしっかり笑いをいただきました。
 そんなわけで、オフィシャルなプロフィール紹介ではやむなく「福島先生」という呼称を使ったものの、プライベートな話題になったときには、ついつい「福島君」とかニックネームである「トム」とか呼びそうになるところを、ぐっと堪えて「福島さん」と申し上げてました。(笑)

 今回のお話しの内容は、主に高校時代、既に失っていた視力に加え、聴力まで奪われていった過程とそのときの気持ち、そんな中で孤独になっていく魂を救ってくれた点字の本たちの話、そしてお母様が突然彼の指に指を重ねて点字タイプのように言葉をつむぎ出した「指点字」の始まりのこと。そこから想いを馳せて、バルビエの軍用文字から視覚障害の青年ルイ・ブライユが今の点字の原型を作ってくれたことへの感謝の気持ちまで語られましたが、私のような視覚単一障害の者たちよりも遥かに重み
のある言葉でした。

 印象に残ったことが幾つかあります。
 指点字を使うようになっても、トランプなどをしていて今一つ面白くない状況に突き当たり、ゲームその物が可能かどうかの問題ではなく、そこでゲーム参加者各自が発する言葉やちょっとした反応などに接することができないのがつまらなさの原因であることに思い至ったこと、それに気づいたのが、1対1のやり取りにだけ指点字を使うのでなく、他の人が話したことを“通訳”してもらうようになって、もう一度ト
ランプをやりながら楽しさを取り戻したときだったということ。
 また、実家で悶々としていたときに神戸の点字図書館から借りられた本は名著・名作の文学
らしい文学に偏り、芥川、太宰、三島、川端など「あれ?もしかして…!」と思わされるラインナップの本たちによって、、海底まで沈みこんだ後、その海底の砂を蹴って浮上できたと感じたこと。この2点は、非常に胸に刺さりました。

 そして、何より心打たれたのは、聴力と耳の良し悪しは違うのだと改めて感じさせられたこんな一言でした。
 「聞こえなくなってから知り合った人は、直接指点字で語り合っても声として想像ができないけれど、会場にいる人の中で、美月さんの声だけが、20うん年前の若々しい声のまま再現されてます。なぜなら、美月さんとは聞こえていた頃に知り合っていたからです。」
 「なるほど」と思うと同時に、私はあるコンサートを思い出していました。聞こえていた頃、とてもよく響く素敵な声で、見事なピアニストっぷりで弾き語りしていた福島君が、聞こえなくなって暫く経ってからのそのコンサートで、歌こそ歌わなかったものの、見事なピアノ演奏を披露していたことです。
 彼の耳には、聞こえていた頃の蓄積があり、それを30年近く経った今でも、頭の中で再生できるのだと気づき、変な言い方ですが、とても耳の良い人なのだと思ったのでした。

 その他にも、ハイテク機器の進歩は盲ろうの人たちにとっては必ずしもありがたいことばかりではないという事例として語られた、音声体重計の登場によって触読式の体重計が手に入らなくなり何十年前かに買った体重計を使い続けている話や、指点字通訳など必要な援助を受けるための社会制度が確立されていないことなど、本当に盲ろうの人の目線に経つと、解決したり切り開いたりしていかねばならない問題が山積しているのだと、今回の講演を通して、改めて認識できました。

 そんな困難な話を、会場に笑いを振りまきながらさわやかに語る福島君は、今や東大教授!状況を見つめなおしながら、私は、元クラスメイトとしての誇らしさだけでなく、本当にグレートな人なのだと心から思えた講演でした。
 福島先生、月並みな言葉しか出てこないわたしのボキャブラリーの貧困さを呪いたくなるけれど、これからもどうか元気に頑張っていってほしいと願っていますよ!

 さて、このコラムは、今年最後のコラムとなりました。
 読者の皆さん、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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親子で楽しむ冬休み

 私自身の活動の都合上、どうしてもエンターテインメント系の話題に偏ってしまうことをお許しくださいね。
 今回は、親子のどちらかが目が不自由なファミリーが、共通の話題で盛り上がれる映像メディアのお話しです。

 以前から私が話題にしているバリアフリー映画鑑賞推進団体CityLightsは、「音声ガイド」という画面の説明を、ライブ、ないし録音した音声をFM電波に載せて送信し、それを視覚障害の観客がポケットラジオのイヤフォンで聞きながら映画を楽しむという活動をメインにしています。
 でも、じつはこれ、大人向けの作品ばかりを取り上げているわけではありません。
 来週末の土日には、それぞれファミリーで楽しめる映画の同行鑑賞会が企画されています。
 今回は、その鑑賞会のご案内です。

 一つ目 『カールじいさんの空飛ぶ家』
劇場: ユナイテッドシネマ としまえん
日時: 12月26日(土) 午後の回お希望中(時間は22日に決定)
集合: 上映一時間くらい前に、西武池袋線豊島園駅改札、
    もしくは大江戸線豊島園駅改札

 内容はこちらをご参照ください。(urlが複数行にまたっていたら、つなげてから
アクセスしてください)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%98%E3%81%84%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E7%A9%BA%E9%A3%9B%E3%81%B6%E5%AE%B6

 【申込方法】
以下の内容に従って、メールでお申し込みください。
件名に『カールじいさん』申し込み、もしくは仮参加と書いて宛先は同行鑑賞会専用アドレス doukou@citylights01.org

 ▼本文に以下1~7の項目を明記してください。
1:お名前(ハンドル名でも可)
2:申し込み、または仮参加
3:参加人数(複数人数で参加の方は、視覚障害者と晴眼者の内訳)
4:誘導の要・不要(晴眼者の方は、誘導ボラとご記入ください。)
5:集合場所(西武線・大江戸線)
6:当日連絡が取れる電話番号、
7:お茶会参加の有無(予定変更になる場合は早めにお知らせください。)


 二つ目 『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』
劇場: 新宿武蔵野館
日時: 12月27日(日) 午後最初の回(時間は21日に決定)
集合: 上映一時間くらい前にJR新宿駅東口改札。
    (中央東口とお間違えにならないように)

 内容はこちらをご参照ください。(urlが複数行にまたっていたら、つなげてから
アクセスしてください)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%80%AA%E7%8D%A3%E3%83%90%E3%83%88%E
3%83%AB_%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E9%8A%80%E6%B2%B3%E4%BC%9D%E8%A
A%AC_THE_MOVIE

 【申込方法】
以下の内容に従って、メールでお申し込みください。

件名に『ウルトラ』申し込み、もしくは仮参加と書いて
宛先は同行鑑賞会専用アドレス doukou@citylights01.org

 ▼本文に以下1~6の項目を明記してください。
1:お名前(ハンドル名でも可)
2:申し込み、または仮参加
3:参加人数(複数人数で参加の方は、視覚障害者と晴眼者の内訳)
4:誘導の要・不要(晴眼者の方は、誘導ボラとご記入ください。)
5:当日連絡が取れる電話番号、
6:お茶会参加の有無(予定変更になる場合は早めにお知らせください。)

 【申込締切】
 一つ目と二つ目、共に12月23日(水) 24時
※誘導をご希望の方で、参加したいが時間による。でも鑑賞希望ではある。
という方も、ボランティア確保の都合上、ひとまず仮参加の連絡をください。
 上映時間決定後、受付担当者より、参加確認メールを差し上げますので、
最終締切日の12月23日 24時までにご返信ください。
※参加を予定している方は、速やかなお申し込みにご協力お願いいたします!
※集合場所以外の待ち合わせは対応することができません。ご了承ください。

持ち物: FMラジオ、鑑賞料 1000円。(晴眼者も一律)
ガイド方式: 音声ガイドはライブの実況で行います。
       ラジオは、FM周波数88.5MHzに合わせて下さい。

 普段の生活空間とは懸け離れた状況のアニメや特撮は、ちゃんと理解するにはどうしても音声ガイドが不可欠です。目の不自由なお母さん・お父さんと晴眼者のお子さん、その逆で晴眼者のお母さん・お父さんと目の不自由なお子さんにも、ぜひこの機会に鑑賞会に参加していただき、冬休みの素敵な体験にしていただけたらと想いましてご案内してみました。
 ちなみに、小さいときの私のように、画面解説なしで音声だけで聞いて分かった気になってると、その作品がアニメなのか特撮なのかも分かっていないということにもなりかねませんので、一言お伝えしておくと、一つ目の『カールじいさんの空飛ぶ家』はアメリカで製作されたアニメ映画で、二つ目の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は私が物心付く寸前からシリーズが始まったバリバリの国産特撮tvドラマ『ウルトラマン』シリーズの流れを汲む特撮映画です。

 今回の話題は、東京周辺の人にのみ有益といった感じになってしまいましたが、全国ネットのTV番組も頑張ってくれています。
 日テレ系アニメ『それいけ!アンパンマン』やNHK教育テレビの道徳の授業のための人形劇『ざわざわ森のがんこちゃん』など子供向けの番組にも、副音声による楽しい画面解説が付くようになっています。大前提のキャラクターの姿形などを説明するシチュエイションがないのはかなり残念ではありますが、ストーリーとしてはばっちりです。
 こういった番組の情報にもアンテナを向けて、家族の会話を弾ませてみてはいかがでしょうか。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)


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『さなぎの時代』レポート(3、最終回)

ついに、『さなぎの時代』の公演から一月以上過ぎてしまいました。早いものですねぇ!

 ということで、この話題もここまでで終わりなのですが、今回は客演で重要な役割を担ってくれた“彼女”の文章もありますので、最後までお読みいただければ幸いです。

 さて、私のやった役、五十嵐由香奈(いがらし ゆかな)が登場する経緯を話そうとすると、物語の核心部分に触れてしまうので、簡単にいきます。
 由香奈は、中途失明で、あきらの盲学校時代のルームメイトだった女性です。今は、都内にある「アイゾーン」というITショップで働いています。(笑)芝居の後半に出てきて、悠稀の部屋のパソコンにスキャナをつないだり、ソフトをインストールしたり、そして使い方の指導までしていく、ほんわか明るいお姉さんといった役どころ。一部の友人からは、「めーたんが今までやった役の中で、一番めーたん自身に近
いイメージだったね」と言われました。(てれ笑)
 また、最近知り合ったばかりの晴眼者の友人からは「なんであんなにしゃきしゃきセッティングできるの?」と驚いてもらえました。「なんちゃってセッティング」だったんですけどね。(笑)

 そして、これはもう、超核心部分なので説明をオミットすることも大変なんですが、由香奈の弟(原作では兄)で、実は悠稀のスキー仲間だったことが判明する五十嵐貴也(いがらし たかや)が、悠稀に対する手紙を読み上げる場面が出てきます。
 あきらという存在の登場と共に、この手紙が悠稀を変える物になっているのですが、この貴也を演じたのが、ばっかりばっかりレギュラーメンバーの実力派・石津正幸でした。
 芝居巧者な石津は、今回は細かい役をいろいろ担当していましたが、この最後のほうに出てくる貴也がメインです。
 他には、劇外劇の喫茶店のウェイター、悠稀に失明宣告をする眼科医、そして本人も周りも一番楽しんでいた謎のタクシー運転手を演じていました。運転手は、毎回のアドリブがとにかく楽しかったので、2回観にいらしてくださったお客さんも、新鮮な楽しみを得られたことでしょう。

 というわけで、10年前に『メディアナウ』に連載させていただいた拙作は、和風まくだ煮Lのアイディアがギュギュッと詰まった脚本と、8人の素晴らしい仲間たちのアンサンブルの良さで、活き活きとした素敵な舞台となりました。

 この場をお借りして、素敵な仲間たち、関わってくださった全てのスタッフさんたち、協力・協賛してくださった方々、そして当日観にきてくださった皆様に、心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました!!

 また、今回お越しいただけなかった皆様も、私たちはいつでもお待ちしておりますので、次回の公演にはぜひいらしてくださいね!そして、視覚の有無を超えて、共に芝居を作る仲間たちを、共に楽しむ客席の雰囲気を、ぜひ味わってみてください。

 では最後に、今回客演で入ってくれた私の親友、佐藤敏美さんからのメッセージを掲載させていただいて、連載を締めたいと思います。


【「さなぎの時代」で生きて。】
 この脚本の原作である「さなぎの時代」を美月さんから読ませてもらったのは、彼女と知り合ってから、まだ日が浅かった頃。
 作品中の人々のあたたかさ、勢いのある展開は、まさに美月さんのひととなりを現すように心地よく、物語がすーっと心に沁み込んできたことを思い出します。その小気味よさは、脚本となり、さらに進化したお芝居に転じ、大成功で公演を終えました。

 このたび配役して戴いた「あきら」の「先天盲で声楽家」という設定は、たいへん難しいものでしたが、それらを模索し、「私の中にいるあきら」にあてはめていく作業は、思い悩みつつもやりがいのある大きな喜びでした。
自分にないそれらの特徴について考え、感じようとすることは、そういった特徴を持つ友人達に想いを寄せることでもあったからです。

 そして、公演を観た友人達の感想、「視覚障害者向けと聞いていたが、お芝居は内容についていけないことが多い私向けでもあった。
舞台や状況の説明で楽しめた」「小学生の子どもが心配だったが、帰りの電車では笑顔で会話が弾んだ」更には、公演一日目に若いお嫁さんと観劇した友人が「良かったから」と、二日目には高齢のお母様を伴って、再度足を運んでくれた事などは、この公演が視覚の有無に限らず、様々な人に柔軟に受け入れられ楽しんでもらえた証として大切な宝物です。

 このような柔らかな想いと楽しい笑いにつつまれた公演に招かれ、「あきら」として生きることができたことに心から感謝しています。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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『さなぎの時代』レポート(2)

 本文に入る前に、ちょっと語らせてください。
 先週は、急にコラム欄をお休みしてしまい、大変失礼しました。「鬼の霍乱」と言われそうですが、寝込んでしまいました。
 じつは、私が芸名を決めるに際してその音だけいただいて当て字させていただいたという、敬愛して止まない舞台人、元宝塚花組トップスターの大浦みずきさんが、去る11月14日に53歳の若さで他界されたのです。肺がんでした。
 その訃報を受けて以来、毎日毎日思い出しては涙に暮れているうちに、体のほうもまいってしまったようです。今週に入り、ようやく体調の回復と共に立ち直ることができてきたところです。
 他のメディアでも書いたのですが、いつまでもめそめそせず、新たな舞台に向けてちんと立ち上がることこそ、彼女への最大の供養になり、いつしか私自身が死を迎えたときに、彼女に恥じることなく旅立つことができるようになるのではないかと、そう考えるようになれました。
 そして、ようやく心から言えるようになりました。「大浦さん、私に舞台に立つ勇気と希望を与えてくださって、本当にありがとうございました!!どうぞ、安らかに眠ってください。心からご冥福をお祈りします!」

 さて、ここからは前回・先々週のコラムの続きです。
 去る11月7日・8日に行いました、私の所属する『演劇結社ばっかりばっかり』の芝居公演『さなぎの時代』のご紹介です。

 次に、母親聡子がピアノの出張稽古先から連れ帰った青年・杉山あきらが、初めはさわやか好青年として悠稀の部屋に現れますが、聡子が姿を消したとたん、「お前、昼間っからベッドに埋もれてるなんて、スケベなヤツだなぁ!」と、いきなり悠稀のタオルケットを引っぺがします!
 のみならず、彼は、「かーぐわしいー百合の花ー」と口から出任せの歌を裏声の高音で歌い始めます。
 母聡子の音大の後輩に当たるというこの青年が、やけに威勢が良く、福祉にも詳しく、そして母と親しげであることにくやしさを感じる悠稀。
 ところが話が進んでいくと、あきらは全盲の声楽家であることが判明します。

 このあきら役を担当したのが、私の10年弱前からの大事な友人・佐藤敏美さんでした。細身で長身、まろやかな低音の声の彼女の陰のニックネームは「オスカル様」。その中性的な魅力でまたまたファンを増やしたようです。ここ数年前から取り組んでいる市民ミュージカルで鍛えてきた歌唱は綺麗なファルセットもよく通る地声も生かされていて、歌手であるあきら役にぴったりでした。
 また、彼女は晴眼者なのですが、私たちとの付き合いも長いこともあり、視覚障害者に混じって視覚障害者を演じていても、さほど違和感はなかったようです。
 (さすがにその逆、つまり、視覚障害者が晴眼者に混じって晴眼者を演じるのは、お客様に対しての違和感は否めないので、うちの劇団ではやりませんが)

 この公演は、このメルマガの発行元でもある(株)アメディアが協賛に入ってくださていましたが、あきらはアメディア商品を初めとする視覚障害者向けIT関連機器の説明も含め、悠稀に新しいことをいろいろと教え、風のように彼の中の霧を吹き払い、太陽のように彼を暖め、凍てついた心を溶かしていきます。

 その後、エリカとの波乱なども含めて、話はそっちこっちに転がりながらも、着実に明るいほうへと変化していきます。
 この明暗というか暗明(?)は、照明の工夫でさらに強調されていました。というのも、ストーリーの最初のほうでは、照明はほとんど悠稀自信のことしか映し出していないのですが、心に映る風景や人の顔などが、だんだんはっきりしてくるにつれて照明もはっきりとした物になっていくのです。
 また、その様子を含め、このストーリーが映画であるという体で描かれている芝居ですので、冒頭で音声ガイド製作を依頼された“大輔”が、舞台上の別空間に小さなデスクとその上にポータブル型のDVDプレイヤーを置いて、その場で適宜音声ガイドを挿入したり、客席に向かって「音声ガイド」についての説明を加えたり、自分の感想を述べたり、ときには登場人物につっこみを入れられたりしながら、狂言回しの役割も担って話が進んでいくのでした。

 と、今回はここまでです。
 次回でこの話題はラストになる予定です。そう、まだ私が登場してないってこと、読者の皆さんはお気づきでしたか?(笑)

(つづく)


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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『さなぎの時代』レポート(1)

 演劇結社ばっかりばっかりの芝居『さなぎの時代』の公演、無事終了しました。
 ご来場いただいた皆さん、本当にありがとうございました!!
 お陰さまで、既に再演を希望するお声も多数いただいてはいますが、まずは公演終了ということで、ストーリーに触れてご紹介してみようと思います。

 まず、これは毎公演行なっていることですが、主宰鈴木大輔は、前説で舞台の大きさや舞台上のセットを、自分が歩き回りながら話すことによって、視覚障害者のお客さんに空間を認識してもらいます。(昨年の『トイメン』では石津が行なっていました)
 前説が終わりBGMが盛り上がってから止まると、お辞儀していた鈴木大輔が、すっと頭を上げます。このとき彼は、“大輔”という存在になり、いつの間にかこの舞台は喫茶店となっています。
 ここに、バリアフリー映画鑑賞推進団体“City Lights”の平塚リーダーとして、こんやゆうこが登場してきます。
 彼女は、1枚のDVDを取り出し、“大輔”に手渡し、「画面が暗くて地味だが良い作品なので、多くの視覚障害者の人とも一緒に楽しみたいから、音声ガイドをつけてくれ」と以来します。(引き受けてもらった直後、うっかり禁煙の店でタバコに火をつけウェイターに店から追い出されてしまうのですが…)
 ここから、その映画作品『さなぎの時代』に、“大輔”が音声ガイドをつけていくという仕掛けで、本編の物語が展開していくのです。

  ちょっと陰のあるテーマソングが流れると、まもなく急ブレーキの音と軽い衝突音、そして主人公織笠悠稀の部屋へと変化し、彼のモノローグとなります。
 彼を取り巻く物は、闇というには暗くなく、霧や靄というには明るくない、徹夜明けで飛び込んだ映画館のスクリーンのように、ぼーっと薄汚れた“何か”だと言います。
 その彼の心象風景を打ち破るようなカーテンを開ける音に続き、母親聡子の明るい声が響きます。
 「ただいまの時刻は午前10時なり!ほら、ほっぺたに当たるお日様がわからないの?」
 そんな母親に食って掛かる悠稀は、その後のモノローグで、3ヶ月前に、恋人エリカとの待ち合わせに急ごうとしていて車に跳ねられ事故を起こし、全盲になってしまったことを語ります。

 この冒頭部分から暫くの間は、なんと、悠稀以外の登場人物の顔には照明が当たらず、判然としないのです。これはもう、前代未聞の照明演出です!

 この主人公悠稀役は、稽古が始まった9月時点では悠稀と同じ21歳だった、現役の全盲大学生・大河内聡之。そして、なんと母親・聡子47歳を演じたのは、今回のメンバーの最年少、現在二十歳の某大学の芸術学部生・客演の河村有美さんです。
 大河内は、本人は気にしてはいたけれど、周りがタブー視して見て見ぬフリをしてきた恒音性機能障害で「キ・シ・チ・ニ・ヒ・リ」とそれに付随した拗音が不明瞭だったのですが、昨年、あるお客さんから厳しいご指摘をいただいたことをきっかけに、真正面からその発音の矯正に取り組み、見事克服したのです。
 その覚悟を持って臨んだ主役でしたから、もちろん演技力の向上にもぬかりはなく、2時間出ずっぱりでの膨大な台詞を、活き活きと語りまくりました。
 原作者である私は、最終的に目の前に出現した生身の“織笠悠稀”の存在に、胸を熱くすることとなりました。
 細身・中背の河村さんは、大学ではミュージカル関係の勉強をしているらしく、その発表会としてのミュージカルには出演したことがあったそうですが、こんなにはっきりとした台詞がいっぱいあるメインキャストでの芝居はほぼ初舞台だったといいます。
 にも関わらず、自分より一つ年上の悠稀の母親役を見事明るく大らかに演じきったのです!
 この河村有美さん、私がmixiの演劇関連のコミュで募集して参加してくれたのですが、なんとこれからも「ばっかりばっかりでお世話になります」と言ってくれました!
 とても美しい声の持ち主で、ソプラノの歌声も素晴らしいですので、次回作ではその辺りも生かしてもらえるような役を担当してもらえたらと思っています。主宰に頼んでみようっと。(笑)

 さて、3ヶ月前の事故のときに「待ちくたびれたから早くきて」と携帯電話で甘えてしまった恋人・エリカは、事故後何度も悠稀に会いにきていたのですが、毎日拒絶されていました。
 そのエリカが、悠稀の退院した情報を得て、また今日も面会を申し込んできたというのです。
 しかし、香り高いピンクの百合の花束を抱えて現れたエリカとは、そのまま喧嘩別れしてしまいます。彼女の幼いわがままと、失明のショックからまったく立ち直っていない悠稀のわがままが衝突した結果でした。

 エリカ役は、22歳の女子大生・田中ゆかりさん。彼女は、ついこの前まで、小さな劇団の主宰だった人で、エリカの描写そのものの、「小柄で茶髪のよく似合う丸顔の女の子」でした。
 最初、やはりmixiでの募集を見て連絡をくれたのですが、「福祉的配慮をした舞台に興味があります。」と言ってきてくれたのです。
 若いながらも舞台経験は多く、このすぐ後にも予定が決まっているそうで、ばっかりばっかりのメンバーとして残ることはありませんでしたが、「ばっかりファミリーになります」と、この先も出演してくれそうな雰囲気です。しかも、“City Lights”の活動に興味を持ったそうで、今後字幕朗読ボランティアとか音声ガイドにもチャレンジしそうな勢いがあります。

 さて、ちょいと長くなってしまいました。この後のストーリー展開と、残りの面子の紹介は、次回のお楽しみにとっておかせてください。

(つづく)


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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高い工賃を目指すのなら経営の王道を学ぼう

     望月優

 障害者の就労問題に関わっていると常に課題として挙げられるのが福祉作業所での工賃だ。
中小企業家のとある勉強会で福祉作業所の方が工賃が8千円ぐらいの人もいると説明したところ、聞いていた経営者の一人がどうしても理解できない様子で、「それは1日ですか」と聞き返していた場面に
遭遇した。これは決していやみで言っていたのではなかった。
心底質問者は信じられない様子だった。
さて、福祉作業所では、本人の出来高払いで工賃が決まる。
だが、その出来高に対する単価は非常に低い。
もしも私が作業をやらせてもらって、出来高払いで工賃を頂いたとしても、作業所で働いている平均的な障害者よりも高い工賃を頂くことは難しいであろう。
 ここまで突き詰めると、工賃が安いのは障害者本人の作業効率が根本原因ではないことが判る。工賃が安い根本原因は、利益を生み出す仕組みが作れていないからにほかならない。
 昨年、中小企業家同友会の障害者問題全国交流会で記念講演を行なった宋文州氏は、企業を成功させる秘訣は業務の細分化・見える化だと教えてくれた。
 特定の優秀な社員にしかできない業務を極力少なくし、ほとんどの業務が誰でも行なえるようにシステム化することこそ大事だと語った。
 実は、この経営の王道は働き手が障害者のときにもまさにばっちりの考え方だ。
 業務を以下にシンプル化できるかが事業体としての生産性向上のキーである。
 そのシンプル化した仕組みの中に障害者をどんどん投入して事業体として高い業績を上げ、障害者従業員達に堂々たる給与を支払っている特例子会社がある。
 その会社は、大東コーポレートサービス株式会社。
山﨑 亨社長は、業務を細分化・シンプル化し、障害者の社員に大活躍の場を与えている経営者だ。
 その山﨑社長の話を聞ける会が11月18日、午後6時半から渋谷商工会館で行なわれる。
 山﨑社長の実践報告は、福祉作業所を運営する人達にとっても、会社を経営する私などにとっても大きな学びになることは間違いない。
 是非、皆様、おこしください。

「可能性を信じれば誰でも活躍!障害者雇用から学ぶ社員活性化の秘訣」
http://www.tokyo.doyu.jp/tokyo-doyu/common/meeting.php?meeting_id=5518

by amedia  at 15:22  | Permalink

小道具はダイソーで

 いよいよ、私の所属する劇団・演劇結社ばっかりばっかりの公演『さなぎの時代』の本番が近づいてきました。そんなわけで、来週のこのコラム欄は、私じゃない誰かが書いてくださることになりそうです。

 で、既に私の頭の中は芝居のことでいっぱいなので、今回もまた改めまして芝居関連のお話しです。

 実は、うちの劇団は極めて弱小劇団ですので、小道具担当なる物がいません。
 また、大掛かりな装置を組む大道具担当もいません。
 そんなわけで、一昨年上演した『だからこそ愛』も、去年の『トイメン』も、そして今回上演する『さなぎの時代』でも、実際の物を使わず、マイムといって振りだけで何かをしているしぐさを表現することが多いのです。
 ところが、普通の動作さえ晴眼者と同じとはいかない先天性の視覚障害者にとって、このマイムはかなりつらいものです。
 そこで、どうしてもはっきりとした対象物を見せたい場面も出てくるわけですが、そんなときの小道具購入に際しての強ーい味方が、百円ショップなのです。とりわけ、私の地元である町田には、「ギガダイソー」という5フロアーもあるダイソーがあるので、大変重宝しています。
 とはいっても、さすがに5フロアー全部が百円というのには無理があり、中には千円以上するような品物もあります。
 それでも、本来専門のお店で買ったらいくらかかるか分らないような物でも、大変安価で買えるので助かっています。
 今回の芝居の小道具については、いささかネタバレになってしまうのでここで触れるのはやめておきますが、『だからこそ愛』を例に取ると、運動会のシーンで使ったホイッスルやタンバリン、お葬式のシーンで使った菊の花の造花、りんごを剥くシーンで使ったまな板と果物ナイフとお皿とウェットティッシュなど、全て百均でした。
 こうして、ちょっとでもポイントになるところのシーンで使う物を用意できれば、日常生活とはほとんど変わりない状態で演じることができるので、視覚障害者が視覚障害者の役で舞台に立っている範囲ではとても楽に動けるようになるのです。

 今回は、食器類とねぇ…、おっといけない、これ以上は話せません。
 ということで、何をどんなシーンでどんなふうに使うのか、ぜひとも新宿・シアターミラクルまで足をお運びいただいて、その目で、その耳で確かめてみてください。

 チケットの予約状況ですが、おかげさまで7日14時の回が完売間近です。その他はまちまちで、中にはまだまだ寂しい回もあります。どうぞ皆様お早めにご予約いただけますようお願いいたします。

 それでは、以下に、公演詳細情報を貼り付けておきますので、宜しくお願いいたします。
 そして、私は、7日と8日、劇場で皆様のお越しをお待ちすべく、あと9日間、頑張って稽古に励みたいと思います。


演劇結社ばっかりばっかり 第五回公演『さなぎの時代』

 見えなくなった僕の前に現れたのは、一人の「物の怪」だった…

原作…杉森寿美「さなぎの時代」(『メディアナウ』連載)
脚本・演出…和風まくだ煮L
協力…響き工芸、点字あゆみの会、バリアフリー映画鑑賞推進団体CityLights、日本
盲人会連合
協賛…都立松が谷高校同窓会、(株)アメディア

日時…11月7日(土)・8日(日)
会場…新宿・シアターミラクル
   新宿区歌舞伎町2-45-2 カイダ第3ジャストビル4F(エレベータ有り

交通…西武新宿駅北口より徒歩1分、JR新宿駅東口より徒歩5分。
※ ご希望により、駅からの誘導をいたします。ご相談ください。
料金…前売り2500円、当日2800円、ペアチケット4000円(前売りのみ)

◆ストーリー
 『僕の目の前を覆うのは、上映開始前のスクリーンのような物なのだ。しかも、徹
夜明けで飛び込んだ映画館のそれのように、ぼーっと薄汚れている…』
 交通事故で失明した大学生悠希(ゆうき)。彼を包む闇ならぬ闇は、如何にして、
誰によって剥がされていくのか。
 全盲作家・杉森寿美(美月めぐみの別名)が描くハートウォーミングストーリーを
、座付き脚本家和風まくだ煮Lがコメディ仕立てで煮込んだ一品。
 視覚障害学生役者・大河内聡之、初主演作品!!

◆キャスト
大河内聡之
石津正幸
河村有美
こんやゆうこ
佐藤敏美
田中ゆかり
美月めぐみ
鈴木大輔

◆スタッフ
脚本・演出…和風まくだ煮L
脚本補・演出補…美月めぐみ
音楽…久保さとし・美月めぐみ
照明…中山仁(アートプラス)
音響…山脇葉
宣伝イラスト…キャンディーサトウ
車両…石津正幸
宣伝美術…こんやゆうこ
制作…こんやゆうこ

◆日程
11月7日(土)…14:00~  19:00~
   8日(日)…13:00~  18:00~
※ 開場は各公演開始時間の30分前です。

【お問い合わせ・ご予約先】
TEL 090-3818-6424
Eメール otegami@bakkaribakkari.net
 ご予約の際は、以下の内容をお知らせください。
お名前
枚数
観劇希望日時、
視覚障害者と晴眼者の人数の内訳
駅からの誘導希望の有無
誘導ご希望の場合は、西武新宿駅北口にするか、JR新宿駅東口にするか(高田馬場でも乗り換えやすいし、劇場までの距離も圧倒的に近いので、西部新宿駅をお勧めしてます)
当日緊急連絡の取れる携帯番号点字パンフご希望の有無もお知らせ下さい。(CDによる音声パンフは、視覚障害者の方全員に差し上げます)


 ※ アメディアは、美月の所属する劇団『演劇結社ばっかりばっかり』第五回公演
『さなぎの時代』に協賛しています。

結社ホームページ
http://www.bakkaribakkari.net/

目の見えない子を支援するなら~点字定規セット「点字サポーターへの道」

(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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五十肩とアトピー-痛みもかゆみも…

 この夏くらいに、アメディアのメーリングリストで「右の上腕が、後ろに回したり
遠くに延ばしたりすると痛くてたまらない」と相談したところ、それは五十肩ではな
いかと多くの人にアドバイスをいただきました。
 しかし、忙しさに取り紛れて病院に行かないでいるうちに、左の腕も痛くなってき
ました。これはいよいよ行かなくてはと、9月中ごろにようやく重い腰を上げ、整形
外科を受診しました。
 結果、優しそうなおじいちゃん先生が発した言葉は、「四十肩ですね」の一言でし
た。なーんだ、五十じゃなくて四十なら、ちょっと若いじゃん、と思って喜んで帰っ
てきてネットで調べてみたら、「五十肩は1960年代くらいまでは四十肩と呼ばれ
ていた」と書かれていました。ガーン!!やっぱり五十肩だったわけですね。

 結局両肩に注射を打たれ、塗り薬をもらってきたのですが、やっぱりある一定の動
きをすると、ブワーッと痛みが走り、筋肉が悲鳴を上げ、ついでに私も悲鳴を上げる
状態が続いています。これはもう、とほほとしか言いようがありません。

 一方、私の相方で演劇結社ばっかりばっかりの主宰である鈴木大輔は、小さい頃か
ら抱えている持病のアトピー性皮膚炎が、この時期になって悪化してきて、大変なか
ゆみにバリボリ状態なのです。夜も熟睡できず、集中力を持続させることも困難な状
況が続いています。
 塗り薬を強くすると、一時的に肌の状態が良くなりかゆみが軽減したりするのです
が、皮膚が薄くなり、ちょっとかいただけでも出血してしまいます。飲み薬の強いの
を飲むと、24時間ほど激しい眠気に捕らわれてしまいます。真夜中、いびきをかい
て完全に眠った状態のまま、激しくボリボリしている姿を見ていると、その計り知れ
ないかゆみがいかばかりの物なのかと、せつなくなってくるほどです。
 私たちのような普通の肌の者は、よく小さい頃から、「かゆいときにはかくと余計
にかゆみが強くなるからかかないようにしなさい」と言われたものですが、その理屈
は分かっていても、大の大人が人前でもかかずにはいられなくなる激しいかゆみとは
どんな物なのか、計り知れない物です。
 しかも、芝居のときには、それをぐっと堪えて長時間演じているのですから、これ
はもう尊敬せざるを得ません。

 腕の痛みに耐えている私、そして全身のかゆみと必死で折り合いをつけている彼。
お互いのつらさを、自分の経験による尺度では想像することはできないけれど、その
範囲を超えているのだと考えることで互いを思いやることができているのだと思いま
す。

 こんな風に、自分の経験してきたことの範囲で想像できないことは、人間同士いろ
いろあるものです。
 視力の強弱、聴力の強弱、体力の強弱、瞬発力、持続力、走る速度…そしてそんな
力の強弱があるなら、忍耐力、努力など、全てに人それぞれの持つ力というのがある
し、尺度もあります。

 じつは最近、アメディアのメーリングリストなどで、歩行能力に関する話題が盛り
上がっているようです。
 その中で、ガイドヘルパー制度の否定論が見受けられ、少し悲しく思ったので、今
回違う角度から「他人の痛みや持ちうる力の差と、それを思いやること」について書
いてみたくなったのでした。
 私は、たまたま自由を求める気持ちが強かったので、恐怖心に打ち勝つ力や自分の
姿を人に見られることや見知らぬ人に声をかけることに関する羞恥心やちょっとした
億劫さに打ち勝つ力を強化できて、一人歩きができるようになったわけです。でも、
その自由を求める気持ちが弱い人、またはその気持ちが強くなるようなきっかけに恵
まれなかった人にとっては、恐怖心と羞恥心の壁は本当に大きな物だと思います。
 また、一度は歩行能力を身につけた人でも、年齢や体力や判断力などの衰えにより
、人と一緒でないと歩けなくなってしまう人もいるでしょう。それがたまたま頼れる
友人の少ない人だったなら、やはりその人にとってはガイドヘルパーの存在は必要な
物なのだと思います。

 他人の痛みやかゆみは分からなくても、分からないなら分からないなりに、その向
こうにある程の物なのだと思いやれる気持ちを持ちたいものです。もしかすると、「
思いやり力」にも強弱は存在して、それはしかたのないことなのかも知れないけれど


 ※ アメディアは、美月の所属する劇団『演劇結社ばっかりばっかり』第五回公演
『さなぎの時代』に協賛しています。
 この芝居は、美月が別名義の「杉森寿美」として、10年前に本社発行の雑誌に連
載していた小説を舞台化する物です。
 同劇団では、チケットの予約を行なっています。
 詳しくは、
http://www.bakkaribakkari.net/
をご参照下さい。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 16:21  | Permalink

『新三銃士』を観ていて気づいたこと

 今週の月曜日から、NHK教育テレビで、久々に大型人形劇の放映が始まりました。アレクサンドル・デュマのあの名作を新感覚で人形劇化した『新三銃士』です。
 しかも、脚本を手がけているのは、『笑いの大学』の脚本や『ザ・マジックアワー』の脚本と監督を務めた三谷幸喜さんです。TVドラマの脚本でいうと「古畑任三郎」や大河ドラマ「新撰組!」を手がけた人です。
 声の出演は、語りに爆笑問題の田中裕二さん、アトス役に山寺宏一さん、アラミス役に江原正士さん、ポルトス役に高木渉さん(私の相方で我が演劇結社ばっかりばっかり主宰・鈴木大輔の養成所時代の1年先輩です)、ミレディー役に戸田恵子さんと、実に豪華メンバーです。
 また、エンディングテーマは、三谷さんが書いた詩に平井堅さんが曲をつけて歌った物です。
 もう、いやがうえにも期待が高まりました。
放送日は、1話~5話 10月12日(月)~16日(金)、6話~10話 10月19日(月)~23日(金)、11話~40話 毎週金曜 10月30日~平成22年5月28日、だそうです。時間は、18時~18時20分。

 というわけで、さっそく今週の月曜日の第1回から観ています。
 これは、期待以上の面白さで、もちろん聴覚的にはBGMも含めて大満足です。
 で、相方と一緒に観ていて、実に当たり前のことなのにあまり気に留めていなかったことに気づきました。それは、セットの中で動いているのは人形たちだということです。
 見える人たちと冷静な視覚障害者の人たちからは「何をいまさら」と言われそうですが、画面の情報を言葉で補ってくれていた相方が発した「ほほう、これは凄い!よくできてるなぁ!」との一言で、ふと我に返り、「そういえば、これ、人形劇だったんだぁ!」と再認識させられたのでした。
 思えば、小学生の頃、『新八犬伝』や『真田十勇士』にはまり、中学生の頃は『三国志』に夢中になっていた私は、言葉では人形劇だと思っていても、耳から入るストーリーにすっかり引き込まれるあまり、人形が動くビジュアルを想像することはなかったのでした。
 しかも、どの作品でも、数多くの登場人物の声は、限られた声優さんたちが一人何役もこなして演じているのに、まったく違和感がないのです。
 今回も、上に挙げた声優さんたちが、本当に一人何役もなさっています。今は、一部の友人から『声優の声だけはすぐ判るオタク耳のダメ絶対音感』と言われる能力を備えてしまったので、どんなガヤ(その他大勢の群集など)の声でも誰が演じているのか判ってしまうのですが、それでもストーリーには十分のめりこむことができています。

 声優というのは、何かの動きに声を合わせて演ずることが多いので、普通のドラマに比べて、ちょっと大げさに演じることが多く、「声優さんだな」と判る独特の演技があります。
 人形劇のときにもその傾向はあり、本職の声優さんではない俳優さんたちがキャスティングされてもやっぱりそんな風に聞こえます。
 ちょっと違いはあるけれど、うっかりぼんやり聞いているとアニメと同じように感じてしまうこともあります。
 それでいうと、人外の物がいろいろ出てくる特撮物などでも、アニメだと思い込むこともありました。小学生の頃に放映されていた『ロボコン』などは、その最たる物で、今の相方と一緒になりいろいろ特撮について話している中で初めてあれが特撮だったということを知ったのでした。ちなみに、この『ロボコン』をアニメだと思い込んでいた視覚障害者は、私以外にもけっこういたようです。

 このように、耳で馴染んでいる物の中には、視力がないがゆえに勘違いしていること、基本を忘れていることはあるものです。
 また、日常生活の中で接することのない物を想像することも困難なことが多いです。こんなことは、普通の生活をしている上では特に不便でもないことなのですが、ちゃんと認識していないと、それが小さなバリアになります。一般的な共通認識に置いていかれ、ひいては「見えない人は、勉強ができたとしても、物を知らない」なんていうふうに誤解されてしまいかねない要素ともなります。
 想像力を鍛えていくことは大事ですが、それだけではなく、見える家族・友人たちといろいろ語り合って、自分の知識をより確実にしていくことはとても大事だし、楽しいことだと思います。
 また、機会があれば、日常生活の中では触れないような物には積極的に触って、その形を認識していきたいものです。
 私も、相方とたくさん話して、もっともっと知識を高めていきたいと思っています。もちろん、お返しに、私が知っている知識もたくさん伝えていきたいと思っているのですが。

 さて、人形劇の人形たちに触る機会が、いつかおとずれないものでしょうか。
 『新三銃士』、今日の放送もとても楽しみにしている美月でした。

※ 『新三銃士』、今からでも遅くないので、こちらでストーリーを読んで、ご鑑賞ください。
http://www.nhk.or.jp/sanjushi/


 ※ アメディアは、美月の所属する劇団『演劇結社ばっかりばっかり』第五回公演『さなぎの時代』に協賛しています。
 この芝居は、美月が別名義の「杉森寿美」として、10年前に本社発行の雑誌に連載していた小説を舞台化する物です。
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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)


by amedia  at 15:54  | Permalink

読書案内 -坂木司作「引きこもり探偵シリーズ」-

 物凄い台風でしたね。
 被害に遭われた地域の皆さん、心よりお見舞い申し上げます。

 さて、今回は読書の秋にお薦めしたい小説をご紹介したいと思います。ミステリーをほとんど読まない私が、あっという間にはまり込んでしまったミステリーです。
 坂木司(さかき つかさ)さんという作家の方が書かれた、『青空の卵』『仔羊の巣』『動物園の鳥』の3作から成る「引きこもり探偵シリーズ」です。

 ミステリーファンの中には不満に思われる方もおられるかもしれませんが、このシリーズでは殺人事件は起きません。でも、放っておいたらどうなったかとひやりとさせられるようなことは多少あります。それを未然に解決してしまうところが、このシリーズの優しさでもあると、私は思うのですが。

 外資系の保険会社の営業担当をしている青年・坂木司の一人称形式で書かれるこの小説の主役は、本人ではなく、その相方の青年鳥井信一(とりい しんいち)です。
 鳥井は、コンピュータプログラマーとして自立した生活を営んでいますが、じつは強度の引きこもりで、親友である坂木が一緒でなければ近所での買い物さえできません。しかも、抜き身のナイフみたいに他人を傷つける危険性のある言葉を放つくせに、自分自身も物凄く傷つきやすい。そんな鳥井が唯一心を許し、大切に思っているのが坂木なのです。
 そして、坂木はといえば、この上ないお人よしで心優しい人物です。彼の願いは「誰もが笑顔でいられること」です。
 この対照的な二人が、どうして唯一無二の親友になったのか、鳥井がどうしてこんな精神を抱えることになったのか、といった物語の根幹に関わることがらを少しずつ描きながら、近所で起こる人間臭い出来事を解き明かしていく幾つかの物語が綴られていきます。
 解き明かすのはもちろん「引きこもり探偵」こと鳥井です。彼はマンションの一室にいて、坂木が持ち込んでくる厄介事を、鋭い洞察力と分析力であっという間に解決に導いていきます。
 また、鳥井は、引きこもってはいますが、探偵物にありがちなぐうたら探偵ではなく、とてもまめな人間で、特に料理の腕は並外れています。食いしん坊の私などは、ぜひとも鳥井の部屋にお邪魔して一口お相伴に預からせていただきたくなってしまいます。

 ここまでご紹介したところでも面白さはある程度伝わっているかもしれませんが、このシリーズの面白いところは他にもいろいろあります。
 代表的なところでは、この物語ではそれぞれの事件の中心人物となった人が、当たり前にその後も良い味の脇役として残っていくことです。しかも、その脇役たちの中には、いつの間にか鳥井の食卓に座るはめになっている人物もいたりするのです。
 きっと、「ズボシ」という抜き身のナイフで切りつけて膿を出す鳥井と、その傷口を優しく縫合して包んでしまう包帯のような坂木の名コンビが、関わる脇役たちを癒しているからなのかもしれません。

 また、1作目の『青空の卵』から登場する中途失明の青年がいるのですが、彼を巡る様々な事柄を読んでいると、作者の坂木さん自身、ちゃんと視覚障害者と関わったとしか思えないほど、よく描かれているのです。これには本当に驚かされました。
 いったい、坂木さんという作家さんはどんな人なのだろうと、物凄く興味が湧いたのですが、残念ながらこの人、顔はおろか、性別さえ公表していない覆面作家さんなので、その正体はようとして知れないのです。自身の書いた作品の登場人物の名前をペンネームにしている坂木さん其の人こそが最もミステリアスな存在のようです。

 このシリーズを先に読んでいたうちの相方は、既に他の作品も読んでいるのですが、「いずれもアタリ」とのことなので、暫くはこの作家さんの作品を追いかけてみようと思っているところです。
 ちなみに、私が最初に読んだ『短劇』という短編集も、いろんな色の作品がいっぱい入っていて、とても面白かったので、長編が苦手な人にはこちらをお薦めしておきたいと思います。

 今回ご紹介した、『青空の卵』『仔羊の巣』『動物園の鳥』『短劇』は、いずれもないーぶネットでダウンロードできますので、視覚障害者の皆さんもぜひ読んでみてください。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 17:15  | Permalink

可動式ホーム柵の重要性-尊い命を護るため(後編)

 前回お話ししたように、視覚障害者に限らず、多くの人々のために、可動式ホーム柵は必須アイテムなのです。

 ところが、設置に際してネックになることが幾つかあります。
 一つは、路線によっては車両の数の違う編成の電車が混在していること。私の住んでいるところの最寄である小田急線もいろいろ走っていて、各駅停車しか止まらない最寄駅では、ホームのアナウンスに耳を傾けていないと、思いどおりのところに乗れないこともあります。各停が6両と8両、準急は10両なのです。
 ただし、これは素人考えですが、もし可動柵を設置するなら、必ず頭を合わせるように停車させればなんとかなるのではないでしょうか。
 最近、嬉しいことに、可動柵のドアの脇に、点字で車両番号とドア番号が貼られている路線も増えてきましたが、頭をそろえるようにしておけば、その表示もそのまま生かせます。
 二つ目のネックは、可動柵のドアと車両のドアを上手く合わせて開くこと。自動制御が可能なところも多いようですが、運転手の技術に頼っているところもまだまだ多いようです。
 そうなると、駅に到着した電車の停車位置の微調整、乗降客の完全な入れ替わりを
確認してのドアの開閉など、気を遣わなければならないことがいっぱいあります。
 それで、今までは乗降客の多い駅や路線では可動式ホーム柵の導入は難しいとされてきたのですが、気づいてみれば東京メトロ丸の内線という、都内の地下鉄では最も乗降客数が多いような路線に、全駅設置されていたのです。
 また、前回もご紹介したように、あの…、あの“山手線”に、8年越しで可動式ホーム柵を設置する予定だというのですから、驚いてしまいます。
 もう、そのあたりのことはあまりネックにはならないのかなと思っているのですが、運転手が全て操作するだけで、駅員の配置を無くしてしまおうということで自動かも進んだ結果として実現しているというのは、何か少し本末転倒のような印象もあります。
 「ドアに挟まっちゃったらどうするの?」「押されて転んじゃったらどうするの?」
 やっぱり心配事は尽きません。
 可動柵があった上で、きちんとホーム上の安全性を見守る駅員さんの存在は、欠くべからざるものだと激しく思うのです。
 意味合いは違うけれど、夜更けの地下鉄の駅などは、見えていても怖いと感じる女性は少なくないと思います。
 可動柵が増えることは大変歓迎すべきことではありますが、それによってホーム上の駅員さんがいなくなってしまうのは、本当に困ることです。
 で、そのいなくなった駅員さんは、いったいどこに行ってしまうというのでしょうか?
 時間を厳守すること、少しでも早く移動できる手段としての電車を追求することに血道を上げ、戦々恐々としている鉄道会社は、利用客の安全性をどんな風に考えているのでしょうか。

 でも、ここでもう一つ考えなければならないことがあります。
 そんな鉄道会社の体質を生み出したのは、いったい誰でしょう。
 小田急線の遅延は最近では日常茶飯事ですが、せかせかしていない私にとっては、3分とか5分の遅れはさほど気になるものではありません。
 でも、この春頃だったと思いますが、都心に向かって乗り込んだ電車の中で、嫌なことに出くわしました。私は連れと一緒に一番後ろ、つまり車掌さんに近いところに乗っていたのですが、隣駅でそこへ乗り込んできた30代中ごろと思しきサラリーマン風の男性が、6分の遅れについて延々と車掌さんに文句をたれているのです。言いたいことだけ言った男性は、平謝りしている車掌さんを尻目に前の車両のほうに移動していきました。ほっとして気づいたのですが、この駅は後ろ寄りには改札が無く、後ろのほうが便利だという人意外は普通はこんな後ろに乗り込んだりはしません。しかもこの男性は、言うだけいうと前の方へ移動した。つまり、文句をぶちまけるためだけに、車掌さんのところにきたのでした。
 彼がどんな仕事を抱えていたのかはわかりません。でも、6分遅れて困るくらいなら、なぜ20分くらい早く出かけてこられなかったのでしょうか。そして、6分を争うほどに彼を急き立てていた先方にはどんな人が、どんな用事が待ち構えていたのでしょうか?そして、遅延の原因になったわけでもない車掌さんは、小田急という会社全てをその肩に乗せたように平謝りしながら、どんなに傷ついていたことでしょうか。

 キリギリス生活の舞台役者ふぜいの私が論じるのは大変におこがましいとは思いますが、世の企業戦士たちはあまりにも時間に縛られすぎてはいないでしょうか。
 過労死してしまうほどの過酷なサービス残業に追われているサラリーマンやOLたち。その一方で就職難だとかニートだとかの問題が山積している今の世の中、あまりに偏っていすぎるんじゃないでしょうか。
 もっと人を雇用して、加重の大きすぎる企業戦士たちを楽にしてあげられないものでしょうか。ニートに甘んじている人たちだって、がんじがらめに働かされている人々をみて、恐れを成してしまうのではないでしょうか。
 もっと多くの人たちがゆったりと仕事に就けるようになり、お金が多くの人に行き渡っていけば、定額給付金の配布なんかよりずっと「金が天下を回る」ことになるのではないんでしょうか。

 責任の重さや過労を苦に、あるいは仕事に就けないことを苦に、今日もまたどこかで誰かが“人身事故”を起こしているかもしれません。しょっちゅうです。本当にしょっちゅうそんな事故が起こり、電車が止まり、人々はイライラを募らせ、その怒りは別な同僚や部下に向けられ、そして新たな犠牲者が……!
 残念ながら、私は経済学にも政治学にも経営学にもトンと疎い人間です。だから、だれがいつどこでどうやってこの悪循環の糸を断ち切ればいいのか、考えても考えても、結論が出てきません。でも、とにかく、この偏った時間に追われるこせこせした社会を、ドッテーンとひっくり返したい気持ちでいっぱいになるのです。

 可動式ホーム柵のことを考えているうちに、そんなどうしようもないことまで考えが及んでしまい、ついつい長文になってしまいました。
 無知ゆえの暴言も多々あったかと思います。どうぞご容赦ください。そして、できれば読者の皆さん、とりわけ鉄道に詳しい皆さんからのご意見をたくさん伺えればと思います。

(おわり)


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by amedia  at 17:59  | Permalink

可動式ホーム柵の重要性-尊い命を護るため(前編)

 9月13日の夕方、東横線多摩川駅のホームで、エレベーターから降りてきたおばあさんが車椅子ごとホームを滑り、線路に転落してしまい、頭を強く打った結果、翌日亡くなられたという痛ましい事故が起きました。
 実は、同じ駅の同じホームで、2年前にも車椅子のおばあさんの転落事故があったいうのですから驚いてしまいます。なぜ東急は、2年前の事故の直後に対策を練ろうともせずに再び同じことを繰り返してしまったのでしょうか。
 皮肉なことに、この同じ駅でも、目黒線のホームには可動式ホーム柵が設置されているのですが…。

 私たち視覚障害者は、とかくホームからの転落というと自分たち視覚障害者特有の事故だと思いがちですが、こんな事故も起きてしまっているわけですね。
 しかも、ホームからの転落事故は、何も障害者に限ったことではありません。2001年の新大久保駅の事故など、健常者の転落も少なくないということです。
 かつての私は、傲慢にも、積極的に一人歩きしている視覚障害者なのに一度もホームから転落したことがないのは、私自身が人一倍注意を払って歩いているからだと公言していたのですが、数名の転落経験者の知り合いから、ホームでめまいを起こしたとか貧血を起こしたのだという話を聞き、ぞっとしました。いくら健康だからと言っも私も45歳です。いつそんな状況にならないとも限りません。
 などとつらつら考えていて、やはりホームと線路を隔てる可動式ホーム柵は、元来必須な物なのだと感じました。
 「元来」と表現するとちょっと大げさに感じるかもしれませんが、ホームから線路までの高さ(いやむしろ深さ?)が1.2メートルあるというのですから、普通の橋として考えればぜったい欄干が必要になるはずです。ただ落ちただけでも怪我するし、打ち所が悪ければ今回の多摩川駅で転落したおばあさんのように死に至ることもあります。転落しただけでもこれほどの危険がある上に、タイミングが悪ければ寸分違わずその場所に突進してくる怪物=電車という存在も加わるのですから、鉄道の長い歴史の中、近年までそういう対策が成されてこなかったことのほうが不思議です。

 そんなことを思いながら、稼動柵の普及状況などをwikiで調べていたら、面白い記述に出会いました。
 なんと、昭和初期・中期に鉄道技術者としてデゴイチの設計に関与し、後に新幹線計画の実現に大きく貢献したという島秀雄さんという方が、既に戦前からホーム柵の設置を主張していたというのです!
 それから数えて60年近く経って、ようやく実現し始めたというのですから、なんとも気の遠くなる話でした。ようやく技術的に可能になってきたということなのかもしれませんが、それにしてはその後の普及が遅いようにも思えます。また、技術者の方も懸念してきたことだったホーム柵を、もっと簡易な形ででも早期に実現されていれば、尊い命をいくつ救ってこられたのかと思うと、なんだかやりきれない想いにもかられます。

 とはいうものの、国内のホーム柵やホームドアも、2009年秋現在、かなり増えてきてはいますので、全線設置されている線のみ列挙してみます。

東急目黒線、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス、名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線、札幌市営地下鉄東西線、埼玉高速鉄道線、東京地下鉄丸ノ内線・南北線・副都心線、都営地下鉄三田線、横浜市営地下鉄ブルーライン・グリーンライン、名古屋市営地下鉄上飯田線、京都市営地下鉄東西線、大阪市営地下鉄今里筋線、福岡市地下鉄空港線・箱崎線・七隈線

 この他にも、来年以降全線ホーム柵が設置される線がいろいろあります。
 極めて朗報だと感じているのが、JR山手線で、2017年までに29駅全部に可動式ホーム柵が付けられるということです。まず手始めに、来年度、恵比寿駅と目黒駅に付けられるそうなので、今からとても楽しみです。

 とはいえ、まだまだ地方の小さな駅などはどうなるか分かりません。駅員さんのいない駅を利用されている方などは、ずいぶん不安な想いをなさっていることでしょう

 鉄道各社には、人の命の重みを感じていただいて、今後真剣に取り組んでいっていただきたいものです。

 次回は、稼動柵設置のネックになることとして、なんとこの私にしては珍しく、社会のあり方についてまで問うてみたいと思っています。

(つづく)


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)


by amedia  at 16:19  | Permalink

井草中学校にて

 毎年恒例となってますが、今年も杉並区立井草中学校のゲストティーチャーをやってきました。

 この中学校は、地域とのつながり、職場体験、ボランティア体験、福祉体験など、いろいろな人々との交流を大事にしている学校で、この日は、3年生を対象にした福祉関係の特別授業でした。
 3年生100人強を12の班に分けて、それぞれにゲストティーチャーが付き、まったく違う内容の授業を一コマ行い、その後体育館でそれぞれが学んだことを発表し合うという授業が一コマ。給食後の眠たいであろうひとときを共に過ごしたわけですが、みんなとても集中して楽しんでくれました。

 それぞれの班の授業内容は、次の通り。
 ○学校の近所の高齢者施設で、お年寄りと語り合ったり歌ったりしてきた班が二つ。
 ○UD製品について学びながら、点字の名刺を作った班。
 ○手話の勉強をした班。
 ○視覚障害者の生活について学んだ班。
 ○この日以前に行なった保育園でのお手伝いを踏まえ、保育園の園長さんに「生き方」などについていろいろ感じさせてもらった班。
 ○色弱眼鏡でその状態を体験し、どんな配慮が必要かを学んだ班。
 ○音楽療法を学んだ班。
 ○車椅子のスラローム競技を体験し、車椅子の操作を学んだ班。
 ○障害のある仲間たちとできるいろいろなレクリエーションを学んだ班。
 ○電動車椅子や介護用ベッドなどの体験をした班。

 そして、私の班では、相方鈴木大輔と共に、視覚障害者向けの画面説明の音声ガイドについて説明し、ライブガイドの体験をしてもらいました。
 映画の一部では分かりにくいということで、今回は以前に高校でやった授業を簡易にした授業ということで、『ドラえもん』の一作品を題材にしてみました。
 と言っても、さすがに50分の授業では全部は無理だったので、半分くらいまでにして、一度椅子ごと後ろを向いてもらい、音だけで鑑賞してもらいました。ここで、音だけで聞いていたときの印象を聞いてみたら、「ストーリーはなんとなく分かるけど、見たことのないアイテムがどうなってるかが気になりました」という、とても素直な感想が帰ってきました。
こんどは、また頭から再生し、映像を観ながら半分の長さのさらに半分のところまでを鈴木がライブガイドを行ない、ガイドの雰囲気を感じ取ってもらいました。その後、残りの全体の半分までのところを、何の解説もなしで2回再生し、その部分のガイドを何人かの生徒にチャレンジしてもらいました。
 私たちは高校生にやってもらった経験を踏まえて構えていたのですが、すっかり度肝を抜かれました。なんとこの中学生たちは鋭い感性と読解力を持っていて、初めてとは思えない的確な画面解説をやってのけたのです!
 学校全体としていろいろな人たちとの交流を大事にしてきているからなのか、国語の教育が良いのか、その両方なのか分かりませんが、その素晴らしい力に本当に驚かされました。
 しかも、全体会で発表に立った班長の少年も、与えられた4分という時間を有効に使って、音声ガイドとは何か、音声ガイドのキーポイントにゆなることは何かなどを、重要なポイントをしっかり押さえて簡潔に発表してくれました。

 全体会終了後、校長先生たちとの短い交流会をしている中で、今回視覚障害者の生活について知る班のゲストティーチャーできていらした杉並区の視覚障害者福祉協議会の会長さんが、「子供のうちから障害者と接する機会を持ってもらうことによって、偏見のない社会が実現していくのではないか。そんな機会を与えてもらってとてもありがたい。」というようなことをおっしゃってましたが、まったくそのとおりだと、深く頷いていました。こういう取り組みをする学校が、もっと増えていってほしいものです。(って、この願い、もうこのコラムで何度も書いているかもしれませんね)

 そうそう、楽しいことを書き忘れるところでした。
 今回は今までと違い、班の代表の生徒たちと一緒に、給食をいただくことができました!
 お盆やお皿を時計に見立てて中身を説明する「クロックポジショニング方式」について説明したところ、班長さんは全体会での発表で、これについても触れてくれて、私たちもとても嬉しかったです。
 などという真面目な報告は置いておくとして。
 給食、とても美味しかったです!全部校内で手作りされているという給食は、校長先生のご自慢でもありましたが、本当に美味しかったです。
 今回のメニューは…。
 ○きつねうどん(味付け卵入り)
 ○おはぎ(あん入りきなこおはぎ)
 ○大豆とじゃこの甘辛揚げ
 ○りんご
 以上、エネルギー 901    タンパク質 39.5でした。(エネルギー表示は、なんと同校のHPに献立表が掲載されていたので引っ張ってきました!)
 このおはぎの大きいこと、美味しいことといったら!!元々大好物なので、かなり大喜びしてしまいました。

 給食につられるわけではありませんが、またこれからも井草中学の授業を担当させてもらうことを楽しみにしているのでした。


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by amedia  at 17:11  | Permalink

月間『メディアナウ』の連載小説を舞台化!

 今だから明かします。
 かつて、アメディアが発行していた月刊誌『メディアナウ』の1999年の連載小説『さなぎの時代』と、2000年と2001年に連載していた『花のお江戸も世紀末!』の2作を書いていた杉盛寿美(すぎもり じゅみ)は、実は私でした。別人の顔を装って書いてたんですが、既にお気づきの方は多かったかも知れませんね。

 実はこの秋、この『さなぎの時代』を、私の所属する劇団『演劇結社ばっかりばっかり』で舞台化することになりました。
 原作者としてのペンネームも1文字だけ変えて「杉森寿美」とし、脚本製作は劇団の座付き脚本家の和風まくだ煮Lが担当して、コメディーテイスト倍増の楽しい作品になりました。

 この物語の主役は中途失明の青年です。この青年が、いかにして、いやいかなる手によって新たな自分の居所を見出すかという物語なのですが、お涙ちょうだいストーリーでないことは確かです。
 この物語の中では、IT機器が脇役の一つとして活躍するのですが、今回舞台化するに当たって、10年の年月の変化が最も顕著に現れたのがこの部分でした。
 あまり書くとネタバレになってしまうので詳しいところを例に取ることはできないのですが、簡単なところでいうと、99年に書いた原作にはこんな会話がありました。

 「WINDOWSは95?それとも98?」
 「一応98だよ。」
 「どっちにしても、WINDOWS3.1なんかじゃなけりゃ使えるけどな、98が動くぐらいの物なら、処理速度も速いし、快適だと思うよ。」

 うーん、今読んでみると、ぜんぜん快適じゃなーい!!(笑)
 正に、IT世界は日進月歩だったわけですね。

 簡単なところでは、そんな手直しもしつつ、軽妙な漫才的会話がポンポン飛び交う青春コメディに仕上がっています。というか、少なくとも脚本としてはそんな風にできています。

 また、一昨年の芝居『だからこそ愛』に続きまして、全盲のミュージシャン・久保さとしさんが、音楽スタッフとして、素晴らしい編曲の手腕を発揮してくれています。どんな曲をアレンジしているのかは、当日までのお楽しみです♪

 そして、先日9月6日から稽古が始まりました。
 従来の正規メンバー5人に加え、mixiでの募集に応じて参加してくれた演劇系女子大生二人+神奈川方面の市民ミュージカルなどで活躍中の友人一人、の3名の客演さんを向かえ、この作品に息吹を吹き込んでいくのです。うまく息を吹き込んでいければ、楽しさ倍増の脚本がさらにグレードアップしていくはず!
 というわけで、11月7日・8日の本番に向けて、2ヶ月の稽古で、どんな風に仕上がっていくか、どうぞ皆さん、新宿まで足を運んで確かめてみてください。

 ちなみに、今回は『メディアナウ』の発行元にもなっていた(株)アメディアの協賛も得ることができましたので、会場受付ではその10年の間の技術革新の一端である同社製品『よむべえ』のデモを見ることもできます。

 では、以下、チラシの内容を貼り付けます。


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演劇結社ばっかりばっかり 第五回公演『さなぎの時代』

☆スタッフ
原作…杉森寿美「さなぎの時代」(『メディアナウ』連載)
脚本・演出…和風まくだ煮L(ワフー マクダニエル)
脚本補・演出補…美月めぐみ
音楽…久保さとし・美月めぐみ
照明…中山仁(アートプラス)
音響…山脇葉
宣伝イラスト…キャンディーサトウ
車両…石津正幸
宣伝美術…こんやゆうこ
制作…こんやゆうこ

協力…響き工芸、バリアフリー映画鑑賞推進団体CityLights
協賛…東京都立松が谷高等学校同窓会、(株)アメディア

☆キャスト
大河内聡之、石津正幸、河村有美、こんやゆうこ、佐藤敏美、田中ゆかり、美月めぐ
み、鈴木大輔
日時…11月7日(土)・8日(日)
会場…新宿・シアターミラクル
   東京都新宿区歌舞伎町2-45-2 カイダ第3ジャストビル4F
交通…西武新宿駅北口より1分、JR新宿駅東口より5分。
※ ご希望により、駅からの誘導をいたします。ご相談ください。
料金…前売り2500円、当日2800円、ペアチケット4000円(前売りのみ)

お問合せ・ご予約
TEL 090-3818-6424
Eメール otegami@bakkaribakkari.net
結社ホームページ
http://www.bakkaribakkari.net/

【日程】
11月
7日(土)…14:00~  19:00~
8日(日)…13:00~  18:00~
※ 開場は各公演開始時間の30分前です。

【ストーリー】
 『僕の目の前を覆うのは、上映開始前のスクリーンのような物なのだ。しかも、徹
夜明けで飛び込んだ映画館のそれのように、ぼーっと薄汚れている…』
 交通事故で失明した大学生悠希(ゆうき)。彼を包む闇ならぬ闇は、如何にして、
誰によって剥がされていくのか。
 全盲作家・杉森寿美が描くハートウォーミングストーリーを、和風まくだ煮Lがコ
メディ仕立てで煮込んだ一品。
 視覚障害役者・大河内聡之、初主演作品!!

【『演劇結社ばっかりばっかり』とは】
 「観る側も、演じる側も、バリアフリー」をコンセプトに、言葉に拘ったエンター
テインメントを追求する結社です。
 ●“見えない人が特別な機材や音声ガイドなしで、見える人と一緒に丸ごと楽しめ
るような芝居作りをしている劇団”は、世界で(恐らく)ばっかりばっかりだけ!
 ●合言葉は、「視覚障害役者?普通にいますけど何か問題でも?」


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 14:13  | Permalink

頼りにされることの大切さ

頼りにされることの大切さ
(美月めぐみ)

 小さい頃、親や周りの大人に、命令されるのではなくて「新聞、取ってきてくれると嬉しいな」とか「とうもろこしの皮を剥いてくれると助かるんだけどな」と言われると、「よっしゃ!」とお手伝いモードになった記憶があります。
 また、「○○しなさい」と命令されたときでも、終わった後に、「助かったよ。ありがとね」などと声をかけられると、(またお手伝いしよう)という気持ちになったこともあります。大嫌いな雑巾がけも、「お母さんとお仕事分けっこしてくれる?」と言われると、とたんに責任感と使命感が沸いてきて、せっせと体を動かしたものです。
 むしろ苦手だったのは、「涼しいうちに宿題やっちゃいなさい」などという、自分のためにはなるけれど、人のためにはあまり役立ちそうもない命令でした。基本的に面倒くさがりの私は、涼しいうちに宿題をやるよりは、涼しいうちは快適に二度寝をするほうがラクチンだと思っていたのです。(笑)

 一概には言えないかもしれませんが、人の役に立てること、人に頼りにされることは、人間を成長させる原動力にもなるのではないかと、最近考えています。
 小さい頃は、命令を受けずに要請だけを受けて育つと、「やるべきこと」を自力で取捨選択する力が付かなくなるので、適宜「してくれる?」と「しなさい」を混ぜて教育したほうが良さそうだとは思うのですが、そのバランスをうまくとって教育されていくと、「自分が頼りにされる人間であるためには、それに見合うだけの知識と能力を持たなければならない。だから努力・工夫をしなければならない。」ということに気づくときがくると思うのです。
 私の場合、その時期がやっと最近、四十半ばにして現れたというところです。30台中ごろから、体型もあいまって「おやかた」というニックネームのある私ですが、何かそう呼ばれる度に、そこまでしっかりした物は持ってないのにとくすぐったい違和感を覚えていましたが、その違和感を無くすための解決作として、当たり前のことではありますが、自分をもっと成長させる必要があるのだということに、やっと気がついたのです。
 成長というと少し大げさですが、とりあえず今私がやろうと思っているのは、持っている技術をグレードアップしようとすることです。
 このところ、宴会部長みたいな役回りをすることが増えているのですが、インターネットを利用して良さそうなお店を選び、地図をプリントアウトして同行者に見せるという方法で、幹事業をこなしています。これも、最初は今ひとつ冴えない作業と結果だったのですが、ネットの検索能力が経験的に上がってきたことと慣れと感の良さのアップによって、参加者に「すごく良いお店だね!」と満足してもらえるようなところを選ぶことができるようになってきました。(と言っても、そうしょっちゅう飲んだくれているわけではありませんので、誤解のないように(笑))
 このようにネットでの検索技術が上がってくると、宴会だけではなく、シティライツでの同行鑑賞会の際の事前解説メールの作成などにも大いに役立つので、視覚的な要素以外の資料を構築することができるようになってきました。

 とはいえ、まだまだいろいろな技術が不足しています。今後は、エクセルの使い方を覚えたいし、録音物の編集や焼付けなどPCによるオーディオデータの扱いなども身に付けたいと思っているところです。
 決して不得意な分野ではなさそうなのですが、日々の生活に取り紛れてつい後回しにしてきてしまったことなのです。
 不得意なことは、どうしても頼る側に回らざるを得ませんが、せめて得意なことを増やす努力はして、「おやかた」のニックネームに恥じない人間に近づかなくてはと思う今日この頃なのです。
 あ、体系的な面での「おやかた」呼ばわりからは、早く脱却できるよう、頑張って体も動かさなくてはいけませんね。

 最後に、これは既に活用している方も多いかと思いますが、基本的に当てにしているグルメ情報サイト、グルナビのurlを載せておきますね。

http://www.gnavi.co.jp/

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 15:20  | Permalink

マニュアル化された対応の外にいる私

 取り留めのない話になってしまいますが、ひとときお付き合いください。

 「いらっしゃいませぇ!○○へようこそ!」
 某ファミレスに入ると、必ずこの歓迎メッセージが飛んできます。いわゆる「マニュアル化された接客」です。
 でも、私が入っていくと、そこからはマニュアル外の対応をせざるを得なくなります。テーブルへの誘導、メニュー紹介、ドリンクバーの利用など、いろいろ他のお客さんとは違う対応をしなければならないことがあるのです。
 でも、最初は戸惑っている店員さんも、何度か通っているうちに、親切になっていきます。店長の性格にもよるとは思いますが、そのお店の中での、視覚障害対応のルールみたいな物もできていったりします。

 ファミレスもファーストフードもコンビニも、サービスを合理化するために、それぞれの会社で決められたマニュアルに則った接客をするわけです。
 とは言え、それを基準とした上での臨機応変な部分で、個々の資質が問われてくるのです。また、店員の彼らを束ねる店長の性格は、同じチェーン店の中でもそうとうな違いを生み出しています。
 私の家から一番近いコンビニは、斜向かいに立っている2軒のコンビニです。
 片方のコンビニは、デザートは充実しているものの、品揃えはイマイチです。でも、店長さんがとても明るいおじさんで、バイトの店員さんたちもおおむね優しくて親切な人たちです。
 一方、その斜向かいにある売り上げ日本1の某コンビニは、お弁当やパンやお惣菜が、品数・味共に充実しているのですが、夕方以降に働いている店員さんたちがイマイチなのです。どうでも良さそうな口ぶりだったり、明らかにこちらを見ていない様子だったり、「ストローは要らないけど、お箸は入れてください」と言っても、意地悪じゃないかと思うほどしょっちゅう逆になったり、会計時に、プリンや焼きそばな
どを袋にボンボン投げ込むということに至っては、いったいどういう接客教育なのかと、頭を抱えたくなります。
 なので、どうしても後者のお店の物が食べたいというとき以外は、私は前者のお店を利用したいと思っています。

 マニュアル化されてる部分はやるけれど、通り一遍のことしかやらない従業員がいるのは、何も民間の店員ばかりではありません
 うちの地元の福祉行政には、首を傾げたくなることが多々あります。以前この欄でもお話しして、昨年のうちの劇団の芝居『トイメン』の中のネタにもさせてもらったエピソード、「点字ディスプレイを日常生活用具給付制度を利用して購入したいのですが」と電話で問い合わせたときの女性職員の一言、「は?点字でスプレーって何ですか?」と返され、一瞬固まってしまったことも、その一つの例です。この制度の業務に携わるなら、対象品目の用途くらいは勉強しておいてほしいもの
だと思ったのでした。
 しかも、問い合わせ当時に視聴覚二重障害の人にのみ認められていた給付が、それからあまり時が経たないうちに、視覚障害単一の障害者にも認められるようになっていたようなのですが、一度断られていたので諦めていた私は、実際に申請されるようになってから半年も立って、ようやく情報を入手したというていたらくでした。
 初めに「単一障害の方は認められていないんですよ」と言われた時点で、点字の読める視覚障害者にとって、点字ディスプレイが以下に役立つ物なのかということをできる限り噛み砕いて説明した上で、「もしも見直されて利用できるようになったらご連絡ください」と頼んであったのにも関わらず、一報もなかったのは、これまた意地悪されたのかしらと思ってしまいました。

 また、選挙直前の最近、地域の選挙管理委員会から、選挙に関する注意事項などが書かれた点字の小冊子が送られてきたのですが、なんと、これには普通文字の印刷物が、添え状として入っていたのです!「いや、それが入っていても、受け取った本人は読めませんから。」と思わずつっこみを入れたくなりました。この紙切れを作って入れることは大してお金のかかることではないでしょうけれど、まったく意味のないことなので、ちょっとした税金の無駄遣いだとも感じました。

 その選挙ですが、各政党とも、駅前等で必死の訴え賭けをやっています。ラウドスピーカーによる騒音に耳を傾けるより有効だと思って、配られているマニフェストなどいただきたく、「点字か録音の物はありますか?」と聞いてみると「ごめんなさい。ご用意してないんですよ」との答えが返ってきます。中には、こちらが近づいて行くと、そっぽを向いたり逃げちゃったりする候補者当人さえいるようです。
 点字投票は、婦人参政権よりも古い歴史を持っているのに、その判断材料が極めて乏しいままなのですから、困った物です。
 私は今、街頭で点字か録音のマニフェストを配ってくれる政党があったら、喜んで投票したいなと、半分は本気で考えています。
 いつかそう遠くない時期に、こんなこと思った自分を後悔させられるくらい、いろんな政党が視覚障害者も一人の有権者として意識してくれる時がくることを願って止みません。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 17:57  | Permalink

童謡・唱歌を歌いながら

 先月・7月31日に、杉並区のとあるおじさまのご依頼で、なんとこの私が、童謡を歌うコンサートをやりました。
 と言っても、極々小さな会場で、観客もたった10数名の物でしたが。

 これが、不思議ないきさつなのです。
 4月29日の昭和の日に、とあるカトリック教会で、知り合いのクリスチャンの若者が結婚式を挙げた際、私もご招待いただきました。そして、大変アットホームな教会の信者さんたちの手作りパーティーにも参加させていただき、とても祝いたい気分になったので、“me & my girl”というミュージカルのテーマソングを歌いました。
その歌詞の中に

♪小さな教会で集い合って確かめる
♪二人の愛ハッピー、それからいつも

というフレーズがあったので、その場にぴったりだと思いアカペラで歌ったのです。
 芝居ではあまり上がらないのに、音楽のステージでは足ががくがくになるほど緊張する私ですが、このときはとにかく興が乗ってしまったので、まったく緊張などしていなかったのも、歌声のリラックス度合いを高めてくれたのかもしれません。新郎新婦のみならず、多くの皆さんに温かい拍手をいただき、ちょうど良く回ったアルコールもあいまって、気分も最高でした。
 ところが、帰り際に、件のおじさまにつかまり、
 「こんど私の企画するイベントで歌ってくれませんか」
と声をかけられたのです!でも恐ろしいことに、そのときはとても気分が良かったので、ほいほいと承諾してしまったのでした。

 ということをすっかり忘れた6月のとある日、そのおじさまから連絡があり、ひっこみのつかない状態に陥りました。
 いわく
「あなたのゴスペルは、素晴らしかった!」
 そもそも、ミュージカルナンバーを「ゴスペル」と認識されていたのも物凄いのですが、
 「あのお声なら、高齢者の方向けの童謡や唱歌のコンサートもお願いできますよね?」
 と言われるに至っては、本当に驚いてしまいました。
 確かに、私は小さい頃から童謡や唱歌が好きというか、親が繰り返しかけてくれたレコードのお陰で、そういった歌が体に染み付いていました。また、その中でも幼児向けの歌は、絵本朗読の会などで合間に弾き語りなどしていたこともあったので、できないことではないと判断し、引き受けてしまったのです。

 でも、7月には、前回まで連載させていただいていたように、『改造人間哀歌』への出演その他のイベントが入り、結局このコンサートの準備は、たった10日しかないという状態になってしまいました。
 そのうえ、引き受けた当初には聞いていなかった「大正時代の作品を中心に」などの指示が、後から後から出てきて、アップアップしてしまいました。
 とにかくなんとか間に合わせようと思ったので、ないーぶネットで資料になるような童謡・唱歌の本を探し、曲を選び、それを元に曲の解説文を作り、私の下手なピアノでは弾き語りが難しいと判断した曲はピアノ伴奏だけ録音したカラオケを作り、本業は役者なのだからということで合間に読む絵本を選び、それを一緒に読んでくれる相方・鈴木大輔との稽古をし、作っておいた曲の解説の朗読を鈴木に頼み、そのタイミングなどを練習し、…等々、怒涛の10日間を経て本番に臨んだのでした。

 歌った曲は以下の通り。

『ゆりかごのうた』  北原白秋作詞、草川真作曲
『あめふり』  北原白秋作詞、中山晋平作曲
『村の鍛冶屋』   作詞・作曲者不詳
『我は海の子』 作詞・作曲者不詳
『夏は来ぬ』  佐佐木信綱作詞、小山作之助作曲
『青い眼の人形』  野口雨情作詞、本居長世作曲
『赤い靴』  野口雨情作詞、本居長世作曲  
『牧場の朝』  杉村楚人冠作詞、船橋栄吉作曲
『里の秋』  斎藤信夫作詞、海沼實(かいぬま みのる)作曲
『ふるさと』  高野辰之作詞、岡野貞一作曲
『森の小人』  玉木登美夫・山川清作詞、山本雅之作曲

 恐れていた通り、前半はかなり上がってしまいましたが、やはり私は役者だったと自覚し、ストーリー性のある歌を歌ったり絵本を読んだりしているうちに、すっかり落ち着くことができました。
 お陰さまで、ご来場くださった人たちから、「また歌ってください」とか「懐かしくて涙が出そうになりました」などの温かいお言葉をいただきました。

 本人としては、もうこんな緊張は勘弁してほしいという気持ちだったのですが、不思議なことにそれから20日も経った今でも、ふと気づくと「♪うーのはなーのにおう垣根に」と口をついて出てくるのです。そして、いつの間にか、「音楽療法ってあったよなとか「認知症のお年寄りが、懐かしい童謡で元気になったり意識がはっきりしたりっていう話も聞くわよね」などと、何かたくらみかけている自分がいるのです


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 16:06  | Permalink

バリアが外れていくとき(其の四-最終回)

 7月16日~20日まで上演された『改造人間哀歌2』関連のお話しの続きです。
 最終回の今回は、いつもの倍の長さになってしまいました。時間のあるときに、ゆ
っくりお読みください。

 千秋楽の後のウチアゲは、やはり大盛況でした!
 私も、この世界に入るまで知らなかったのですが、芝居の公演の千秋楽のウチアゲ
って、どこでもオールナイトのようです。
 宴会が得意ではない私は、毎回割りとうんざりしてウチアゲに臨むのですが、結果
的にはいつも楽しんでしまうのです。

 今回も、視覚障害者は私一人だし、馴染めなかったらどうしようと思うと、ウチア
ゲに対してはずっしりと重たい気持ちで臨まねばなりませんでした。しかし、相方鈴
木大輔の顔を潰してはならないし、なんとかにこやかにしていられるよう努力せねば
などと、「我慢、我慢」といった感じで気合を入れました。ところが、見事にそんな
想いは吹き飛ばされることになったのです。

 佐々木さんの乾杯の挨拶に続き、どの劇団でも恒例となっている「大入り袋(おお
いりぶくろ)」の分配となりました。これは、お客さんがたくさんきてくださったこ
とを祝しての習慣で、ポチ袋に「ご縁がありますように」の5円玉を入れた物を、そ
の場に居合わせた出演者とスタッフ全員に配るものです。この中身はできるだけさっ
さと使ってしまうのが善しとされています。それは、「お金を留めない→動かす→新
しい役を回してもらえるようにする」という縁起担ぎです。その替わり、ポチ袋は大
事に取っておく。これが大入り袋の儀式なのです。
 これを配るとき、受け取った人は、順番に挨拶をするのです。
 私も、皆さんにお世話になったこと、自分自身がとても勉強になったこと、そして
毎日佐々木さんにお気に入りの飴を差し上げて喉のケアーにちょっぴりだけ貢献でき
たのが嬉しかったことなどいろいろお話ししました。佐々木さんは、「いつもありが
とね。助かったよ」と優しく声をかけてくださいました。

 この儀式の後は、もう三々五々、いろんな人々と話し込むことになりました。
 印象に残った人について書いてみます。

 まずは、「仮面ライダー」シリーズなど多くの特撮作品やドラマのプロデューサー
として、また映画監督・助監督としても活躍されてきた平山亨さん。この方は、もち
ろん佐々木さんのお客様として千秋楽の公演をご覧になっていらしたのですが、実は
少し前に骨折なさっていて、松葉杖を使っていらしたのですが、階段しかない2階に
ある劇場まで、頑張って上がっていらしたのでした。御歳80歳ということも考え合
わせると、そのバイタリティと愛の深さに頭の下がる想いでした。
 相方鈴木と共に、この方とじっくりお話しすることができました。
 ご自分が深く関わってこられた「仮面ライダー」を心から大切になさっておられる
平山氏は、ライダーシリーズにインスピレーションを得て作られた今回の作品『改造
人間哀歌』に大変感動され、こちらもエレベーターなしの地下にあるウチアゲ場所の
居酒屋へもお越しくださり、涙を流しながら熱い想いを語ってくださいました。
 また、一線を退かれた今は、ご自身いろいろなボランティア活動をなさっていると
のことで、映画や演劇のバリアフリーにも大変関心を寄せてくださっておられました

 平山氏について詳しくお知りになりたい方は、以下のwikipediaのページをご参照
ください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B1%B1%E4%BA%A8

 そしてもうお一人、先々週のこの欄でちらっとお話しした、劇場の1階にあるホビ
ーショップの店長さんと、この席でゆっくりお話しすることができました。
 彼・今井さんは、私と同じ年頃の男性で、店番をしているときには、よくプラモデ
ルの製作などをなさっているのですが、公演期間中、私のサンダルが2度壊れたとき
、2度ともプラモデル用の接着剤で治してくれた優しいお兄さんでした。
 お店ではおとなしげな印象だったのですが、この宴席で、ひょんなことから私と時
代劇の趣味が合うことが発覚。お互いに小学生の頃、父親の影響で時代劇にはまった
という経験を持ち、萬屋錦之介(よろずや きんのすけ)の破れ傘刀舟(とうしゅう
)、中村梅之助(なかむらうめのすけ)の遠山の金さんと伝七(でんしち)親分は最
高だったと大いに盛り上がったのです。
 そして私が、「あなたのお店の品物は箱に入ってる物や何十万もするような高価な
フィギアとかマスクなんかなので、触るに触れないけど、本当はTVを観ててもどん
な形なのか把握できない私たちにとって、実際に触れたらどれだけいいかと思う。で
もなかなか買い集めるお金もないし…」と話したら、「うちのお店にある物は、なん
でも触ってもらっていいから、声かけてくださいよ。ちゃんと箱から出しますから」
という信じられないほど嬉しい答えが返ってきました。驚いて、「でも、買えるわけ
じゃないんですよ」と聞き返すと、「何を言ってるんですか。見えないんですから大
いに触っていただくべきですよ。僕は、ぜひちゃんと形を把握してほしいな。お友達
にも言っておいてくださいよ。僕のお店では、見えない人に触らせてあげないなんて
ことはあり得ませんから」と言い切られました。なんて素敵な人なんだろうと、これ
また感動してしまいました。
 もちろん、アドレス交換もさせていただきました。
 ここで、お店のことをちゃんとご紹介したいのですが、劇場と同じビルに入ってい
ますので、まもなく取り壊しで引越しなさるそうです。新しいお店の場所などが決ま
りましたら、この誌面でご紹介したいと思います。

 アドレス交換といえば、出演者やスタッフの人たちとも、この席でお互いのアドレ
スを赤外線でやり取りしました。
 せっかくなので、みんなとアドレス交換したいけれど、自分から人を捕まえるのも
難しいし、ピンポイントでお願いしていくのも、もしご迷惑だったら…と考えて、躊
躇していたのですが、思い切って「すみませーん。もし私とアドレス交換してもいい
よっていう方がいらしたら、良かったら声かけてくださーい!」って叫んでみました

 そしたら、来てくれること来てくれること、隅っこで眠りこけてた人たち以外は、
次々とやってきてはアドレスの交換をしてくれたのでした。
 そんなご縁もあって、mixiでのマイミクさんも、その翌日くらいに数名増えていた
のでした。
 やはり、友達も幸せの一部だから、「歩いてこない。だから歩いて行くんだね」と
、古い歌の歌詞に歌われているように、自分からアクションを起こさねばならないの
だと思いました。こうやって声をかけておくのは、相手の気持ちを尊重しながら自分
の意思も伝えられるので、なかなか有益な方法なんじゃないかなと思ったりしました

 他にもいろいろな人とのやり取りを紹介したいところですが、既にそうとう長くな
ってしまったので、ここまでにしたいと思います。

 こうして、多くの人たちと出会い、いろいろな経験を積ませていただいた日々は終
わりました。始発の電車が動き出した駒込の朝にふわりと流れ出した私たちは、同じ
方向へ帰る人々と集団下校のように帰途を共にし、山手線→小田急線と乗り継いで行
く中、一人、また一人と散っていったのでした。

 最後に、いろいろお礼を言わせてください。
 こんな素敵な機会を与えてくれた篠原さん、橋渡しをして引っ張り込んでくれた相
方の大輔、佐々木剛さんをはじめ私を受け入れてくださった出演者の皆さん、スタッ
フの皆さん、当日視覚障害者の誘導に協力してくださった皆さん、そしてご来場くだ
さった皆さん。本当にありがとうございました!!
 そして、この長い長いレポートに最後までお付き合いくださった読者の皆様、本当
にありがとうございました!!

 次回からは、いつもの単発コラムに戻りますが、今後とも皆さんに楽しんでいただ
けるような物を書いていきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。

(『バリアが外れていくとき』 完)


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 16:36  | Permalink

バリアが外れていくとき(其の三)

 7月16日~20日まで上演された『改造人間哀歌2』関連のお話しの続きです。

 さて、観劇サポートのほうですが、18日終演後に、翌日来る視覚障害のお客さん
が点字ユーザーであることを思い出した私は、画期的なガイド方法を思いつきました

 つまり、予め、説明したい内容を点字のカードにして用意しておき、隣に座って、
説明を入れたいタイミングで順番に手渡していくという方法です。
 例えば、前半のほうで、場面と場面の間に一瞬だけ、中幕の合間に謎の女の後ろ姿
が浮かび上がり、こちらに振り向きかけるとき、にやりと笑いを浮かべた瞬間暗転に
なるという場面が挟まっていました。ここは、不気味な音楽のみで、その様子を知る
ことのできる台詞その他の音は何もありません。こんなタイミングで、
“コートを着た女の後ろ姿。ゆっくりと振り向くとき、にやりと笑いを浮かべる。暗
転。”
と書いた点字のカードをそっと手渡します。ベテランの点字ユーザーは、これを瞬時
に読み取ります。
 この方法は、左右に座った点字ユーザー二人までにしか有効ではありませんが、周
りに声が漏れる心配がないうえ、このサービスを受けていただいたご本人たちにも、
「今までで一番分かりやすかった!」と好評でした。
 ケース・バイ・ケースですが、この方法も新しい場面解説の方法としてこれからも
やってみたいものだと思いました。
 ちなみに、今回のカードは全部で20種類。楽日にいらした点字ユーザーのお客さ
んにも、とても喜んでもらえました。しかも、後述する「DVDへの音声ガイド」を
作る上でも役に立ちそうです。

 私は、この上演期間中毎晩行なわれていた「佐々木剛を囲む会」という、お客さん
と出演者・スタッフも巻き込んでの飲み会に、初日(16日)、中日(18日)、楽
日(20日)の3回参加してましたが、その中日の会で、主宰篠原さんと照明兼制作
の大村さんとじっくり話すことができました。
 ここで、出演者でもある私の相方の鈴木大輔と共に、視覚障害者にとっての「音声
ガイド」の必要性をはじめ、あらゆる障害の人たちに対する観劇上でのバリアを取り
除く方策について、お二人に対していろいろお話ししてみました。
 元々、福祉的視点を持っている篠原さんと、そして他の劇団での経験である程度観
劇のバリアフリーについての知識をお持ちだった大村さんは、私たちの熱い話を、と
ても熱心に聞いてくださいました。
 結果、今回の『改造人間哀歌2-星空の約束-』のライブDVDを発売するに当た
り、「音声ガイドを付けて出すことを検討したい」と、非常に前向きなお言葉をいた
だくことができました。
 正式に決定したら、この誌面でもご紹介します。
 また篠原さんは、これまで持ち小屋として使ってきたこの「タカタカブーン」のあ
るビル自体が建て直しされることになったということで、この秋には別なところで新
たに劇場「タカタカブーン」をオープンさせるそうなのですが、こちらの場所も階段
のない1階にするなど、バリアフリー的な配慮をしていきたいということも話してく
ださいました。

 結果的に私たちにとっても非常に実りの多かった5日間の公演もあれよあれよとい
う間に過ぎて行き、20日の千秋楽も無事終わりました。
 佐々木さんは、篠原さんがこの「改造人間」を書くに当たっての着想の原点ともな
った、あの「仮面ライダー」の2号だった人です。その佐々木さんの、仮面ライダー
2号に対する強い想いを含めて、今回の「改造人間」に対する愛をたっぷり感じさせ
てくださったカーテンコールでのご挨拶は、私の胸を大きく打つ物でした。あまりの
感動に、暫くの間はハンカチを目元から話すことができないくらいでした。

 お客さんが全て帰られた後の舞台の上で、出演者の集合写真を取るとき、みんなは
、声の出演だけだった私も温かく迎えてくれて、全ての集合写真に参加させてもらえ
ました。
 また、鈴木と二人で、佐々木さんを挟んでのスリーショット写真も撮らせてもらえ
ました。ぎゅっと肩に回された腕のぬくもりを思い出すと今も嬉しさがこみ上げてき
ます!!

 これだけでも思い出いっぱいのひとときだったのですが、最終日のオールナイトウ
チアゲが、これまた素晴らしい思い出となりました。

 というわけで、来週はそのお話しをして、この「バリアが外れていくとき」の最終
回としたいと想います。

(来週へ続く)


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by amedia  at 17:26  | Permalink

バリアが外れていくとき(其の二)

 7月16日~20日まで上演された『改造人間哀歌2』関連のお話しの続きです。

 初日前日、舞台の仕込み作業をやっている日、私は楽屋の片隅で持ち込み仕事をしながら、出演者の皆さんと交流していました。
 ワンフロアー分の大きな楽屋に、主役の佐々木さんを含め、みんな一緒に詰め込まれていますが、実に楽しい雰囲気でした。
 佐々木さんはとても歌うことがお好きで、若いころに出されていた歌も含めて、よく歌っておられました。終演後10日経った今も、頭の中に佐々木さんの歌声が響いている程です。
 ここは、主宰篠原さんの持ち小屋なので、一つの建物の中に、稽古場、楽屋、劇場が全て揃っています。4階が稽古場、3階が楽屋、そして2階が劇場です。
 ちなみに、1階は篠原さんのお知り合いだという店長さんが店番をしているホビーショップです。この店長さんも実に面白い人で、嬉しい話があるので、これはまた来週の話題の一部にしたいと思っています。
 仕込みや稽古などで、みんなどたばたと出入りしています。当然のことながら、鈴木も出演者ですので頻繁に動き回っています。
 というわけで、私は、4階と1階にしかないトイレに行くことも含め、自分で探検してフロア間の移動はどんどん自力でできるようにしました。自分でできることは自分でやる。当たり前のことですが、これをちゃんとやらないと、人にお願いしたいことも言えなくなります。だから、移動している私に、スタッフの人が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれたとき、嬉しい思いで「はい、慣れましたので」と笑顔を向け
ることができました。

 16日、初日が開けました!
 この日は夜の部のみで、午後にはゲネプロ、つまり本番さながらのリハーサルが行なわれました。まだ客席も設置されていない中、わりと前方の上手(舞台に向かって右側)のほうに椅子を一つ出してもらい、そこでじっくり見学。前回稽古を観たときから比べて、みんなグレードアップしてるし、効果音やBGMもフルで入った状態の物を聞いたのはこれが始めてだったので、大興奮でした。例の、私のラジオの声も、芝居にすんなりなじんでいて、なんだかにんまりしてしまいました。
 このときから、私は自分が音と台詞だけではわからないところを、気をつけてチェックし始めました。そこを覚えておいて、後で鈴木に説明してもらい、それを踏まえて私以外の視覚障害のお客さんにちゃんと説明できるようにするためです。
 私のホームグラウンドである「演劇結社ばっかりばっかり」の芝居は、ステージ上に私と大河内君という2名の視覚障害者が乗っていることもあって、脚本や演出の段階から、視覚のハンディがあっても全て把握できるように工夫されているから何の憂いもなく観劇できるのは当たり前なのですが、他の劇団の物でも、普通の台詞の分量があれば、だいたい把握できます。しかも、シノハラステージングの作品はかなり台詞が多いほうなので、解説なしでも十分楽しめるのですが、ところどころ、説明したほうが圧倒的に心情が伝わるというような場面がありました。
 この日の夜には、視覚障害のお客さんはいませんでした。私は、さらに食い入るように神経を研ぎ澄まして観劇しました。
 この日から、毎公演、自分で気づいたり、鈴木に説明してもらったりで、この作品への理解度が高まっていきました。

 翌日からは、昼の部には視覚障害の人が必ず観にきているという状況になりました。まだ17日は私も不完全だったのですが、翌日からは、視覚障害のお客さんの隣に座って説明してあげられるようになりました。
 この頃になると、楽屋でも、私が疑問に思ったことを、鈴木以外のメンバーが率先して説明してくれるようになっていました。
 また、さりげなく誘導などでサポートしてくれる人も増えてきましたし、差し入れのお菓子を分けてくれたり、芝居の話、グルメの話、その他いろんな話で一緒に盛り上がれるようになっていました。
 また、17日の朝、喉の調子が良くないと嘆いておられた佐々木さんに、私が持っていた蜂蜜の飴を差し上げたところ、大変気に入ってくださったので、それから毎日二つずつ差し上げていました。いつもうれしそうに「ありがとね!」と声をかけてくださる瞬間が、とても幸せな瞬間でした。

 さて、観劇サポートのほうですが、18日終演後に、翌日来る視覚障害のお客さんが点字ユーザーであることを思い出した私は、画期的なガイド方法を思いつきました

 ということで、次回はそのお話しからにしましょう。

(来週へ続く)


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)


by amedia  at 15:55  | Permalink

バリアが外れていくとき(其の一)

 7月16日から20日まで、一月前にご案内しましたシノハラステージング公演『改造人間哀歌2~星空の約束~』の楽屋と劇場に張り付いていました。
 お陰さまで、連日満員御礼の大盛況で、音声パンフの配布しかしていなかったにも関わらず、全盲のお客さんも5名ほどきてくださいました。
 この場をお借りしてお礼申し上げます。
 実は、私、この公演に声の出演をさせていただいたのです!初恋のヒーロー、仮面ライダー2号・一文字隼人(いちもんじはやと)役の佐々木剛(たけし)さんと、うちの相方の鈴木大輔が共演できるとあってとても喜んでいたら、私まで「声の出演」という形で間接的に共演させていただけたというわけです。
 この公演に関する詳しいお話しは、アメディア発行の姉妹メルマガ「アメディアレポート」の7月28日号でお届けしたいと思いますので、そちらもお楽しみに。

 今回書きたいと思ったのは、この公演の稽古場、公演期間中、および打ち上げの席での、劇団員さんたちと私の関わりについてです。

 稽古場には、4回伺いました。
 他所の劇団に顔を出すっていうのは、なかなか緊張するものです。彼らは皆、視覚障害者と接したことのない晴眼者たちばかりなのですから。
 1度目は、とにかく声の出演で使っていただけるようにお願いしようと思っていたので、とりあえずの顔見せを兼ねて、通し稽古を見せていただいたのです。
 この日は、実際この舞台に参加する我が相方の鈴木大輔が私を、自分のマネージャー、兼パートナー兼自分のところの劇団員として、皆さんに紹介してくれました。
 どうやら、この日より前から、鈴木は私のことを紹介していてくれたらしく、稽古場の片隅の椅子にかけるやいなや、この劇団の看板女優の百合香さんが飛んできて、とても明るく丁寧に挨拶してくださいました。
 また、忙しい最中でしたが、この劇団の主宰にして脚本・演出家の篠原さんも、私を軽んじたりはなさらず、とてもフレンドリーに声をかけてくださいました。
 ただ、全体的には温かく迎えてくださっていたものの、まだ少し遠巻きに見られている感じがしました。
 そこで、通し稽古終了後、篠原さんにこっそり「皆さんに、音声パンフレットCDにお声を録音させていただけないか伺いたいんですが」と切り出すと、稽古のダメ出しの後に、ちゃんと私から皆さんに話をさせていただける時間をとってくださいました。
 「鈴木が出演するということで、私と同様に視覚に障害のあるお客さんが何名かいらっしゃると思います。その人たちに、少しでも理解していただけるツールとして、
CDによる音声パンフレットを作ろうと思っています。つきましては、音の顔写真の変わりに、お一人づすお声を録音させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
 まぁ、そんなことを話したと思います。すると、皆さんから、「了解!」との嬉しい声が帰ってきました。
 この日は、「後日機材を持って改めて録音しにきます」と告げてそのまま帰りました。

 すると翌日、篠原さんから鈴木を通じて連絡があり、「パニックを起こした人々のガヤの中の一人にと思ってたけど、ラジオのキャスターの声を」という嬉しいお申し出をいただきました。さっそく台詞をテキストデータでお送りいただき、自動点訳すると、鈴木との掛け合いで1分半ほどの会話になっていました。
 しっかり読み込んで、翌日再び稽古場へ。皆さんより1時間ほど早く到着し、いただいた台詞を、ちょいとNGを出しながらもなんとか録音していただきました。
 編集したのを聞かせていただくと、我ながらなかなかの女性キャスターっぷりです。「これならちゃんとラジオに聞こえるね!」と篠原さんからも安心の一言をいただきました。

 その翌日、三度稽古場へ。このときには、PTR1とマイクを持っていき、キャストインタビューに成功しました。
 もちろん、あの憧れの佐々木さんからも、とても渋いお声でのメッセージをいただけました。(普通に入力できるなら、ここにハートマークを付けたいところですが…)

 そしてまた数日後、舞台の仕込みの日に、もう一人の声の出演(というとまるで私がそのお方と同列みたいになっちゃって穴がなくても掘ってでも入りたいくらいの想いに駆られるのですが)、悪役声優でおなじみの渡部猛(わたべ たけし)さんの、
悪の首領の声の収録があり、そこにお邪魔させていただき、音声パンフ用の録音もさせていただきました。快くお引き受けくださった渡部さんは、短めの一言ですが、大サービスの悪役声を聞かせてくださいました。間近で聞く迫力の悪役声に、私はしびれまくってしまいました。

 この夜、他のお客さんたちに配るパンフレットと同じ内容を鈴木が朗読して録音し、材料が出揃ったところでぼちぼちと音声パンフの編集を始めながら、mixiの日記でその作業について書いたら、篠原さんからのコメントが入りました。
 「これ、開場してお客さんが入ってくる間のBGM代わりに、場内に流しましょうか」
 考えてみれば、佐々木さんのお声も、渡部さんのお声も入っているのです。確かにこれは、インパクトがありそうです。
 でもそれより何より、観劇後自宅に帰ってからでないと聞いてもらえないと思っていた音声パンフの内容を、視覚障害者自身も開演前に聞くことができるという事態に、私は大喜びしてしまいました。
 そこで、初日には視覚障害のお客さんはいらっしゃらないから2日くらいかけてゆっくりやろうと思っていた作業を、大急ぎで巻きまして、夜なべで完成させたのでした。
 今までそんな機会がなかったため、劇場のバリアフリーを意識していらっしゃらなかった劇団の主宰・篠原さんが、はっきりこちらを向いてくださったことを感じた瞬間でした。

(来週に続く)


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)


by amedia  at 16:18  | Permalink

飲食店とのお付き合い

 度々食いしん坊なネタで失礼します。

 実は、最近全盲の友人と話していて、彼女が凄いチャレンジャーであることが分か
りました。
 なんと、彼女は、同じく全盲のお連れ合いと一緒に焼肉屋さんでお食事をしたいと
思い、自宅のホットプレートで焼肉の練習を重ねて自信を付けてから、大手焼肉店『
牛角(ぎゅうかく)』へ行ったというのです!
 ここで炭火焼の焼肉屋さんを知ってる人なら、「ああ、やばい!」と気づかれてい
ることでしょう。当然のことながら、ホットプレートと七輪では状況がまったく違い
ます。全盲のお二人は、あちこちから出ている炎の状況を掴むことができず、「クッ
パだけ食べて帰ろうか」と諦めかけていたそうです。
 そこへ店員さんが現れ「よろしかったら、お焼きしましょうか」と申し出てくださ
り、お二人は大喜びで感謝しつつ、無事美味しい焼肉を召し上がってこられたそうで
す。
 この友人は、元々どこへでも一人で行ってしまうチャレンジ精神の持ち主なのです
が、焼肉へのチャレンジには本当に脱帽でした。
 しかし、それにも増して、この牛角の店員さんに対しても頭が下がる想いでした。
よもや、目の不自由なお客が、サポートしてくれる人無しで来店するとは想像だにし
なかったでしょう。ところが、突然全盲の二人連れが現れた。その二人が、炭火を前
にして呆然と途方に暮れる…。おそらく、あっけにとられ、ただ成り行きを見守り、
クッパだけを食べていく姿を見送る。多くの人がそんな反応になってしまうのではな
いかと思うのですが、本当に勇気のある、そして優しい店員さんだったのでしょう。
 もちろん、牛角のマニュアルには、このような想定はないと思うので、牛角ならど
こでもどんな店員さんでもやってくれるという物ではないでしょう。彼の、あるいは
そのお店の店長さんの裁量の賜物だと思います。

 こんなに嬉しい話はそうそうあるものではないと思いますが、気に入ったお店を行
きつけのお店にすると、そこの店員さんがどんどん親切になってくるということはあ
ります。たぶん、私を含めて、積極的に出歩き、美味しい物、楽しい人間関係を自分
から求めていくタイプの障害者は、そのお店に嬉しい変化をもたらし、そのお陰で別
な障害者の人がそのお店を訪ねたとき、思いがけなくスマートで親切な接客を受ける
ことになるかもしれません。
 以前にもこの欄で書いたと思いますが、私が昔住んでいたところの近所にあった回
転寿司がそうでした。最初とまどっていたお店の人たちが、私の希望を受け入れて、
食べたい物を言うと、回っていれば取って、回っていなければ握って、レーン越しに
お皿を手渡してくれるようになったのです。お陰で、それ以降にその回転寿司を訪れ
た全盲の友人が、「美月さんちの近くの回転寿司、凄く親切だったよ」などと話して
くれました。

 食べる行為には直接的に影響はないけれどけっこう悩みの種になるのが、麺類の食
べ方です。白い服を着ているときのカレーやケチャップもしかりで、汁やカレーやケ
チャップなどが衣服に飛ぶと、かっこ悪いだけでなく、洗濯も大変なことになります。
 そういう物を食べにいく予定があるときには、私はなるべく大きなハンカチを持っ
ていって、胸元にかけたり膝に広げたりするようにしています。
 でも、持参しなくても大丈夫なお店もあります。普通のラーメン屋さんなどにはな
いサービスとして、焼肉屋さんの一部やカレーウドン専門店などでは、使い捨てのエ
プロンを出してくれます。これは、障害者に対してだけではなく、誰に対してでも出
される物です。
 実は、これは視力の有無に関わらず、飛ばしてしまいがちな食べ物だからなのでし
ょう。本来の価格より100円程度上乗せされても、これこそバリアフリーな、誰に
でも嬉しい配慮だと思います。

 こんな配慮があちらこちらのお店で実現できたら、私たち障害者の外食も、とって
も便利で楽しくなることでしょう。
 しかし、リーズナブルなお店は、人件費を削減して安くしているところが多いよう
で、そんなお店に行って、いろいろな要求を適えてもらうのは心苦しいものです。お
寿司の手渡しくらいであればさほどの負担にはならないと思いますが、例えば、ファ
ミレスのドリンクバーやサラダバー、ビュッフェスタイルのバイキングのお店、ハン
バーガーショップやカフェテリアなどセルフサービスが基本になっている飲食店です。
 でも、そんなお店に気軽に行きたいこともあります。300円程度の上乗せ価格で
、サポートがマニュアル化されたら、私は少しは心安く入店できるのではないかと思
う今日この頃です。
 もちろん、お財布に優しいお店を、お財布に優しいまま使いたいときには、なるべ
くお友達と行くなどの、使い方バリエーションも考えてみたいと思うのですが。

 このように、お店の種類、価格帯、込み具合などに応じて、お店の人と私たち自身
が臨機応変に思いやり合いながら、楽しくお付き合いしていけたらと、またそんなこ
とを考えているのです。

 最後に、紙エプロンを常備していてくれる、味もすこぶる美味しいカレーウドン専
門店「古奈屋(こなや)」のURLをご紹介しておきますので、それぞれの支店を利用
できそうな方は、ぜひいらしてみてください。また、このページには、お取り寄せ便
もあり、それぞれの商品には、音声で楽に聞ける食べ方レシピも付いてますので、来
店できない方もぜひゆっくり覗いてみてください。

http://www.konaya.ne.jp/


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 18:36  | Permalink

『改造人間哀歌2』

 突然ですが、私の相方にして、演劇結社ばっかりばっかり主宰の鈴木大輔が、外部出演することになりました。
 なんと、私の小学生の頃の初恋のヒーローの一人、仮面ライダー2号・一文字隼人(いちもんじ はやと)役をやっていらした佐々木剛(ささき たけし)さんとの共演です!!
 タイトルは、『改造人間哀歌2~星空の約束~』です。
 「2」ということは、当然「1」もあったわけで、じつは昨年しっかり観劇させていただいてました。
 もちろん、佐々木さんは主役だったのですが、このタイトルからも分かるように、改造人間のお話しです。「仮面ライダー」という言い方こそ出てきませんが、どうやらこの主人公もかつて改造手術を受け、そして正義の味方として大活躍していた過去があるようです。でも今は、ある程度の年齢に達して、「正義の味方」も引退していたのですが、結局そうは問屋が卸してくれず…。悲哀とカッコ良さの同居した、とても素敵な作品でした。
 その続編なのか、続きではないのか、第2弾として上演されるお芝居に、鈴木も出演することになったというわけです。といっても、そんなに大きな役をいただいているわけではないのですが、日々、楽しげに稽古に通っております。

 ところで、この主役の佐々木さんですが、やく40年弱程前にヒーロー一文字隼人役をはじめ、多くのドラマで善悪様々な役柄を演じ順風満帆のように見えていましたが、35歳のときに自宅が火事になり、そのときに負った大火傷のため、TV俳優にとっての命ともいうべき顔の皮膚を何度も移植しなければならなくなったのだそうです。その後、仕事は激減し、家族を抱え、路頭に迷い、ついには離婚にまで至るなどの不幸に次々と見舞われ、ぼろぼろになったのですが、10年ほどの後、石橋正次さんら・俳優のご友人たちの励ましで舞台俳優として立ち直って行かれたということです。
 そして今は62歳。渋く豪胆な演技を見せてくださる、素晴らしいベテラン俳優さんです。

 もちろん、我が相方を観ていただきたいということもありますが、ぜひともこの佐々木さんの姿を、声を堪能しにいらしていただきたいと思ってご紹介した次第です。
 以下、詳細情報です。

○シノハラステージング公演
『改造人間哀歌2~星空の約束~』
出演
佐々木剛
永野百合香
こぶしのぶゆき
鈴木大輔

2009年7月
16日(木)
19:30
17日(金)
14:00/19:00
18日(土)
14:00/19:00
19日(日)
14:00/19:00
20日(祝)
14:00/18:00
※開場は上記開演時間の30分前からとなります。
※各回終演後、佐々木剛さんのサイン会を催します。
※各夜の部終了後、駒込駅前「やるき茶屋」にて佐々木剛さんを囲んでの飲み会があ
ります(人数限定、有料)。
会場◎STUDIO・TAKA TAKA BOON!(スタジオ・タカタカブーン)
(JR駒込駅より徒歩10分ほど)
※ 会場への行き方は下記をご参照ください。
http://home.interlink.or.jp/~staging/studio/komagomekaranomap.html

チケット:
前売り3,000円

※今回は外部出演の為、駅からの誘導や音声ガイドなどのバリアフリー的配慮はあり
ません。ご容赦下さい。
音声パンフレットのみ作成の予定です。視覚に障害をお持ちの方は、ご予約の際に音
声パンフレット希望』とお申し付け下さい。
※各夜の回終了後の佐々木剛さんを囲む会に出席をご希望の方も、ご予約と併せてお
申し付け下さい。
☆お問い合わせ・ご予約は演劇結社ばっかりばっかり↓↓↓
mail@bakkaribakkari.com
または
09038186424
まで。

 その他、前回公演の様子なども含めて詳しくお知りになりたい方は、下記サイトを
ご参照ください。
http://home.interlink.or.jp/~staging/syborgelegy/top.html

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 18:32  | Permalink

献杯、そして合掌

 今年の初夏は、悲しい別れの連続となりました。

 まず、5月2日、日本の個性派ロックシンガー・忌野清志郎(いまわの きよしろう)さんが、癌性リンパ管症でこの世を去られました。享年58歳。
 80年代前半高校生だった私は、深夜のラジオ放送から流れてきた彼の歌声に度肝を抜かれました。その曲は「雨あがりの夜空に」という、ちょっと危なくちょっと甘く悲しい歌でした。そしてどことなく優しく刺激的な詩と歌声に「何だろう、この人は!?」と思っていると、「ぼくの好きな先生」「パパの歌」などの暖かな曲もあるではありませんか!また、「デイドリーム・ビリーバー」や「イマジン」などの海外
アーティストの歌もとっても楽しく愛情深い味付けにしたりして、常に魅力を発し続けてきたミュージシャンでした。

 次に、5月26日、私が愛して止まぬ小説家栗本薫さんが、膵臓癌のため逝かれました。56歳でした。
 彼女の書かれていた「グインサーガ」は、一人の小説家が自力のみで書いた作品としては、世界最長と言われる物で、実に30年という年月をかけて126巻まで刊行された時点で完結を見ることなく逝かれたのでした。
 詳しくは、アメディア発行の姉妹メルマガ『アメディアレポート』の6月9日号のトピック欄をご参照ください。
 とにかく、多彩な表現者で、心から尊敬できる方でした。

 そして、6月13日、私の相方も含めて多くのプロレスファンを魅了してきた三沢光晴さんが、広島での試合中、不慮の事故で帰らぬ人となってしまいました。享年46歳、あと5日生きていれば、今日6月18日で47歳になるところでした。
 プロレス音痴の私ですが、相方が彼の入場テーマの「スパルタンX」を携帯の着メロにしている程の惚れ込み様であることは知っていたので、もらい泣きしていました。
 彼らをそこまで魅了してきた三沢さんという人がどんな方だったのか、私なりに気になってwikiで調べてみると、試合の様子だけではない、大きな魅力のある人なのだということが伝わってきました。
 義理・人情に厚く、常に真剣な人、まっすぐな人、それでいてやたらと人間臭さのある人物像が浮かび上がってきました。
 困っている人がいれば、仲間のみならず、恩讐を超えて手を差し伸べた人だったといいます。
 「プロレスリングノア」という団体の代表取締役でしたが、その団体の枠を超えて、プロレス界全体を盛り上げようとしておられたし、ノアに所属していたプロレスラーが他の格闘技に転向する際も温かく支えになってあげていたようです。
 エネルギーと技術と多くの人望を抱えたまま、一瞬にして旅立たれてしまったのです。

 こうして、悲しい別れが続く中、私の極身近なところでも別れがありました。
 実は、この欄でもときどき書かせていただいていた宮城の祖母が、6月3日に、病院で叔父、つまり祖母の息子家族に見守られながら静かに息を引き取ったのです。享年満101歳の大往生でした。
 なんと、祖母の死への旅支度は、生前の祖母が数年前に自ら縫っていたという白装束でした。そのことを語ってくれたのは、ここ数十年姑である私の祖母に優しく尽くしてきてくれた義理の叔母でしたが、肩の荷を降ろしてほっとしたであろう彼女こそが、出棺の際、誰よりも号泣していたのでした。それを見ているうちに、その胸中を思ったら、それまで以上に胸が詰まり、祖母と叔母双方への想いが目から溢れて止まらなくなりました。

 片や四十・五十の働き盛りで多くの人に惜しまれながら旅立った人たち、そして片や天寿をまっとうし家族・親類に温かく見送られて旅立った祖母…。人の運命とは、なんと不思議な物なのかと考えさせられた今年の初夏でした。

 ああ、プロレス観戦も大好きだったちょっとおてんばなおばあちゃん、もしかすると今頃、「三沢さん、あんだもこっちさ来たのすか?面白い試合見せてけらいんね。
」なんて話しかけているのかもしれません。
 そんなことを思いながら、改めて亡くなられた皆さんのご冥福を祈って献杯したいと思います。…合掌。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



視覚障害者の情報文化を紹介するメルマガ「アメディアレポート」

by amedia  at 18:24  | Permalink

みなさんに感動してもらえてうれしいです」

 この言葉は、先日行なわれた「第13回バン・クライバーン国際ピアノコンクール」の優勝者・全盲のピアニスト辻井伸行さんが、優勝の感想を聞かれたときに口にした言葉の一説です。審査員をはじめ、観客となった人々に感動してもらえたことを、本当に素直に喜んで発せられたこの一言の純粋さに、彼の足元にも及ばぬながらも表現者の一人として感動しました。
 もちろん、その言葉だけでなく、各情報番組で少しだけ流される演奏も、技術力といい、表現力といい、十二分に感動できる物でした。

 さて、今回の彼の素晴らしい功績を讃えるマスコミのほとんどが、日本、いやアジアで初の優勝者であるということに加えて、必ず「全盲」であることを強調しています。それに対して、多くの視覚障害者が反発を禁じえない様子で、「なぜ、全盲だということをことさら強調するのか」などとマスコミを批判する声が上がっています。
 でも、果たしてマスコミのこの報道の仕方は間違っていると言い切れるのでしょうか。私はそうは思いません。マスコミの立場としては、これは大きな話題となる要素なのです。
 例えば、日本人初、アジア初である優勝者が、超絶美人だったとしたら、おそらくマスコミは「超美人ピアニスト」という冠をつけて報道するのではないでしょうか。
それに対して「美人なことは、ピアノの実力とは無関係なのに」という批判は、そうは起こらないと思うのです。
 確かにこの例の場合、美人であることはピアノの実力とはまったく関係はありません。それでも批判はほとんど起こらない。
 むしろ、今回の辻井さんのように、全盲であることなら、ピアノの実力を考える上で、少しは関係があることになります。それなのに批判されてしまうのはちょっと残念です。楽譜を読めないハンディはもちろんのこと、単純にいうと、離れた鍵盤へポーンと飛んで着地する奏法など、その感覚を掴むために、普通に目でコントロールするところから始まる人たちの何倍もの熟練を要するのです。単に「才能が豊か」というだけではどうにもならない、努力と工夫の積み重ねがあるのです。もちろん、この辺りの技術的ハンディを補って演奏活動をしている視覚障害者は、辻井さん以外にも大勢いますが、その上に素晴らしい感性と表現力をどっさりトッピングした状態の彼が「全盲である」ということで注目されることにより、他の多くの視覚障害ピアニストの存在にもスポットが当てられていくかもしれないのです。
 そして、そうやって多くの視覚障害ピアニストが世間に認められるようになっていけば、やがて「全盲であること」は特筆するような事柄ではなくなっていくかもしれません。
 でも、残念ながら、今はまだそうなっていないのですから、「大いに知ってもらう時期」だと捕らえて、この報道に甘んじていても、何等問題はないと私は思うのです。こんなこと、ピアノをかじっていたのに自主挫折してしまった私が言っても説得力はないかもしれませんが、私の知っている中にも多くの素晴らしい全盲ピアニストがいて、あちらこちらでコンサートを開いていますし、指導者としての分野でも活躍し
ておられます。こういう皆さんに、もっともっとスポットライトが当たったり、お弟子さんが増えたりしていったら、本当に素敵だと思いませんか?
 これ、実現できないことではないと思います。
 なぜなら、既に日本では、お琴や三味線、琵琶などの和楽器の分野で、何百年という年月の中、視覚障害者の演奏家や作曲家が活躍してきたおかげで、その分野では全盲であることが特筆されることが少なくなっているからです。お正月によく耳にする「春の海」を、「この作曲家の宮城道雄さんって、全盲だったのに凄いねぇ」なんていう言い方をする人はあまりいないようです。

 ということで、マスコミの「全盲強調式報道」、私は大いに歓迎するとまでは言わないものの、あまり批判めいたことを言いたくないと思ったので、今回一言書いてみました。

 最後になりましたが、辻井さん、本当におめでとうございました!これからワールドツアーも予定されているようですが、体に気をつけて、多くの人々に感動を与えてきてください。
 そうそう、私もCDを購入しなければ。皆さんも、こちらのサイトからお求めになってはいかがでしょうか。

http://tinyurl.com/mf3llg

「今日の風、なに色?―全盲で生まれたわが子が「天才少年ピアニスト」と
呼ばれるまで 」
http://tinyurl.com/n2am63


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 18:37  | Permalink

山中湖マラソン完走

          望月優
 先週の日曜日、5月31日に2度目の山中湖マラソンを走ってきました。
私しか伴走したことがないという保険代理店シリーの丸山さんの呼びかけで集まった仲間が30人。その中で、目が見えないのは私一人です。
今回も丸山さんに伴走してもらい、8千人の集団の一番後ろに位置取りしてゆっくりスタートしました。
 しかし、やはりスタート地点は大変な人ごみでなかなか前に進みません。
そうこうしているうちに、私はトイレに行きたくなったので、早くも1キロ過ぎのところでトイレによりました。
 すると、人ごみの集団はみんな先に行ってしまい、非常に走りやすい状態になっていました。
 ここから私と丸山さんのペースで走りましたが、対して早く走っているわけではありませんが、次々と人を追い越していく快感。
一番どん尻に下がったので、追い抜く人しか存在しません。
 道路脇からの応援の声がとても身近に聞こえ、今年はこれらの応援に返事をする余裕があり、11キロ過ぎの子供の応援に対しては、ハイタッチで答えました。
 ところが、1週間前に軽いぎっくり腰を起こしていたので、6キロ過ぎの上り坂とその後の下り坂のときに右の足腰に痛みが走り、ひどくならないよう願いながら走りつづけました。
 結局、平坦なところで痛みは和らぎ、11キロ過ぎの突然の大雨にもへこたれず、何とか13.6キロを1時間50分ぐらいで完走しました。
 今回、初参加の東京中小企業家同友会の仲間二人もばっちり完走しました。

 なお、私は、第2・第4日曜日に代々木公園で行なわれているアキレス・トラッククラブの練習会に参加しています。
 9時半に山手線原宿駅の渋谷よりの出口に集合して練習会に行きます。
 視覚障害者の伴走に興味のある方、そして視覚障害者で走る練習をしたい方、是非どうぞ。

アキレス・トラッククラブ
http://achilles-track-club.hp.infoseek.co.jp/

タックペーパーにも打てる、高品質印字の各種点字プリンタ

by amedia  at 16:52  | Permalink

小田急線での嬉しいふれあい

 ITが確立してきた現在、日常生活の中で「見えたらよかったのにな」と思うシチュエーションはほとんどありません。
 まぁ、宝塚ファンとしては、日ごろ歌や音楽や台詞やステップの音でも十分浸りきっているのですが、やはりきらびやかな舞台を目にしたいと思うことがないわけではありません。とはいえ、自分が舞台に立つことに関しては、もう視覚障害の熟女、もとい、中年おばさんの役に徹しているのでそれなりに満足はしています。
 いずれにしても、今の私にとって視力という物は、「まぁあったら便利だろうね」といった程度の物です。(なんて言ってて、ある日突然見えるようになってたら狂喜乱舞しそうですが(笑))

 そんな私ですが、本当に「この瞬間、見えてたらな」などと思うことが、たまーにあります。
 それは、親切な方に声をかけていただいたときです。乗り物などで座席を譲ってくださろうとする方の様子が、声だけでは図りかねることがあり、本当はとっても疲れているお顔だったらどうしようなどと躊躇することがあるのです。基本的にはありがたく座らせていただくことが増えてきているのですが、やはりとても気になります。また、譲っていただいた後でも、その方が降りていかれるときや、反対に私が降りていくときに、一言お礼を言いたいのに、こちらから確認することができないのは、申し訳なさすぎて、ちょっと辛いと思うのですが、よくよく考えてみたら、自分が晴眼者だったらこんなシチュエーション自体がないんですよね。ある意味凄く矛盾したことなのですが、変に悩んでしまいます。

 昨日こんなことがありました。
 昨日はちょっとした記念日だったので、久々に新宿のデパ地下で美味しい物を沢山買い込み、夕方のラッシュ時に小田急線の急行に一人で乗り込んでいました。
 ぎゅうぎゅう詰めの人の合間に大荷物を持って変なかっこうでやっと立っている状況のとき、マナーモードにし忘れてた携帯が「旦那さんから電話だよーっ!」(着信ボイスです)と叫びだしたのです。恥ずかしいのなんので、必死に携帯を引っ張り出して通話ボタンを押したものの、耳に持っていくのが至難の業!ようやく一言二言会話して切ると、こんどはしまうのにえらく難儀してしまいました。やっとの想いでしまったと思ったとたんに、買い物袋の一つが床に落下!!
 (ひぇーっ!この中には京都の老舗の出汁巻きと鰻巻きが入ってるんだよぉ!誰かに踏まれたら大変だぁ!!)
 気持ちはあせるけれど、かがむにかがめない。
 と、その荷物側に立っていたご婦人が「あらまぁ、大変!拾ってあげましょうね」と言って、なんとその玉子焼きの袋を拾い上げて手渡してくださったのです!本当に嬉しくて、何度も何度もお礼を言いますと、 「だって、あなた杖も持ってらして、大変じゃないの。私は身軽だったから拾って
あげただけなのよ」
 と、優しいお声で言ってくださいました。
 その後、何度かドアの開閉があるうちに、人にもまれ、かなり移動してしまったので、どちらかが降りるときにご挨拶できなくなってしまうんじゃないかと、いつもの気まずい感情がわきあがってきていました。
 でも今回は、嬉しいことに、私と同じく新百合ヶ丘で急行を降りられたのです。しかも、降りるときにも私が難儀していると、「先程の者ですけど、ここで降りられるの?」と声をかけてくださり、一緒に降りてくださったのでした。
 もちろん、改めてお礼を申し上げ、気持ちよく別れを告げることができたのでした。

 込み合った電車の中、私の肩を鞄置き替わりにしたサラリーマンらしき人が不幸になればいいなどとは言いませんが、この親切なご婦人に幸いあれと思った、うれしいひとときでした。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



気軽に一声かけましょう:目が不自由な方への声かけガイド

by amedia  at 16:11  | Permalink

美容院にて

 いよいよ、朗読会2日前です。お陰様で昼夜共完売いたしました。ありがとうございます!

 さて、本番も間近になったので、稽古に励む傍ら、自己メンテナンスも行ないました。

 まず、これは先月末のことでしたが、背中の真ん中くらいまであった髪を、15センチ程切りました。乱立する美容院の中で、分相応、つまりお財布に優しい美容院でカットしてもらったのですが、全体的にシャギーが入ったカット(髪の毛の裾のラインが綺麗にギザギザになるようなカット)はなかなか素敵に仕上がっているようです

 3年前まで、私の髪型は、ボブカットが基本で、それが長いか短いかという程度にしか変化していませんでした。あまりにも奇抜な髪型にするのは嫌だけれど、少しくらいならおしゃれがしたいと思っていたのですが、旨くアドバイスしてくれる人もいなかったので、まっすぐ切りそろえてふわっと内巻きになるだけのボブカットでそれなりに満足していたのです。
 けれども、現在のパートナーに出会うと、ボブカットが苦手だというのです。それで提案してもらったのが、現在の髪型です。
 また、人一倍髪の毛の分量が多い私は、ただカットしただけでは軽やかさが得られず、カットする度に内側の髪をすいて軽くしてもらっています。

 髪の毛のお手入れはこれで良いとして、前々からよく困っていたのが、眉毛のカットです。私は髪の毛だけでなく、眉毛もすぐにふさふさになるのです。ふさふさというとなんだかかわいらしいイメージに聞こえますが、言い方を変えるとぼうぼう眉ということになり、これはもう、「女性としてはちょっとどうなの?」といった感じになるのです。
 今までは、極たまに、実家の母や、行きつけの化粧品屋さんに頼んで、というより見るに見かねて「切ってあげようか?」と言われてからお願いする感じでカットしてもらうのみでした。
 でも、今回も去年の秋の芝居前に切って以来、もうぼうぼうだったので、髪を切ったときについでにお願いしてみようとしたら、そのお財布に優しい美容院では、「うちは眉カットはやってないんですよね」と断られしゅんとしてました。

 で、先日、「こういうときこそネット検索じゃないか!」と思い立ち、最寄の駅名と「眉カット」で検索してみたら、何軒かヒットしました。いろいろありましたが、家から5分もかからないようなところに最近オープンした美容院が、1050円で眉カットをしてくれるということが判り、今週の月曜日にようやく切に行ってきました。
 ところが、一人で行ったので、「どんな感じにしますか?」の質問に一瞬ひるんでしまう私。イケイケ姉ちゃん風な美容師さんは、しかしとても良い人でした。
 「じゃぁ、優しい感じに整えていきますね。」
 「はい、そんな感じで…」
 あいまいな感じで笑う私でしたが、髪の毛を切ってもらうときと違い、ガチガチに゜緊張してしまい、どんどん肩が凝ってきます。そんな私に、その日のとっても良いお天気についてなど話しかけてくるおねえちゃん美容師さん。イケイケだけど、決しておつむが軽いわけではなく、気づくといつの間にかリラックスさせられて、今週末に朗読会をやるのだという話をしていました。
 「へぇ、どうやって読むんですか?もしかして、点字ですか?」という興味津々のナイスつっこみ(?)!
 そこから始まって、彼女が駅や電車の点字表示について興味を持っていること、道に敷かれている黄色いぽつぽつ(彼女の表現です)は本当に役立っているのかということ、以前にCMで(おそらく公共広告機構の物かと思います)で黄色いポツポツの上に自転車なんかが置いてあって目の不自由な人が困っているのを見てから自分でもそういう自転車が置いてあるとどかしたりしていることなど、いろいろ話してくれました。
 ほんの10分強という短い時間でしたが、その美容師さんのおかげで、顔も心も優しくなれた私でした。
 お会計直後に、持参していたブレイルメモポケットを見せてあげたら、声を挙げて喜んでくれました。

 美容師さんだけではなく、多くの視覚障害者の方が従事している鍼灸按摩マッサージのお仕事も、やはり1対1でお客さん(患者さん?)と接する大変なお仕事ですが、やはり話題を豊富に持っていて、お客さんをリラックスさせてあげられるのは素敵なことだと思います。十羽一絡げで評するのは如何かとは思いますが、“言葉”に生きる視覚障害者にとって、心も体も癒せるお仕事は、やはり向いているお仕事ではないかと思いながら、僅か5分の家路をたどった私でした。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



タックペーパーにも打てる、高品質印字の各種点字プリンタ

by amedia  at 16:38  | Permalink

人の“縁”とは素晴らしい!

 私の所属する「演劇結社ばっかりばっかり」の朗読会も近づいてきて、私の生活はもっぱら稽古と宣伝に明け暮れております。(おかげさまでお昼の回は完売です!)

 そんな中、とても嬉しい出会いがありました。
 mixiの音訳関連のコミュニティに自己紹介を書いたら、それを見てくださった方が何人か私のトップページを訪れてくれました。
 その中のお一人が、アクセスする2日前に、4年前に他界されたお母様の品物を整理していたとき、偶然「幸せを開くカギ」のシングルCDを見つけたというのです。じつはこれ、私が19年前に作詞・作曲して歌った、日本点字百周年記念のイメージソングで、昔懐かしい細長い紙ジャケット入りの小さいCDなのです。
 そしてやり取りするうちに、この方のお母様は、私が90年代前半にお世話になっていた音訳グループのお仲間の方だったということが明らかになりました。お母様は80年代にそのグループで活躍され、十数年にわたる闘病生活の末、4年前に亡くなられたそうなので、私は直接お会いしてはいなかったのですが、どうやらそのグループの方がお見舞いとして私のCDを差し上げたということらしいのです。
 私は、心臓が飛び上がるほどどきどきと興奮しました。その品をずっと大事にしていてくださったのでしょう。幾分でも病床のご苦労を癒すツールになっていたのかもしれません。
 そして、私と同い年だというこの方は、お母様が亡くなられた後、自然にお母様の意志を継がれ、3年前から音訳者として活動されているというのです。何か、涙が出るようなお話だとは思いませんか?
 この方とはさっそくマイミクシイとして登録し合い、仲良しになりました。
 ところが、ご縁はそれだけではなかったのです。
 この方は、気になった新聞・雑誌の切抜きをコレクションしているそうなのですが、私とのマイミク登録の2日後、こんどはそのコレクションした物を整理しようと眺めていて、なんと私が代表を務める「バリアフリー読書サークル YAクラブ」の事務局長がインタビューされている雑誌の切抜きを見つけたというのです!もちろん、私は、mixiのプロフィールにYAクラブのことを書いていたので、またまたその偶然
にびっくりなさったというのです。
 ここまで偶然が重なると、もう私と彼女は赤い糸で結ばれていたんじゃないかと考えたくなってきます。「縁は異な物、味な物」とはよく言ったものですね。

 その彼女が、朗読会にご来場くださるというので、私はお会いできるのをとても楽しみにしているところです。しかも、お母様の後を継がれて音訳を始めた彼女は、私がとてもお世話になっていた、アメディアとも浅からぬえにしのある、音訳者でフリーのアナウンサーでもある方と、一緒にいらっしゃるというのです。
 初めての人との出合い、そして懐かしい人との再会…おそらく、終演後の朗読会場は、かなりにぎやかなことになりそうです。


 さて、降って湧いたような偶然がもたらすえにしも素晴らしいのですが、大事にしていきたい“縁”という物もあります。
 じつは、本誌291号(4月9日発行)のこの欄で、こんど朗読することになった作品の著者・佐川芳枝さんがおかみさんをやっておられる「名登利寿司」をご紹介しましたが、先日、ご挨拶かたがたチラシを持って再訪しました。
 もちろんおかみさんは覚えていてくださったのみならず、嬉しいニュースを持っていてくださいました。
 なんと、私が書いた記事を読んだ神奈川県の視覚障害者のご夫婦が、「わざわざ食べにきてくださった」のだそうです。しかも、私の書いた文章をプリントアウトして行かれたそうで、それを見たおかみさんは本当に嬉しかったと言ってくださいました

 私の文章を読んで出向いてくださったというそのご夫婦と、それを覚えていて伝えてくださったおかみさんに、心から感謝しました。
 これも大切にしたい“ご縁”なのです。

 最後になりましたが、まだ朗読会の夜の部にはかなり余裕がございますので、改めて詳細を貼り付けておきます。ご予約お待ちしております!!
 素敵な“ご縁”を結びましょう。

演劇結社ばっかりばっかり 第4回公演 
「朗読ディナー~昼の部あり~(食事なし)」
日時  2009年5月23日(土)
    昼13時~(完売)、夜17時~(お待ちしてます!)
場所  ギャラリー・ハセガワ(東京都渋谷区神宮前1-19-5)
     ※JR山手線「原宿」駅竹下口から徒歩2分
出演  石津正幸、大河内聡之、こんやゆうこ、美月めぐみ、鈴木大輔
料金  1,000円(完全予約制)
【申し込み方法】
 お申し込み・お問い合わせは、メールか電話でお願いします。
 なお、お申し込みの際、お名前、人数をお知らせ下さい。(夜の部のみ受け付け中)
 また、障害をお持ちの方で原宿駅からの誘導をご希望の方は、その旨お知らせ下さい。
定員  各回30名。
締切  先着順でお受けして、定員になり次第締め切らせていただきます。
Email  
mail@bakkaribakkari.com
TEL   090-3818-6424(代表)
※ 純益の一部は、前回公演「トイメン」の会場での募金と合わせて、東京盲ろう者友の会に寄付いたします。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



ゲーム感覚で自然に点字が身につく点字学習ソフト・ろくてん満天

by amedia  at 18:20  | Permalink

エレベータの恐怖

 アクティブに一人歩きするようになった10代半ば頃からよく観る悪夢があります。

 それは、見知らぬホテルだったり、大きなビルだったりするのですが、その建物のエレベータに乗った私が、行き先ボタンを確認できずにいるうちに箱が動き出し、何回だかわからないところに止まってドアが開き、降りてみても周りの様子がさっぱりわからないというものです。これを何度も繰り返し、途方に暮れているうちに、箱の動く速度がどんどん速くなっていったりするのです。
 想像してみてください、その怖さ…!
 いや、速度が速くなるのは誰にとっても怖いことだろうけれども、高層階の見知らぬフロアに、何の手がかりもなく降り立つ恐怖は、しかし視覚障害者にとっては笑い事で済まされない、現実にもありかねない恐怖なのです。

 現実の世界でいうと、若いうちは4階5階ぐらいまでなら、その恐怖を避けるために階段を使ったりもできましたが、やはり高層階にいくときは無理でしたし、最近では少し膝が悪くて(はい、重みのせいです、ごめんなさい)、低層階への移動でも、ついついエレベータを利用するのですが、自動音声案内が付いていないエレベータにはいつでも大変スリリングな想いをさせられます。

 とはいうものの、現実の世界は、ありがたいことにここ数年でかなりユニバーサルデザイン化され、駅やホールなどの公共の建物を初めとするエレベータには、自動音声案内や点字表示が充実してきていますので、大変助かっています。
 でも、どうせ音声案内を付けるなら、より判りやすい物をつけてほしいというのが人情です。というか、安全性や利便性を考えても、より適切にすべきなのに、ちゃんと一人歩きしている視覚障害者にリサーチしたのだろうかと思うことが多々あります。

 まず、最近車椅子の人たちがバックで出なくても住むように、通り抜け式になった優れもののエレベータが増えているのですが、この場合のメッセージです。
 一番適切に感じたのが、「このエレベータは、乗ったほうと反対側のドアが開きます」という物でした。これは本当に完璧です。
 次に、これに近いくらい良い物としては「奥側の扉が開きます」という物があります。
 困ってしまうのは、「こちら側のドアが開きます」という物です。いちおう、両方のドアのところにそれぞれスピーカーがついているのですが、音の出どころが明確には判らないことがあるのです。人間の耳は、どうやら左右の定位は判別できても、前後に対しては鈍いようです。
 さらにやっかいなのは、ホームと改札を行ったり来たりするだけでなく、全部で3フロアにまたがって移動するタイプの物です。下では入り口A、真ん中では入り口B、上ではまたAというように。これはもう、「こちらのドア」方式しかありません。
 ここまで読んでこられた方の中には、「そんなのドアが開けば判るからいいじゃないか」と言われる方もおられるのではないでしょうか。でも、開く前に判っていればスムーズに行動でき、同乗者の人たちに迷惑をかけずに済むのです。

 もう一つ、音声案内で大事だと思うのは、タイミングです。
 私は、一般のデパートなどのエレベータガールさん方式で、まずは乗っている人に対して、それから乗ろうとする人に対してという優先順位でアナウンスするべきではないかと思います。
 具体的にいうと、ドアが開く瞬間に、そのフロアが何階なのかなどの情報、その後、ドアが開ききったあたりで、そのエレベータの行き先を告げるという順番が望ましいと思います。
 ところが、都営地下鉄三田線の三田駅では、ドアが開いた瞬間に行き先を案内し、動き始めたときに次の到着フロアを告げるのです。
 慣れないうちは、ドアが開いた瞬間に「地下1階、三田線改札口」という言葉が耳に飛び込んできて、「え?さっき乗り込んだところじゃーん!」と驚き、ドア口付近で下りて良いのか箱に戻るべきかとまどい、他の方に舌打ちされたりもしました。
 しかも、このアナウンスのタイミングが、場所によってまちまちなので、さらにとまどうことになるわけです。

 もう、私がよく観る悪夢のような状況になることはかなり少なくなってきているにせよ、音声案内の言葉の選び方やタイミングなどについては、もっと一人歩きをしている視覚障害当事者にリサーチして決めていってほしいと思うのでした。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 18:21  | Permalink

泣き虫めーたんのディズニー・レポート(長文)


(美月めぐみ)

 前号のコラムには、MLや個人メールなども含めて何人かの方から感想をお寄せいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
 そのご感想を読ませていただいて、改めてディズニーの魅力を知ることができました。やはり、他のテーマパークとは一線を隔しているようですね。

 そして、お約束どおり、こんどは身を持って体験してきました!そう、予定通り、ランドではなく、シーのほうに行ってきたのです。
 私は、どうも涙腺が緩いようで、今回も、本気でお客さんを楽しませようとしている人々の温かさに触れて、最初から涙ぐむことしばしといった状態でした。

 まずは、JR京葉線の舞浜駅の傍から出ている「ディズニーリゾートライン」というモノレールに乗り込むと、もう明るいディズニーの音楽が流れ、アニメ声の女性のアナウンスが流れています。つり革と窓枠が、大きな丸い耳のミッキーの顔の輪郭になっています!これだけのことと思われる方もいらっしゃると思いますが、このつり革などに触れながら、既に私の頬っぺたにはつうーっと流れる物がありました。

 ディズニーシーステーションで降りて、シーのゲートに向かう道の途中には、ドナルドダックの大きな像が立っているので、まずこれをチェック。少し高いところにあったので下半身しか手が届かなかったのですが、気分を盛り上げるには十分です。

 メインエントランスの広場に入ると、既に着ぐるみ(きぐるみ)に身を包んだキャラクターたちが、元気に私たちを迎えてくれています。
 私は、背の高いグーフィーにハグされ、肩に手を回されての記念撮影でもうどきどきです!
 さらに、次に出会ったリスのキャラクター「チップとデール」のデールは、着ぐるみキャラクターの掟に従い口こそ利かなかったものの、私の手を取り、自分の特徴である大きな丸い鼻や耳や目、そしてもう一つの特徴である前歯にも触らせてくれて、近くにいたスタッフを手で呼んでくれ、説明をしゃべらせて、自分がデールであることやその特徴を一所懸命伝えてくれました。いよいよ写真を撮ろうと思ったら、さら
に尻尾をふりふりしながらそのしっぽにも触らせてくれました。
 見える人には一目瞭然で判ることを、見えない私に必死で伝えようとしてくれていたのです。もう大感動で、写真に涙が写らないようにやっとの想いでこらえていました。

 涙を拭いながら向かったインフォメーションでは、シーの全体図と各エリア別の触地図とその説明の点字パンフが一つづりになっている物とディズニーランドとシーのいろいろな説明が聞けるCDパンフをいただきました。
 また、代表的なキャラクター数体分のリアルな形のしゃべる人形(それぞれの台座には点字で名前が書かれていました!)や、各アトラクションの構造や乗り込む物の形がわかる精巧な模型にも触らせてくれました。
 そして、各エリアや建物やトイレの情報が聞ける音声ガイドシステムをお借りして、園内を散策することとなりました。(このシステムは、千円の保証金がかかりますが、返却の際にバックしてもらえるものです)
 このシステムは、残念ながら大雑把過ぎるようですので、アナウンスする内容も込みでまだまだ改善の余地がありそうです。

 予めネットで調べてめぼしをつけておいたアトラクションに、次から次へとチャレンジしていきましたが、どのアトラクションのスタッフの方もとても親切で、どんなアトラクションでどんな動きをするものなのか、乗り込む物に到達する前には階段やスロープがどの程度続くかなどを詳しく説明してくださって、いやみなど微塵もない雰囲気でさりげなく「大丈夫ですか」と気遣ってくれていたのが、とても暖かな気持ちにさせてくれました。また、ところどころのアトラクションでは、インフォメーションにあったような模型を用意していてくださり、じっくりと確認させてくれていたのも嬉しい配慮でした。
 また、アトラクションから出ていく通路も、歩きやすいところやエレベータなどに案内してくれるなどの安全確保もとてもありがたかったです。

 この日は、新しいパレードが始まるより前の日だったこと、ランドの方には『モンスターズインク』の新しいアトラクションができてそちらにお客が流れていたこと、そして雨降りだったことが重なり、どのアトラクションもまったく待つことなく、すいすい乗れたので、途中休みをいれながらも、8時間めいっぱい遊ぶことができました。

 「タワーオブテラー」「レイジングスピリッツ」やインディジョーンズのアトラクションなど、スリリングな物はいろいろあって、どれもこれも印象深いものでしたが、私が特に印象に残った物は、次の三つでした。
 「シンドバッド・ストーリーブック・ボヤッジ」というアトラクションは、スピードはありませんが、ミュージカル仕立てになっているコースをゆったりとボートで進んでいく物で、とにかく音楽と歌が素晴らしく、その周りの様子とぴったり合致しているのが物凄く伝わってきて、またまた泣いてしまいました。
 「センター・オブ・ジ・アース」は、地底装甲車で、火山の地価を探検しているうちに大噴火が起こり、あっというまに地底から飛び出し山頂に駆け上がり駆け下りるというど迫力のアトラクションでした。
 そしてもう一つ、「ストームライダー」ですが、これは、その技術力の素晴らしさに感動して、また泣いてしまった物です。昔、後楽園遊園地にもシアター型の座席が傾いたりして、映像に合わせて体感するアトラクションがありましたが、この「ストームライダー」はその類の、もっともっと技術が発達した物のようでした。
 気象を研究しているチームが、嵐の中心を通る実験をするという想定のドラマがあって、そこから飛行機に乗って飛び立っていくということになってるのですが、無謀なキャプテンの行動でその飛行機がむちゃくちゃにアップダウンするのがストーリーと映像と体感とがあいまって伝わってくるのです。究極のバーチャルリアリティを体感できるのです!見えていなくても、離陸する感じ、飛んでいる感じ、着水する感じなどが、ものすごくリアルに伝わってくるのですが、その部屋は実際にはそこにあるままなのです。
 こういうことに対して、人を楽しませるために本気で取り組んできた人々のことを考えると、その想いの熱さに、涙を止めることができなくなっていたのです。

 ディズニーは、どんなに末端のアルバイトの売り子さんに至るまで、組織が一丸となって、人々を楽しませようとしているのです。
 私はディズニーの回し者ではありませんが、本当に素晴らしいと思いました。
 そして、その素晴らしさをより多く受け取るためには、やっぱり見える人に同行してもらって、一緒に楽しみながら、いろいろ説明してもらい、受け取る側としても、一所懸命楽しもうとするべきだとも感じました。

 よく、「ディズニーは恋人が別れる縁切り遊園地だ」などというデマが語られますが、こここそ、みんなで楽しく仲良く過ごせる、「縁結び遊園地」だと私は言いたいです。
 そして、最初のほうで書きましたが、音声ガイドシステムなど、改善してほしい点を、モニターになったつもりで会社側に伝えていって、より楽しめるような提案もしていけたらいいなと思いました。もちろん、視覚障害者だけのわがままにならないようにちゃんと考えて吟味しながらね。(^_^)

 日ごろの運動不足がたたって、翌日はふくらはぎがパンパンでしたが、本当に良い体験ができました。
 あ、ディズニーシーの水路の水かさが増していたら、きっと雨だけじゃなく、私の嬉し涙も混ざっていたかもしれませんよ。

※ タイトルの「めーたん」とは、私・美月のニックネームです。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 18:37  | Permalink

素敵なお寿司屋さんと朗読会のお話

 桜も満開を過ぎて、いよいよ春真っ盛りですね!
 私の所属する「演劇結社ばっかりばっかり」も、もう恒例となった春の朗読会に向けて、稽古真っ盛りです。

 さて、二月ほど前に、素敵なお寿司屋さんに行ってきたので、そのお話をしましょう。
 それは、東京は東中野にある「名登利寿司(なとりずし)」という小さなお店です。ご夫婦お二人だけで切り盛りしてらっしゃるお店ですが、この奥様・佐川芳枝さんという方が大変に文才のある方なのです。お寿司屋さんの女将さんとして日々経験したことや感じたこと、そして旬のお寿司の美味しそうなお話をエッセイとしてたくさん書いて出版しておられるのです。
 私も全てを読んだわけではないのですが、中の1冊を読ませていただいただけでも、お寿司が、とりわけこのお店のお寿司が食べたくてたまらなくなります。
 最初、ラジオか何かで紹介されていて、音訳されたのを聞いたのがもう10年くらい前だったでしょうか。そのときは「お寿司って奥が深いな」とか「そのうち食べにいきたいな」で済んでしまったのです
 ところが、元々寿司好きだった私は、1年ほど前から、それに輪をかけて「マイブームはお寿司よ」という状態になっていました。でも、もちろんお財布の都合があるので、どうしても回転寿司レベルに留まってしまいます。そんなおり、ふと思い出して、また佐川さんのエッセイを読みたくなり、ネットで点訳データを検索してみたら、10冊ほどヒットしました!
 夢中で読んでいるうちに、もう矢も盾もたまらなくなり、相方に頼んで、誕生日にこの「名登利寿司」に連れていってもらうことにしてしまったのです。(実際には、その日は予約が一杯だったので、3日遅れになったのですが)

 JRの東中野からも、東京メトロ東西線の落合からも程近いところにあるこのお店に行ってみると、本当に小ぢんまりとしたお店でした。
 しかし、外まで出迎えてくれた芳枝さんは、本当に優しくて品のいい明るさを持ったご婦人でしたし、旦那さんである親方も、感じの良さと気風(きっぷ)の良さを併せ持った好人物でした。
 そして!!もちろん、味は最高!!!3000円で「お任せ」で握っていただいた中には、私が初めて食べるホウボウの昆布締めなど、江戸前の仕事をきっちりしてある種もあり、これだけでも満足だったのですが、せっかくだからということで、お好みで車えび・煮アナゴ・ウニを握っていただきました。
 どれもこれも美味しかったのですが、嬉しかったのが親方のご配慮です。晴眼者の相方には、全て付け台の上に並べていってましたが、私に対しては、煮アナゴなど、崩れやすいお寿司は、わざわざ小皿に取って、「このほうが食べやすいでしょ」とおっしゃって、手元に置いてくださったりなさるのです。
 初めて訪れた客である私に、こんなに丁寧に親切にしてくださったことへの感謝と、そして赤ウニを、軍艦ではなく岩塩を載せて握ってくれたお寿司の、夢のような美味しさの記憶を胸に、家路に着いたのでした。

 実は、この訪問の折り、佐川婦人にお願いして、エッセイを朗読会で読ませていただくことをお許しいただいてきました。
 実際に、ブレイルメモポケットに彼女のエッセイを入れて持っていき、冒頭部分を少し朗読させていただいたのですが、とても喜んでくださったのです。
 ということで、今着々と稽古に励んでいるばっかりばっかりの朗読会では、この佐川芳枝さんのエッセイを読ませていただきます。

 他にも、思わず吹き出してしまいそうな作品、胸がキュンと鳴るような作品など、いろいろなお料理(?)を並べてみますので、皆さん、またどうぞ足をお運びくださいませ。

演劇結社ばっかりばっかり 第4回公演 「朗読ディナー ~昼の部あり~(食事なし)」
日時  5月23日土曜日、昼の部13時から、夜の部17時から。
場所  「ギャラリーハセガワ」
交通  JR山手線「原宿」駅竹下口より徒歩2分以内。(ご希望により、原宿駅か
らの誘導をいたします)
入場料 千円
お問い合わせ・お申し込みは、以下のアドレスへどうぞ。
mail@bakkaribakkari.com
出演者 石津正幸、大河内聡之、こんやゆうこ、美月めぐみ、鈴木大輔


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



デイジーもあり~視覚障害者のスキルアップに役立つ各種録音図書

by amedia  at 18:22  | Permalink

仲良し飴

 冬から春に移るこの季節、花粉症や気管支炎など、様々なアレルギー症状でお悩みの方が多いようです。
 私は、花粉症はないのですが、毎年気管支炎に悩まされます。ようやくあまり咳も出なくなって落ち着いてきましたが、屋内・屋外の空気の違いや気温の違いで、突発的に咳の嵐が襲ってきたりするのです。これはもう、芝居やコンサートなどの客席にいるときには、手のつけようがありません。
 この花粉症や咳などのアレルギー症状を緩和してくれる物の一つが、各種の飴たちです。いま、スーパーやコンビニに行くと、様々な種類の飴が売られています。特に、喉飴の種類は多く、何を買ったら良いのか迷ってしまいます。
 花粉症の方向けのスースーする飴は、私にはミントがきつすぎて不向きだし、ノンシュガーのキシリトール系の飴は何個か舐めているうちにお腹の調子が悪くなってきます。
 意外なことに、薬用効果のまったくなさそうなチューレットキャンディーである森永ハイチュウが、口解けの良さが決め手になるのか、最も即効性があることに、今年になってから気づきました。ということで、最近咳き込んでは困る舞台を観に行くときには、なるべくハイチュウを持っていくようにしています。

 さて、これがなぜ福祉コラムになるのか、疑問に思われている方も多いことでしょう。大丈夫です。ちゃんとつながります。

 それは今月頭のことでした。その日は3月とは思えないようなかなり寒い雨催い(あまもよい)の日で、強風も吹きまくっていました。電車の本数の極端に少ない駅の夜の時間帯、私はパートナーと一緒にいました。事情があって半日以上タバコから切り離されていた彼はホームの喫煙コーナーで一服したがっていたのですが、体調の加減で私が嫌がったため、ちょっと気まずい状態になりました。「一人でいってらっしゃいよ」「いや、もう時間まないからいい」「じゃぁ、ハイチュウあげる」「要らない」ちょっとすねてしまったような声を聞いていたらせつなくなってしまい、とっさに出た言葉が「ハイチュウは仲良し飴なのに」という言葉でした。この時持っていたハイチュウは、4種類入っている袋入りのキャンディーだったので、「これは何味?」という会話をしながら食べると楽しいのです。もちろん、嫌いな味のが入っている
わけではないので食べてみれば何味かわかるのですが、袋から適当に取り出したのが何味なのかを見てもらったりしていると、だんだん楽しくなってくるんじゃないかと思ったのです。本当に険悪な仲であれば、ただうっとうしいだけになってかえってマイナスになると思うのですが、やはりこの「仲良し飴なのに」の一言は功を奏したようで、ついに彼のすねすねモードも解けて、ハイチュウは小さな予言どおり仲良し飴となったのでした。

 飴は、目的によってもいろいろ選ぶことになりますが、お友達同士で半分楽しみとして舐めるなら、ハイチュウに限らず、いろんな味の物が混在する飴でわいわい交換し合うのはきっと楽しいはずです。

 逆に、全盲の私が自力で何味か判ったら、一人で舐めていても楽しいかもしれないと思い、先日久しぶりに缶入りのサクマのドロップスを買ってみました。これには、いろんな味のドロップが入っているだけでなく、形も様々なので、もしかしたら形で味の違いが分るようになっていないかと思ったのです。
 でも、残念ながら、その法則性はないようでした。
 缶の中に入っている状態では、誰にも見えていませんが、缶からコロコロと手のひらに振り出したドロップが、色だけで「あ、ハッカだ」とか「お、オレンジだ!」などと分るのは、ちょっと楽しいことです。これが、出てきた形を瞬間的に触って分るようになっていたら、全盲の人も、色覚障害の人も、同じように楽しい気持ちになれるのではないかと思ったのですが、やはり、それぞれの色が様々な形をしているほうが、一般的には芸術的で楽しいということなのでしょうか。

 以前、ピーチ、マスカット、桜、さくらんぼの4種類が入った袋入りキャンディーを買ったことがあったのですが、この中の桜の飴というのが、桜の花の形をしていました。このように、別な形の型を使えば、それぞれの味の元になっているフルーツの形の飴を作り、それを詰め合わせれば、もしかするとユニバーサルデザインキャンディーができるのではないかと思ったものです。
 上に書いたドロップスでは、直接ドロップ本体に触ってしまうのでむりですが、個包装になっていれば、暗いところで見える人に好きな飴を選んであげられるかもしれません。

 ほんのちょっとの楽しみ合いなのですが、私の造語である「仲良し飴」を、さらに形を工夫することによって、「UD版仲良し飴」にしてくれる製菓会社がどこかにないものでしょうか。
 そんな甘ーい夢を見ている美月なのでした。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



安定感のあるデイジー読書機プレクストークPTN1

by amedia  at 16:53  | Permalink

点字も墨字も相手を気遣って

 視覚障害者関連の用語ですが、点字に対して、一般的な文字のことを「墨字(すみじ)」といいます。これは、書道として書かれた墨を使った文字ということではなく、鉛筆・ボールペン・万年筆で手書きされた文字も一般の活字もパソコンからプリントアウトした文字も含めた全ての目で読む文字の総称です。おそらく、日本に点字が入ってきたのが明治時代で、その頃一般の文字は墨で書かれるのが普通だったからそう呼ばれるようになったのではないかと推察しています。

 さて、弱視の人を含めた多くの墨字ユーザーの中には、個人の資質や性格によって、綺麗に手書きできる人と、そうでもない人がいます。ただ、どんなに悪筆な人でも、小さい頃から「丁寧に」とか「綺麗に」とか「読みやすく」と耳にタコができるくらい言われて練習してきているはずです。しかも、小中学校で学んだ全ての漢字を使いこなせる人はそうはいないにせよ、この9年間、書き取りの授業をみっちりやって
、そうとうな数の漢字を覚えて読み書きできるようになっているのです。
 そして、大人も子供も、自分のためのメモ書きは自分さえ判ればいいという程度に適当に書き、人の目に触れる文章では恥ずかしくないよう丁寧に書く、といった使い分けをしています。じつは、私は「恥ずかしくないように」というより、「人が読みやすいように思いやって」といった教育をしてほしいと思っているのですが。
 いずれにせよ、小さい頃から、「書く」という一点において、これだけ時間と気を遣ってきているのです。

 いっぽう、小さい頃から目が不自由な場合、その分点字を学ぶわけです。通常の点字の場合、日本語を表記するに当たっては、1種類のカナ文字に相当する物を覚えればどんな文章でも読み書きできます。つまり、6点漢字や8点式漢点字といった特別に開発されたシステムを除いて、通常の点字には漢字という物がないのです。ですから、学習障害との二重障害でなければ、小学部1年生のうちに、一通りの読み書きをマスターすることになります。
 ただし盲学校では、弱視の子たちが漢字の書き取りをしている間、ただぼーっとしているわけではなく、学習能力を高めるために、点字の速度撃ちや聞き書き、左手で点字を読みながら右手でそれを書き写す「転写」の訓練を行なっています。…少なくとも、1970年代前半に私の通っていた福島県立平(たいら)盲学校の場合はそうでした。

 こうして、シンプルに覚えられる点字ではありますが、それにも読みやすい点字と読みにくい点字があります。まず、点字は出っ張っているかどうかで判断する文字なので、中途半端な出方の点字や穴が空いて虫食いみたいになった点字は非常に読みにくいのです。しかも、1点でも違えば、ただ汚いというだけでは済まされず、別な字になってしまう恐ろしさがあります。例えばお料理の本で、「にんじん」と書くはずが、1点だけ違ってしまい、「にんげんを みじんぎりに して ください」などという風になり、料理本が一転恐ろしい殺人マニュアルになってしまうわけです。この場合、「し」は、1・2・5・6の点ですが、「け」は1・2・4・6の点で、ほんとうに1点ずれただけなのです。
 さらに、カナの羅列は読みにくいので、一定の分かち書きのルールを設け、読みやすいように工夫されているので、本当はこれもマスターしなければなりません。 ということで、点字ユーザーも「丁寧に書かなければならない」という意識を持っていなければならないのです。

 ところが、この意識は、墨字の本を点字に訳す「点訳者」にのみ多く求められ、肝心の点字ユーザー側はかなりいい加減な人が多いのが現状です。
 分かち書きや表記の仕方がしょっちゅう変動している中で、それを完全にマスターすることは難しいとは思いますが、人に読まれる文章はなるべく丁寧に書こうとする気持ちは、視覚障害者ももっと持っているべきなのです。「表記やルールの変動」ということでは、実は墨字の社会も「国語審議会」等の決め事で、やはり年々変動しているのですから、点字だけが特別なわけではありません。
 ただし、そこまで完全にルールを遵守するのでは常に勉強し続けなければならないので、とりあえず、読みやすくさえあれば良いのではないかと考えています。こう書くと「何を当たり前のことを書いてるのか」と思われそうですが、その当たり前のことをおろそかにしている人を多く見かけるのです。文節分かち書きが、「過去のどんなルールにもあった例がない」ような物だったり、あっちこっち書き損ねてつぶしたらしいけれど中途半端な出方になっていて判読の難しい点字だったり。
 しかも、図書館などでは、「ご用件は墨字の書かれていない紙をお使いください」
と行っているにも関わらず、チラシなどに平気で点字を打って送ってくるケースも多々あると聞いています。まぁ確かにエコロジー的な視点では悪くないかもしれませんが、読む相手に対する思いやりを欠く行為であることは否めません。

 この意識が(いや無意識というべきでしょうか)、パソコンによる文字入力にも現れているケースも見られます。
 よく見かけるのは、固有名詞の表記ミスです。先日も、mixi内の日記のコメントで、「黒はんぺん」の話題に対するコメントで「くろはんてん」と書いている視覚障害の方を見かけました。気を遣っているのか、誰からも指摘はなかったのですが、ちょっとの注意で避けられるミスだなと思い、なんだか少し悲しくなりました。
 また、多くの視覚障害者が集うメーリングリストで、物凄い当て字になっている文章をアップしてくる人もいます。その中のお一人が、「めんどうだから、全部入力してから一括変換しているのだ」と書いておられるのを見たときも、本当に悲しく思いました。

 点字にせよ墨字にせよ、そして目が見えるにせよ見えないにせよ、読んでいる人の立場に立って、読みやすい文字=丁寧な書き方を心がけていきたいものです。

by amedia  at 15:44  | Permalink

差別的表現の良し悪し

 差別につながる言葉を「放送禁止用語」として扱い、そういった表現を避けようという動きが始まってから久しいのですが、この考え方、賛否両論いろいろあるようです。
 この動きそのものは、私も大事なことだとは思っています。しかし、この動きを起こした人たちの中には、行き過ぎだろうと思う程に「言葉狩り」をする向きもあるようです。その結果、既に名作として知られている映画やテレビドラマの中の言葉までほじくり出し、その部分を無音にするため、つじつまが合わなくなったり、わかりにくくなったりすることが多々あります。
 その一方、無頓着なくせに妙にエリート気取りの若手脚本化が作り上げる小劇場系の舞台の中では、古式ゆかしき表現をしたいのか何なのかわかりませんが、この現代にはあり得ないような差別語を平気で使っていたりするケースも見られます。

 私はこう考えます。
 言葉は、それぞれの時代の象徴ですから、昔の作品まで穿り出して論い、「これは差別語だからカットしろ」というのは、理不尽だし、作品そのものを損ねる行為だと思うのです。特に、時代劇などにこのケースは多く見られます。むしろ、そんなふうに表現されてきた歴史もあるのだということを、忘れないようにするためにも、消さずに残しておくべきだと思います。
 最近、一つ良いケースの時代劇があって、「このドラマ中には、一部現代では不適切と思われる表現が含まれていますが、当時の作品のまま再現しますのでご了承ください。」といった内容のテロップが出ていたそうです。しかし、これはさべつを受ける側にある視覚障害者には伝わらないことなので、テロップと同時に音声でも挿入してもらえるとより良くなると思います。

 私は先天性の視覚障害者ですので、かれこれ45年ほど盲人をやっている、いわゆる「ベテラン盲人」ですから、もう何を言われても深く傷つくことはありませんが、やはり「メクラ」などと言われるとさすがに良い気持ちはしません。ですから、そういった言葉を使わないようにしてもらうことは、歓迎すべき動きだとは思っているのです。
だから、これから生み出されていく作品に関しては、きっちり表現を検討して使ってほしいとは思っているのです。
 そんな中、先日、知り合いの役者が出ているコントを観にいったら、上にも述べたように、無頓着に差別表現を使っていて、ひやりとしました。もちろん私自信もあまり良い気持ちではなかったけれど、他に障害を持っている観客がいたら、どんな気持ちになるのだろうと思ったからです。このコントを書いていたのは、どうやら私より少し下の世代の女性だったようなのですが、おそらく昭和初期の小説なども読むようなエリートさんなのではないかと推察しました。その頃の小説には往々にして差別語が使われているのです。また、言葉としてだけでなく、異様に手の長い女というのを出してきて、それをネタにして面白おかしく表現していたのも、なんだか居心地の悪い感じがしました。せっかく全体的には面白いコント作品だったのに、なんだか後味の悪い舞台になっていました。

 また、最近、私の大好きな「ハリー・ポッター・シリーズ」を書いたイギリスの作家・J.K.ローリングさんが発表した「吟遊詩人ビードルの物語」の中に、ちょっとひっかかる表現が出てきて、これまたとても面白い作品なのに、嫌な感じを持ったところがありました。
 一つは、ある怪物の描写として「盲目的に獰猛な」と表していたところ。もう一つは、ホグワーツ魔法魔術学校の問題教師が角が取れて穏やかになってきたという話のところで「手足が1本と半分しかないのでは大人しくならざるを得なかった」というような、面白さを演出するためだけとしか思えない蛇足分があったことです。後者に関しては、私もうっかり吹き出してしまったのですが、これはもしかして、肢体不自由の人が読んだら、ちょっと嫌な気持ちになるんじゃないかしらと、胸がキュッとしました。
 ローリングさんも私と同世代の人だし、翻訳者の松岡さんも言葉に敏感な人だと思うのにと、ちょっと寂しく思いました。
 原文でどう書かれているのか、訳す段階で何かできなかったのかと考えていたら、今朝はちょっと寝不足気味になってしまいました。

 「過去をありのままに認めながら反省し、今後を変えて(改善して)行く。」そんな考え方が私は好きなのですが、皆さんはどう思われますか?


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 18:21  | Permalink

食品サンプルとおままごと

 「百聞は一触にしかず」の話の続きみたいになります。

 先日、デリバリーのお寿司屋さんに行ったら、【ご自由にお持ち帰りください】と書かれた食品サンプルがあったとかで、うちの合方が『蟹イクラ丼』『甘エビイカ丼』と『煮帆立のにぎり』のサンプルを持って帰ってきました。 容器はまさにデリバリー用の発泡スチロールっぽい物でしたが、蓋はなし。恐る恐る触ってみると、何時間も置きっぱなしにして乾いちゃったみたいな感触の蟹とイクラがどっさり載ったご飯です。イクラは、本当にちょっとベタベタした感触なのに、離した指はさらりとしていて何も付いていないのです。要するに、触った感じも、見た感じ同様、かなり本物に近いイメージですが、明らかに作り物なのです。 でも、にぎり寿司とは違って、普段丼物には触らない(触れない?)ので、全体のレイアウトを直接的に把握できるこのサンプルは実に楽しいのです。そして、自分で盛り付けをするときの参考にもなります。
 そういえば、ここ数年のアメディアフェアのときには、甲斐商店の甲斐さんが、様々な食品サンプルを展示してくださって、私たち視覚障害者の人に自由に触らせてくださっていますが、やはり人気がある企画の一つになっているようです。

 ところで、先天性の視覚障害者の中には、お魚料理が苦手な人が多いようです。皆、お刺身は大好きなのに、特に焼き魚になると、嫌な顔をします。
 それは、骨が邪魔で食べにくいというのが最大の原因になっているようなのです。
 斯く言う私も、本当はお魚が大好きなのに、人前できれいに食べられないからという理由で、嫌いなふりをしていた時期がありました。
 でも、これってそうとうつまらない理由だと思うのです。お魚はとても美味しいし、体にも良いのです。だから、なんとかして、素直に食べたいものです。
 それには、まずそれぞれの魚の特徴を知る必要があります。比較的小さいお魚はそのままバリバリ食べられる物もあります。開きで焼いてある物は、左手の指でそっと端を押さえて、反対側の身をお箸で挟んで外側に引っ張ると、きれいに背骨から離れてくれて食べやすくなったりします。この食べ方で一番楽なのが、柳鰈(やなぎがれい)です。あまり生臭くないので、押さえるほうの指もそんなに臭いが付いたりしないし、身離れも良いのです。
 また、一緒にいる人に、食べにくそうかどうか聞いてみて、これは手に負えないと判断したら、素直に選り分け作業をお願いしてしまうのもありだと思います。
 こんなふうに、魚自体の構造を理解するのに、視覚障害児が遊びながら学習できるようなおもちゃがあれば良いと思います。一般に売れるかどうか判断は難しいのですが、20年以上前から小さな女の子たちの間で使われているおままごと『ままごとトントン』シリーズのように、食材が分解できて、またマジックテープでくっつけられるタイプの物の一つの形態として開発してもらって、盲学校の教材にするなど考えられないものでしょうか。お魚の身と骨が分けられるような物です。そうでなくても、布の絵本の製作ボランティアの人たちに協力してもらうなどして、同種のおもちゃ教材を作ってもらうと良いかもしれません。

 また、盲学校の卒業学年の特別授業に『テーブルマナー』というのがありました。
これも、実際にお皿の上のお肉を切ったり、パラポロと細かいミックスベジタブルをフォークに載せたりして食べる前に、お皿の上のレイアウトを再現した食品サンプルを教材にして、しっかり触らせたり、粘土やウレタンなどでステーキの感触に近い素材を研究して、それをお皿の上で切る練習をさせたりしてみてはどうでしょうか。もったいなくない素材で何度も何度も繰り返し練習すれば、自力の食事範囲も広がると思うのです。
 私はけっこう不器用な子だったので、お肉を切るのに夢中になっていると、付け合せのベジタブルがテーブルの上に集団移動していたりして、大分苦労したものです。
 今では、かなりましな食べ方ができるようになり、ハンバーグのように切りやすい物はしっかり自力でいただきますが、ステーキやソテーなどは一緒に食事している人をはらはらさせないように、お願いして一口大に切ってもらうことが多いです。

 このように、「百聞は一触にしかず」は何事においても生かされることです。直接触ってはいけない物を視覚障害児に理解・習得させるには、そういった工夫をどんどん取り入れていくことが大事だと思っています。

 などということをつらつら考えながら触って遊んでいたお寿司屋さんのサンプルは、押入れの天袋の敷居にひっかけて飾っておくことにしました。あまり手の届くところにあると、お腹が空いてしかたがありませんから。(笑)

by amedia  at 17:31  | Permalink

働くことによって得られる幸せ

-大山泰弘さんの講演から-

     望月優

昨日、全国重度障害者雇用事業所協会(全重協)と東京中小企業家同友会の共催で、
「中小企業のための障害者雇用推進セミナー」が行なわれました。
そこで、日本理化学工業の創業者であり現在は取締役会長の大山泰弘さんのお話を伺いました。
日本理化学工業は、約50年前から障害者雇用をしており、
現在は全従業員数の約7割が知的障害者です。
「約7割」と言っても、総務や営業などの部門は基本的に健常者で構成されていますので、
ダストレスチョークを製造する工場では、
12人の障害者と一人の健常者といった割合で仕事をしているとのことです。

さて、その中で、「人の幸せ」についてお話されました。
人が幸せを感じるのは、
1.愛されているとき
2.褒められているとき
3.人の役に立っているとき
4.人に必要とされているとき
だそうです。

そのうち、「愛される」ことは家庭や福祉施設でも体感できますが、
2.から4.の要素は働く場でしか得られない実感です。
「福祉施設に帰すよ」というと泣いていやがる知的障害の社員たちは、
褒められ、役に立ち、必要とされる幸せを会社で感じているからにほかなりません。
企業は人に幸福を与える場である。
これを昨日の大山さんの講演から学びました。
--

日本理化学工業が「日本で一番大切にしたい会社」という
本の中で詳しく紹介されています。

日本で一番大切にしたい会社
http://tinyurl.com/bm2ltf


点字を学ぶなら~点字定規セット「点字サポーターへの道」

by amedia  at 17:36  | Permalink

日本理化学工業

皆さんはこの会社名をご存知ですか?
誇りの出ないダストレスチョークで日本1の会社、そして障害者雇用で日本1の会社です。
アメディアが全国重度障害者雇用事業所協会(略称「全重協」)に入会した1991年、日本理化学工業の大山泰弘会長は、全重協の会長をされていました。
つい先日、「日本でいちばん大切にしたい会社」(あさ出版)
http://tinyurl.com/bm2ltf
を読み、約50年前から毎年重度知的障害者を雇用しつづけている日本理化学工業の偉大さを実感しました。
会社案内のページには、
----------
当社では従業員の50%以上の重度知的障がい者が働いています。
従来の作業法法を彼等に教えるのでなく、彼等の能力にあわせて作業を改善すれば立派な労働力として活躍してくれています。
----------
と書かれており、障害者の戦力化が実現されている職場だということがよく判ります。

実は、今月25日に、全重協と東京中小企業家同友会共催の障害者雇用セミナーが行なわれます。
ここで、日本理化学工業大山会長の障害者雇用の実践例を直接伺うことができます。
是非、私も直接大山さんのお話を伺い、障害者の戦力化事例から全社員の力が発揮できる職場作りを学びたいと思います。
こちらのセミナーの詳しい情報は下記ページからどうぞ。
http://www.tokyo.doyu.jp/tokyo-doyu/common/meeting.php?meeting_id=4785


全国の三療治療院を網羅~鍼灸あん摩マッサージ治療院カタログ

by amedia  at 18:38  | Permalink

またまた博物館

 先々週ご紹介した岩手県盛岡市の桜井博物館の桜井政太郎先生からお電話をいただきました。
そこで新たに判ったことをいくつか、ご報告と訂正かたがたお知らせしてみようと思います。

 まずは、この博物館の名前ですが、「桜井博物館」というのは通称のようなもので、先生ご自身は「視覚障害者のための手で見る博物館」と名乗っておられます。名刺にはそのように記載なさっているそうなので、こちらが正式名ということになるそうです。

 また、休館日に関しては特にないということでしたが、今は冬季はなるべく避けていただきたいとのことでした。その他、毎週木曜日も、ご都合があって、なるべく他の曜日にご予約いただきたいとのことでした。

 現在は、世界遺産のレプリカを収集・作成中だそうです。 人間の手で把握できる物の大きさには限りがあるので、小さ過ぎる物は大きく、大き過ぎる物は小さくして、視覚障害者が自力で把握できるようにして触らせてくださるのも、桜井先生の工夫なのです。世界遺産に触れるようにするということは、その
「大き過ぎる物を小さくする」方に当たります。
 そこで私は、10年ほど前に参加したバスツアーで「東武ワールドスクウェア」を訪れたときのことを思い出しお話しました。テーマパークとして、ある程度の縮尺を施した「万里の長城」や「ピサの斜塔」などが園内に配置されていたのですが、それぞれの造形には柵が巡らされ触れないようになっていたのです。区の福祉課主催の障害者を対象としたツアーだったので、その辺りの配慮は成されているのかと思っていたのですが、がっかりすることになってしまいました。結局お土産物屋さんにあった、細部までは把握できない程の小さい模型に触れてやっとなんとか楽しめたという経験談です。先生は深くうなずきながら私の話を聞いてくださり、「やっぱりね。」と共感してくださいました。
 「テレビなんかでもよく世界遺産が映るから、見えてさえいれば当たり前に知っている物になっているんだけれど、見えないといくら言葉を尽くして説明してもらってもやっぱり判らないですからね。」
 と、熱く語っておられました。

 ということで、今年の夏か来年になるかわかりませんが、今度は世界遺産を触るのを楽しみに、また桜井先生の博物館にお邪魔しようと決めました。
 そして、今度はそういったレプリカを作ってくださる協力者の方のお話も伺って、このコラム欄でご紹介できたらと思っています。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 17:30  | Permalink

お鍋の季節に寄せて

 大寒を過ぎ、暦ではまもなく立春になろうとしていますが、実際はまだまだ、というか、ますます寒くなっていきますね。
 こんな季節に嬉しいのが、鍋料理、いわゆる「お鍋」ですね。湯豆腐・水炊き・すき焼き・しゃぶしゃぶ・鱈ちり・牡蠣鍋・豆腐チゲ、数年前からはカレー鍋なんてのもありますね。
 ところが、この美味しいメニューの数々は、晴眼者と一緒の時でないとなかなか食べる勇気が出ないものなんです。もちろん、一人で、しかも自宅でやるならできなくはないのですが、やっぱり煮え具合などを見て取り分けてくれる人と一緒でないと、外では無理なようです。いったん口に入れてみて、「あれ?これはまだあんまり煮えてないや」などということになっても、鍋に入れなおすなんていう無作法なことはできませんから。
 というわけで、私は視覚障害者より晴眼者の人数が多いときには、そういった鍋料理を食べに行けたりするととても嬉しいものです。(比率が逆のときには、見える人の負担が大きくなり申し訳ないので、この手のお料理は避けるようにしています)

 そこで、今回は、それらの鍋の他に、見える人と一緒じゃないと食べにくい物を考えてみました。
 まずは、焼肉!特に、美味しい炭火焼の場合、自力でお箸で取ろうとすると、網目からお肉が落ちてしまい、炭の山を形成してしまう危険性があります。
 自力で焼くタイプのお好み焼きにもんじゃ焼き、これもうまく形を作れないし、お好み焼きの場合にはひっくり返すのも失敗しそうです。
 そして、ビュッフェとかバイキングと言われる、セルフサービスの食べ放題のお店!これは何よりお手上げです。
 ただし、ウィークデーの昼間だけ食べ放題をやっているピザのチェーン店「シェーキーズ」は、一人か二人で行った視覚障害者に対してなら、嫌な顔をせずにどんどん持ってきてくれます。とは言っても、あまり好き嫌いの多い人は負担をかけることになってしまうので、控えたほうが良いかもしれません。
 あと、できれば見える人と一緒だと助かるのが、回転寿司です。一人で行きつけの回転寿司を開拓したばかりの頃、「ま、好き嫌いはないから、適当に取って食べるのもロシアンルーレット的で面白いや」と思っていたら、板だけが載ってるお皿とかわさびだけが載ってるお皿などを取ってしまい失敗したことがあったので、それ以降はむやみに手を出したりしないようになりました。
 しょっちゅう行くようなお店なら、よく話して理解しておいてもらえば、注文は全て口頭で伝え、お皿は手渡ししてくれるようになるはずです。(というか、そうならないお店なら、こちらから願い下げで、行かないことにすれば良いのですが)

 自力で行けるお店か、誰かと一緒じゃないと行けないお店かは、そのお店のシステムや忙しさなどを考慮して判断し、気持ち良い外食を楽しみたいものです。もちろん、鍋で体を温めたら懐が寒くなったなどということがないように、お財布と相談しながらね。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



デイジー図書も聞ける、印刷物を読み上げる音声読書機・よむべえ

by amedia  at 17:01  | Permalink

百聞は一触にしかず

 ずっと以前にも、視覚障害者にとっての博物館見学に関して書かせていただきましたが、先日改めて感じるところがありましたので、再び書いてみようと思います。

 先日訪れたのは、兵庫県宝塚市にある「手塚治虫(てづか おさむ)記念館」でした。
 元々は、宝塚歌劇のファンの私ですので、今回も花組で公演中の壮大なミュージカルファンタジー『太王四神記(たいおうしじんき)』を観に行き、もちろん大変感動したのですが、漫画好きの同行者にも十分宝塚界隈を楽しんでもらおうということで、大劇場から歩いて5分程度のところにあるこの記念館に立ち寄ったわけです。

 当然ながら、私も手塚先生の作品には、TVアニメやラジオドラマといった形で十分に触れて育ってきた世代ですので、興味がないはずもなく、わくわくしながら訪れたのです。
 こぢんまりとした建物の前庭の地面には、手塚先生の作品中に出てくる様々なキャラクターの、先生が想定されたとおりの手形や足形が掘り込まれていて、私はしゃがみこんでアトムやブラックジャック先生の手形に自分の手を当ててみて、にこにこしてしまいました。
 中に入り、入館料をチェックすると一人500円だということです。それで二人分払おうと思っていたのですが、障害者手帳があれば無料になるとのこと。さらに、同行者一人も、付き添いということで無料になったのです。料金がかからないのはちょっと助かりますが、ここで私は少し嫌な予感がしました。
 入ってまもなく、その予感が的中していることに気づきました。b1から2階までの3フロアで構成された館内は、やはり、触れられない物、眼で見るだけの物のオンパレードです。
 予算的なことなどもあるでしょうし、一般のお客さんにはそうとう満足できる展示物に違いないのですが、入館料は一般の人と同じように払ってもまったくかまわないので、あちらこちらにキャラクターの等身大レプリカなどを置いて、それに自由に触れたりしたらどんなに良いだろうと思ってしまいました。
 現状で私が一番楽しめたのは、1階少し奥にあるスペースで、在りし日の手塚先生のインタビューや、藤子不二雄A先生や故・石ノ森章太郎先生からのコメントなどの映像を流しているコーナーでした。そこには椅子が数脚置いてあり、じっくり観ることができるようになっていました。
 次回訪れたときに、まだ展示物に変化がないようなら、今度は私だけそこに腰を据えて、じっくり先生方の話に耳を傾けて楽しんでみようかなと思った次第です。

 一方、宝塚駅までの帰り道では、思いがけない収穫もありました。それは、宝塚大劇場から駅まで続く一段高くなった道、「花の道」の途中に、等身大のオスカルとアンドレ(池田理代子原作の宝塚ミュージカル『ベルサイユのばら』の登場人物です)の寄り添う像が飾られていて、じっくり触ることができたことです。実は、私はここで触るまで、オスカルの髪の毛があんなに長いとは想像できていなかったので、改めて驚いてしまいました。よく考えてみれば、アンドレがオスカルのことを思って歌う歌に「♪ブロンドの髪翻し」とあるのですから、ある程度の長さは想像していてしかるべきだったのに、彼女が軍人だというイメージが強くて、かってに短髪だと思い込んでいたんですね。
 そして、愛しげにオスカルの腰に右手を回してたたずむアンドレ!泣きそうに感動しました!
 これは一つ、手塚記念館にもお手紙を書いて、お願いしてみようかななどと、改めて思った次第です。

 以前、ご紹介した、盛岡にある私設博物館「桜井博物館」の館長で、元岩手県立盲学校で教鞭を取っておられた桜井政太郎先生がおっしゃっておられた「百聞は一触にしかず」という言葉を、身を持って感じることのできた瞬間でした。

 桜井先生は、ご自身も全盲で、触ることの大切さを感じて生きてこられ、そして退職後、それまでに収集してきたあらゆる物を、ご自宅を改造して展示し、「桜井博物館」として無料で観覧できるようにしてくださったのです。 私も一度伺い、10億分の1の太陽と太陽系の惑星それぞれの大きさの比較に感動
し、鮫の歯の鋭さとその機構におののき、寝殿造りの貴族の屋敷の模型に夢を広げてきました。
 「桜井博物館」には休館日というのは特にないそうですが、予め電話で予約を入れてくださいとのことです。
申し込み・お問い合わせ  019-662-4172
 また、こちらのサイトで、詳しい紹介があるようですので、ご参考になさってください。
http://www.bunkanken.com/archive/today_universal/uni_sakurai1.html
 ユニバーサルミュージアムに興味を持ってくださる皆さんには、ぜひ一度は訪れていただきたい博物館です。

by amedia  at 18:16  | Permalink

点字メニューは嬉しいけれど

 度々点字メニューを話題にしてるような気もしますが、また改めて感じたことがあるので書いてみたいと思います。

 先日、凄い土砂降りの夜にお腹が空いて飛び込んだのが、すかいらーく系の和食ファミリーレストランの「夢庵(ゆめあん)」でした。
 よくファミレスを利用する私は、この夢庵の他の店舗にも何度となく訪れていたのですが、今回初めて、ここにも点字メニューがあったことを知りました。
 しかし、残念なことに、今回もその情報を知ったのは、同行していた晴眼者が入り口の表示を見て教えてくれたからだったのです。
 私は明らかに白杖を誇示して座席に着いたのですが、ウェイトレスさんは特に反応することもなく、普通にお水とお絞りを運んできただけでした。
 今、多くのファミレスで点字メニューを置いてくださっているのですが、私が入ったお店で積極的に「点字メニューがございますが、お使いになりますか?」と聞いてくださったのはほんの数店に過ぎません。その数店というのも、新規オープンしたばかりのお店や、行きつけのお店(具体的にはカレーハウス「CoCo壱番屋」西早稲田店)で初めて点字メニューを置いたときくらいのものです。多くの店舗では、「こちらには点字メニューがあるはずなんですが、持ってきていただけますか?」とお願いすると、「そうなんですか?ちょっと聞いてきます。」と言って、しばし待たされることになってしまうのです。
 せっかくある程度の予算をかけて点字メニューを用意しても、それを活用する人に情報が伝わらないのでは意味がありませんし、もったいないと思うのです。
 点字メニューを配備したチェーン店に、点字毎日やJBSなどの視覚障害者向けマスメディアを知ってもらえるような工夫はできないものでしょうか。
 また、そういった飲食チェーン店の運営会社では、各店舗の末端の従業員まで情報を徹底して通達してもらえないものでしょうか。

 確かに、視覚障害者の中で点字をすらすら読める人はほんの一握りにすぎません。
でも、私を含めたその一握りの人にとって点字メニューというのはとてもありがたく、便利なツールなのです。人の手を煩わせず、自力でメニューを吟味する楽しさは、なかなか他では得られないものです。
 ただ、ここにまた、点字の使える人とそうでない視覚障害者の間に不公平が生じてしまうのも事実です。

 そこで、どれほどの予算がかかるかはわからないながらも、ちょっとしたアイディアを思いつきました。
 いま、カラオケボックスなどで、食事メニューを注文するための装置があります。
あれをタッチパネルではなくボタンスイッチにし、音声読み上げ機能を搭載するというのはどうでしょう?そして、階層的なメニュー形式にし、飲食物のジャンル選択をしてから各料理名と値段の一覧を出し、心に留まったメニューに合わせてクリックするとそのお料理の詳細情報を読み上げるというような装置を作り、いろいろな飲食系のお店で使うということです。この端末の音声は、切り替えスイッチ一つで、しゃべったりしゃべらなかったりして、視覚の有無に関わらず誰でも必ず使えるメニュー端末とするのです。もちろん、この端末は各テーブルに常備するなり、お水やお絞りと共に持ってくるメニューの変わりに運んできてもらうなり、特別な物としてではない扱いにするのです。どうでしょう。
 こうすれば、点字が読めない視覚障害者にもメニューを選ぶ楽しさが味わってもらえるはずだし、わざわざ忙しいお店の従業員さんの手を煩わせなくて済むでしょう。
 また、誰もが使う物であるならば、特別な情報通達も要らない……でしょうか?いいえ、やはりそれでも、その端末が音声対応の装置に切り替わるのだという説明を、誰かが視覚障害者に伝えなければやはり意味はありません。それに、そのような装置を作ったからといって、今度はせっかくの点字メニューをやめてしまったら、視覚・聴覚二重障害の人は困ってしまいます。
 要するに、何か美味しい物を作ったらそれを一人でも多くの人に食べてもらいたい、何か便利な物を作ったらちゃんと使ってもらいたいという想いを、バイトに至るまで会社ぐるみで持っていなければ、理想的なサービスなど出来ないということに、多くの人に気づいてもらわないと、根本的な解決はできないでしょう。

 などとつらつら考えを巡らせながらも、冷たい雨と風に冷え切った体をかき鍋で暖めていたのでした。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

点字、インターネットなどの視覚障害者の情報文化や偉大な先駆者の業績を紹介~盲人の歴史

by amedia  at 16:47  | Permalink

誘導者への気遣い

 皆さん、明けましておめでとうございます。本年も、日々感じたことをいろいろ書き綴っていきたいと思いますので、宜しくお願いします。

 さて、私は昨年末、みんなの強ーい味方、カジュアルファッションの国内大手メーカーのお店Uで、ダウンジャケットもどきを買いました。色は、なんと黄色です!!膨張色なので、ちょっと気になったのですが、パートナーいわく「とても綺麗な黄色」なのだそうで、買ってみることにしたのです。彼にとってこの色は、膨張色であることよりも、私のイメージに合った明るい色であるということのほうがポイントになったらしいのです。
 そして、このジャケットはなかなか好評なのでほっとしたのですが、それだけじゃなくてもう一つメリットがありました。それは、混雑したターミナル駅で衝突してくる人が減ったような気がするということです。
 ある程度一人歩きに慣れている私は、ぶつかられることに慣れっこになっているのですが、誘導して一緒に歩いてくれる人は、少しでも私に痛い思いをさせないようにと、とても気を遣ってくれているようです。そんな気遣いを緩和するのに、この黄色いジャケットは一役買ってくれたというわけです。
 黄色は、一緒に選んでくれる人の目を信じられないと選べないような色ですが、誘導者の気遣いを考えるととても有益です。
 黄色に限らず、誰かにアドバイスしてもらいながらコーディネートを考えて、悪くない目立ち方を研究してみるのは、誘導してもらう側のさりげない気遣いになるのではないでしょうか。誘導してくれるような関係の人に相談してコーディネートすれば、その人もわざわざおかしな格好をした人を連れて歩くのは避けたいものでしょうから、親身になって考えてくれるのではないでしょうか。

 でも、秋・冬はやはりシックなファッションで行きたいということなら、それはそれで誘導者への気遣いを忘れないようにしたいものです。つっこんできそうな足音がしたら、なるべく誘導者の後ろに回って幅を狭めるとか、電車やエレベーターへの乗り降りの際には自分の体の向きをケース・バイ・ケースでコントロールするとか、白杖はきちんと人から見やすいように持つとか、自助努力でできる配慮もいろいろある
はずです。
 視覚障害者の中には、誘導してくれる人がいるとさっさと杖をたたんでしまう人も見受けられますが、それはぜひとも考え直していただきたいと思います。ぶつかられるのを防止するためのマークとして持つというだけでなく、せめて自分の足元くらい自分で責任を持って歩くべきだと考えるからです。また、視覚障害者と歩くことに、精神的に慣れていない晴眼者の仲にも、本人以上に白杖の存在が目立つのを恥ずかしがる人も見受けられますが、それもぜひとも考え直していただきたいと思います。障害者のお出かけには、安全確保が必須なのだとご理解いただければ幸いです。

 新年早々、ちょっぴり辛口のコラムになってしまいましたが、やはりこれも、常に相手を思いやる気持ちを大事にしていきたいという、私の根本的な想いですので、少し熱く語ってしまいました。

 さて、明るいジャケットに身を包み、近所までお買い物に行ってきますね。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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by amedia  at 17:36  | Permalink

アメディアフェア雑感

 去る12月23日は、第19回アメディアフェアでした。多くの皆様にご来場いただきまして、本当にありがとうございました!!

 さて、私はパートナーの鈴木と共に、今年もイベント会場の司会を勤めさせていただいていたので、最初から最後まで会場に詰めていましたが、もう既に19回目というのを実感する一コマがありました。
 というのは、終了後、友人に出会って、「あら、来てたの!」と、女性特有のノリでわいわい盛り上がりかけたとき、彼女から出た一言が「で、めーたんは今日何してたの?」だったのです。しばし呆然として、「あのー…私、イベント会場の司会だったんだけど…」と答えると、「ああ、そーっかぁ!私、イベント会場の方はぜんぜん観に行ってないから。あっはっはー」と明るーく笑い飛ばされました。
 こんなこと、最初の頃のアメディアフェアでは考えられなかったと思います。いくら、展示会場とイベント会場に分かれているからとはいっても、司会者が判らないほどの規模になっていたとは本当に驚きです。
 イベント会場は、それぞれの企画毎にお客さんの層は違っていても、いつもかなりの入りで、特に「再生機器に合わせたデイジー図書の作成方法」には、音訳ボランティアの方が多く参加されていて、大変な賑わいでした。だから、それだけ賑わっていたにも関わらず、いちどもイベント会場に顔を出さなかったという人もいるというのが驚きだったわけです。

 しかも、ふと気づけば、最初の頃は10あるかないかだった出店団体が、今回に至っては、視覚障害者の中では最も有名な日本点字図書館・日本盲人会連合・東京ヘレンケラー協会・桜雲会なども含めた28社に及んでいたのです。もう数年前からの出展にはなりますが、大手企業のNTTドコモ、NECなども出展しています。
 いまや、「サイトワールドのちょっとちっちゃい版」みたいな感じになっていて、会社としての成長も実感させられました。

 イベント会場は1時間イベントがあって、30分休みという、少しゆったりしたスケジュールだったのですが、まとめて展示会場を見るほどの時間には至らず、最新機器がいろいろ出てきているにも関わらず触れることができなかったのがとても残念でした。イベント会場終了後のちょっとの時間に少しでも見られれば良かったのですが、私は結局甲斐商店にはまりこんで、あれやこれやと買い物をしたり、食品サンプルを触って喜んだりしているうちに、すぐに閉会式となってしまったのでした。

 そういえば、今年は「しゃべる麻雀卓」のデモンストレーションが、イベント会場でも展示会場でも、抽選会場でもないところで行われていて、そこにはりついたままの方もいらしたようでした。
 アメディアフェアというイベント自体、いろいろなスタンスで参加できるイベントになったので、お客さんそれぞれにとっての「アメディアフェア」がどんな物なのかという辺りも伺ってみたくなりました。

 来年は、いよいよアメディアフェアは20回目、そして、アメディアという会社自体2月14日で20歳になります。 どんな振袖を着せてお祝いできるのか判りませんが、一人前の「大人」として、ますます社会に貢献できる会社になっていってもらいたいと思うし、一バイト人にすぎない私も、少しでもその役割に貢献できたらと思っている2008年の暮れなのでした。
 読者の皆さんも、どうぞ良い年末年始をお過ごしください。そして、2009年が皆さんにとっても素晴らしい物となりますようにお祈りいたします。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



タックペーパーにも打てる、高品質印字の各種点字プリンタ

by amedia  at 17:30  | Permalink

大きなお友達とも交流

 まずは、ご報告から。
 先日来しつこくお知らせしてきました、私の所属する劇団「演劇結社 ばっかりばっかり」の芝居『トイメン』の公演9公演を、無事終了することができました。ご来場いただいた皆さん、そして応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました!!

 さて、今回はまるっきり違う話題です。
 この芝居の前後に、二つの高校と一つの専門学校に福祉の授業の講師として行ってきました。

 専門学校は中野区にあり、ホテルマンやツアーコンダクターのような人たちを養成する学校でした。既に20歳を超えているような人も何人か見受けられ、楽しみながらもちょっぴり大人な真剣さでお話を聞いてくれました。ここは、点字の授業の一環として、視覚障害当事者である私の生活について話したり、誘導の仕方のレクチャーをしたりという内容でした。
 嬉しいことに、その受講生だった青年がマイミク申請してくれたばかりか、今回のお芝居も観にきてくれたのです。きっと、素敵なホテルマンやツアコンさんになってくれることでしょう。

 二つの高校のうち、芝居の翌日に行ってきたばかりの杉並区の学校について少し詳しく書いてみたいと思います。 この学校で私が今回担当したのが、「点字を使ってバリアフリーに遊べる物を作る」という授業のモニターの役割でした。
 びっくりしたのが、ここで打たれていた点字が全て点字テプラで作成されていたことです。うーん、確かに手軽だけど、それってどうなんだろう…と、疑問に感じました。
 4・5名ずつに分かれて作業を進めてきたという高校生たちは、ある班はトランプに、ある班は同じくカードゲームの「ウノ」に点字を張っていました。また別の班では、絵本に点字を張っていました。
 カードの真ん中に張られたテプラ点字はまだ良いのですが、これも両サイドに張られていないとちょっと不便だったのでその旨は伝えておきました。
 かなり読みにくかったのが絵本に張られた点字です。というか、テプラのテープの幅が上下に広いので、綺麗に並べて張られた点字は、行間が物凄く広い点字になってしまい、なんだか文章としてのつながりがわかりにくかったのです。
 また、最初に点字の指導をしてくれた人はちゃんと説明してくれていたらしいのですが、話を聞いていた生徒とそうでない生徒がいたようで、「は」「へ」「う」の表記や大まかなマス空けのルールの出来に極端な差が生じていました。
 読みにくかったけれど、独自のアイディアが素晴らしかったのが、クリスマスツリー型に切った画用紙に、点字の双六を作った班でした。いろいろなアトラクションをこなしていくと、やがてクリスマスパーィーが開かれるというストーリーになっていて、ゴールはツリーのてっぺんです。これこそ、テプラの幅が邪魔して苦労しましたが、本当にそのアイディアに脱帽でした。
 いずれにしても、どの班の生徒たちも、私という一視覚障害者と、普通に一緒に遊べたことに喜びを感じてくれているのが伝わってきて、私も暖かな気持ちになりました。
 もう少し時間があれば、テプラで打つ点字のメリット・デメリットというか、ふさわしい用途について説明したかったなと思いました。

 来月から2ヶ月にわたって、同じ高校の別なクラスで、こんどはわたしが毎回見てあげられる状態での授業を予定しています。どこまでやれるか、私としてもチャレンジ精神で臨みたいと思っているところです。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



点字、インターネットなどの視覚障害者の情報文化や偉大な先駆者の業績を紹介~盲人の歴史

by amedia  at 16:28  | Permalink

アメディアフェア

望月優

今年で19回目を向かえるアメディアフェアが23日の火曜日(天皇誕生日)に浅草橋駅近くの東商センターで行なわれます。近頃陛下の具合が思わしくないようですが、陛下が絶好調に戻られるようなフェアにしたいと念願しています。

今年は、出展社数も28社と過去最高になりました。

自由参加なので、参加者数は正確には読めませんが、500人の方がいらしていただけることを期待しています。

今年始めての試みとして、千葉大学、芝浦工業大学の皆さんに研究成果を展示会の場で発表していただくことになりました。ケージーエス、シナノケンシそして弊社などのこの分野での大手メーカーと並んで、大学の研究室で開発している視覚障害者に役立つ福祉機器を展示いただけるのがとても楽しみです。

イベント・コーナーでは、
・裁判員制度と視覚障害者
・視覚障害者と保険の選び方
といった視覚障害者の社会参加にとって意義深い講演会やシンポジウムが行なわれます。

加えて、音訳ボランティアの皆様にお勧めの「再生機器にあわせたデイジー図書の作成方法」や、視覚障害者にお勧めの「通帳と新聞をよむべえ」といった企画もございます。

来場者の方が1回は引けるというお楽しみ抽選会では、
・新型よむべえ
・CDダブルラジカセ
・PTN1
などが当たる可能性があります。

また、スワンベイカリー十条店に出店いただき、おいしい焼きたてパンを食べながらイベントや展示会を楽しめます。

皆様、お誘い合わせの上、是非ご来場ください。

第19回アメディアフェア
http://www.amedia.co.jp/event/amediafair/

なお、視覚障害者を駅と会場の間でガイドしてくださるガイドボランティアの方を募集しています。
http://www.amedia.co.jp/event/amediafair/guide.html

朝9時半から可能なお時間までで構いませんので、お手伝いいただければ幸いです。

障害者や高齢者に優しいWEBサイト作り「ウェブアクセシビリティ入門」

by amedia  at 16:56  | Permalink

視覚障害者にとって「対面朗読」とは?

 よく「読書の秋」などと言いますが、秋に限らず、寒い冬や暑い夏、エアコンの効いた室内から出たくないような時期は、本当に読書にいそしみたくなるものです。
 つまり、これからどんどん寒くなっていくこの時期には、やはり自宅で録音図書を聞いたり点字図書を読んだり、さもなければ図書館の対面朗読室にこもって、好きな本を読んでもらったり興味の赴くままに何かを調べてもらったりして過ごしたくなるのです。

 さて、対面朗読について少し考えてみましょう。いわゆる小説なら、わざわざ対面朗読してもらわなくても、録音された物を図書館から借りたり、OCRソフト、アメディア的にいうと音声読書器「よむべえ」に
読み上げさせるなどしてじっくり楽しめば良いのですが、生の肉声での朗読という物はそれはそれでヌクモリノある物でもあります。 また、一方では、これが対面朗読の真骨頂だとも思えるサービスもあります。例えば、その場でいろいろ調べたりするような読み物は、正に「目の代わり」となって、文字を追ってもらったりしなければなりませんし、ケース・バイ・ケースでディスカッションしながら資料の中の任意の場所に飛んだりして参照するようなこともあります。言い方としては対面「朗読」ですが、一般にいうところの「朗読」とは一味も二味も違う物になっています。
 図書館によっては、持ち込み資料の朗読を断るところもあるようですが、図書館の利用には、内部資料の閲覧や貸し出しの他に、「静かな場所で勉強する」などということも含まれているのですから、パーソナルな資料を持ち込んで対面で読んでもらうということも重要なサービスになるはずだと、私は思っています。これを具体的に行っている進歩的な図書館も、少数ながら存在しています。 実際、視覚障害者がプライベートな物を、何の利害関係もなく、守秘義務が重んじられているところで読む自由は与えられてしかるべきだと思っているのです。それこそ、図書館の対面朗読室が最適な場所だと思えるのです。

 などといろいろ書いてきましたが、そんな諸々の要素を盛り込んだ、地味だけれど画期的なコメディ芝居が、この前からお話している、今度私たちの劇団、演劇結社ばっかりばっかりが取り組む書き下ろし芝居『トイメン』なのです。 ある現役の図書館職員の方に綿密な取材をさせていただいて出来上がった
このお芝居、一人でも多くの方に観ていただきたいと思っています。 もう、本番まで1週間を切ってしまい、集中的な稽古期間に入っています。そして、おかげさまで完売してしまった回もあるのですが、まだまだお席に余裕のある回もあるのです。 ぜひこの機会に私たちのお芝居を観て、 そして、一緒に「対面朗読」について考えてみませんか? というわけで、このコラムでは最後のお誘いです。
しつこいようですが、以下に公演詳細情報を貼り付けますので、
ぜひいらしてください。お待ちしております!!


演劇結社ばっかりばっかり 第三回公演『トイメン』
作・演出…和風まくだ煮L(ワフー・マクダニエル)
脚本補・演出補…美月めぐみ
出演…石津正幸、大河内聡之、こんやゆうこ、美月めぐみ、鈴木大輔
日時…12月10日(水)~14日(日)
会場…原宿・ギャラリーハセガワ
交通…JR山手線原宿駅竹下口より徒歩2分以内
※ ご希望により、駅からの誘導をいたします。
料金…2000円
定員…各回30名様完全予約制。
※ 極めて小さな会場ですので、必ずご予約下さい!
※ ご予約の際は、日時と枚数、障害をお持ちの方は
誘導希望の有無をお知らせください。
お問合せ・ご予約は、
TEL 080-6724-5981
Eメール mail@bakkaribakkari.com

【日程】
12月
10日(水)…19:00~(夜の部のみ)
11日(木)…14:00~  19:00~
12日(金)…14:00~  19:00~
13日(土)…14:00~  19:00~
14日(日)…14:00~  19:00~
※ 開場は各公演開始時間の30分前です。
※ 上演時間は90分程を予定しています。

結社ホームページ
http://www.bakkaribakkari.com/

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

タックペーパーにも打てる、高品質印字の各種点字プリンタ

by amedia  at 16:47  | Permalink

ホンコン小旅行報告

株式会社アメディア 代表取締役 望月優


11月12日から15日まで、ホンコンに行ってきましたので、レギュラーの美月めぐみさんを今週は押しのけます。

1. 交通事情
 空港からホテルまでのバスの中で、現地人の旅行者の方が、「ホンコンは歩行者優先ではなくて車優先です」と言われました。 そこで、少し心配になりましたが、幸運にも緊張する場面には出くわしませんでした。 街中は地下鉄が何本か走っていて、東京や大阪のような日本の都会と同じ雰囲気です。 結構随所に点字ブロックが敷かれていて、これも日本の雰囲気と似ています。ただ、点字プロックの特記の度合いが薄い感じがしました。 地下鉄では明瞭な社内アナウンスが中国語と英語でされていて、言葉がわかれば視覚障害者も一人歩きし易い印象を受けました。 随所に音響信号機がありましたが、音の出し方は日本とは随分違っていて、「カタカタカタ」という機械音がしています。この機械音が、青になるとリズムが変わるのです。 おそらく、この「カタカタカタ」音は、目の見える日本人の旅行者には、視覚障害者向けの音響信号とは気がつかないと思います。というのは、赤のときと青のときのリズムの違いはかなり微妙ですし、何かある種の工事音のようにも聞こえるからです。 ある地下鉄で、点字案内板を見つけました。案内板のスタイルは日本で見るものとおおよそ同じですが、その在り処を示す方法がエレガントでした。 日本の点字案内板は、何も音で知らされていないか、または知らせるときでも「ピンポーン」という音を出しています。私がホンコンで見つけた点字案内板は、「エリーゼのために」を美しく奏でていました。

2. 視覚障害者事情
 14日にホンコン盲人協会を訪れました。 ホンコンの人口は700万人、それに対して視覚障害者の数は7万人だそうです。1パーセントという数は、1億2千万に対する30万人の日本の0.25パーセントよりも随分比率が高いです。 ホンコン盲人協会では、職業訓練として、マッサージを教えているそうですが、私が訪れたマッサージ店では、視覚障害者は働いていませんでした。 盲人協会の設備は充実していて、100ページにも及ぶ分厚い新聞をノルウェー製の高速点字プリンタで毎日700部ほど印刷して配っているところを見せて頂きました。


 最後に、ホンコンは税金が非常に安く、多くの資本家が世界中から集まってくる金融都市です。
 そのホンコンでしか手続きができないイギリス系ファンドの金融商品を申し込んできました。こちらに関心のある方は、このメルマガへの返信でお知らせください。

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by amedia  at 10:08  | Permalink

方向感覚を鍛える『動物村探検ゲーム』-晴眼者にもチャレンジしてほしい!

 最近、私は芝居の稽古や諸々の雑事の合間を縫って、『動物村探検ゲーム』というwindows版のゲームをやっています。
 このゲームは、声と音だけを頼りに、一歩ずつ座標を移動して行き、ゴールの「タヌキ村」を目指して行くのを1ラウンドとして重ねていき、31ラウンドの楽園に向かっていくゲームです。31ラウンドには、最終ゴール地点となる「タヌキ御殿」を目指すための、それまでにはないアトラクションがあり、最後の最後まで気を抜けない楽しいゲームなのです。
 一つのラウンドは、最初は9掛ける9、合計81マスの村を旅するのですが、これが10ラウンド以降には少しずつ広がっていき、最終的には30掛ける30、合計900マスの、とても広い村を探検することになります。
 このゲームは、なんと、画面には何も映し出されていないのです。つまり、視力の有無に左右されることなく、健聴者であればだれでも同じ条件で遊べるのです。上にも書いたように、頼りになるのは声によるメッセージのみです。
 例えば、「7コンマ3 ライオン リス」などという声がします。これは、「上から7列目の左から3番目にいますよ。周りには、ライオンとリスがいますよ」ということです。しかし、この「周り」というのが、上下左右どこかにいるというだけで、具体的には示さないので、それまで進んできたところの様子を頭に描きながら、「きっとライオンは上だな」とか「リスは左に違いない」などと、地図を想像する力と感をフル回転させながら対処するのです。この場合、猛獣であるライオンは、間違えてその座標に踏み込むと、食べられてゲームオーバーになってしまいますから、持っている猟銃か弓矢で撃らなければならないのです。いっぽう、リスは、その座標に踏み込むと、そのラウンドのゴールである「タヌキ村」の場所を教えてくれるし、保護動物だから撃ってはいけないことになっています。だから、やらなければならないのは、うまくライオンを撃ち、リスに会いに踏み込むということになるわけです。
 また、「岩山」という、通り抜けのできない座標や、「ゾウ」という、どこかに飛ばされてしまう動物がいる座標もありますので、うまく迂回しながら進まなければならないところもあったりします。
 これはもう、否応無しに、方向感覚が鍛えられます。つまり、視覚障害者の歩行訓練にも役立つのではないかと、このゲームのファンの間では言われているのです。

 画面に何も映っていないということもあるのか、、本当は晴眼者の人たちにも一緒に楽しんでほしいのに、なかなかやっている人を見つけることができません。やったらきっと楽しいのに。
 私たち視覚障害者がいくら望んでも、一般のゲームをやることが困難な状況は変わりません。でも、逆にこの「動物村」なら、その気にさえなってくれれば、晴眼者にも遊べる物なのです。
 今私は、mixi内にこの「動物村」専用のコミュニティ「集まれ!動物村の仲間たち!」というのを立ち上げて交流しているのですが、いつかこのコミュに、晴眼者のユーザーも参加して、共に語り合えたらいいのにと、淡い希望を抱いているところなのです。

 このゲームの元になった、ユリーカ版の動物村探検ゲームは、今、ラビットという視覚障害者向けのIT関連の販売とナビゲーションを行っている会社の社長をしておられる荒川さんが、今から15年ほど前に作った物でしたが、それを楽しんだ一人の視覚障害者・ハンドルネームいくらどんさんという人がDOS版→windows版と育て上げてきたソフトで、現在フリーソフトとして公開されています。荒川さんもいくらどん
さんも全盲の立場でプログラミングなさっているということで、それだけでもまた1本コラムが書けそうなのですが、それはまたの機会に譲ることにして、今回はこのゲームその物をご紹介してみました。

「いくらどんの島」=『動物村探検ゲーム』を落とせるHP
http://homepage2.nifty.com/count_nine/index.html

『集まれ!動物村の仲間たち!』=mixi会員限定コミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=3739066

※ mixiは、18歳未満の方は参加できません。と言っても、基本的にはいかがわしくはないのでご安心ください。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



タックペーパーにも打てる、高品質印字の各種点字プリンタ


by amedia  at 16:46  | Permalink

痛快福祉系コメディ登場!!

 前号で第一報をお伝えした、私の所属する劇団・「演劇結社ばっかりばっかり」の芝居の公演についてご紹介したいと思います。

今回の芝居のタイトルは『トイメン』。
 舞台は、とある図書館の一室。
 ここに現れたのが、カルチャー教室で朗読を勉強中だという女性。いささか勘違い気味の彼女がそこで出会うのは、無責任館長、誠実な障害者サービス担当職員、そして個性的な視覚障害者二人。
 はたして、彼女は何に出会い、何を知り、何を感じるのか…。
 福祉的要素の強いジャンルを、『ぷふっ』『むふっ』と思わず笑いながら、頭で理解するのではなく、心で感じてもらえたらと、メンバー一同稽古に励んでいます。

 今回の作品は、座付き脚本家の和風まくだ煮L(ワフー・マクダニエル)が、私と一緒に出席したとある図書館関係の勉強会で見聞きしたことに着想を得て書き下ろした新作です。
 見る人によってはうなずきの連続、また別な人にとっては目からうろこがぼろぼろっと落ちるような作品になっていると思います。

 今年の初めに入団した全盲の青年・大河内君も、めきめき実力をつけて舞台に臨みます。稽古すればするだけ成長していく彼を見ていると、私たち古参のメンバーもさらに頑張らねばという気持ちになり、日々切磋琢磨して精進しています。

 また、今回も昨年の『だからこそ愛』同様、脚本や演出の段階から気を配り、音声ガイド無しでも視覚障害者のお客さんにも十分楽しんでいただけるよう工夫しています。
 会場も、駅から程近く、車椅子のお客さんにもあまりご負担のないように、スロープだけで入れるところを選んでいます。
 残念ながら、力及ばず聴覚障害のお客さんへの配慮ができていなくて申し訳ないのですが、今ばっかりばっかりは、「観る側も演じる側もバリアフリー」という、とても語呂(ごろ)も良いコンセプトで活動しています。
 どうぞ、皆様お誘い合わせのうえご来場くださいませ!!(入場ご予約受付を開始しました!)
 以下、公演詳細をご参照ください。


演劇結社ばっかりばっかり 第三回公演『トイメン』
作・演出…和風まくだ煮L
脚本補・演出補…美月めぐみ
出演…石津正幸、大河内聡之、こんやゆうこ、美月めぐみ、鈴木大輔
日時…12月10日(水)~14日(日)
会場…原宿・ギャラリーハセガワ
交通…JR山手線原宿駅竹下口より徒歩2分以内
※ ご希望により、駅からの誘導をいたします。
料金…2000円
定員…各回30名様完全予約制。
※ 極めて小さな会場ですので、必ずご予約下さい!!
お問合せ・ご予約は
TEL 080-6724-5981
Eメール mail@bakkaribakkari.com

【日程】
12月
10日(水)…19:00~(夜の部のみ)
11日(木)…14:00~  19:00~
12日(金)…14:00~  19:00~
13日(土)…14:00~  19:00~
14日(日)…14:00~  19:00~
※ 開場は各公演開始時間の30分前です。
※ 上演時間は90分程を予定しています。

結社ホームページ
http://www.bakkaribakkari.com/

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 16:45  | Permalink

遠藤さん、ありがとうございました!--その想いをつないで

 去る10月24日、私の大恩人・沿道貞男さんが逝かれました。 今現在、首都圏に住んでいる芝居好きの視覚障害者で、享年86歳でこの世を去られた彼の事を知らない人はいないのではないでしょうか。
それ程に、その功績は素晴らしい物でした。私もそのご他聞に漏れず、大変お世話になりましたが、近年お体を壊されてからはなかなかお目にかかることもできずにいました。そして突然の訃報。無理にでもお会いしにいって、お世話になった者として孝行すべきだったと後悔しても、神に召されてしまった氏に届くべくもなかったのだけれど、せめてものお見送りにと、カトリック大宮教会で行われた告別式に出席してきました。

 遠藤さんが成し遂げられたこと、それは、視覚障害者に演劇を楽しむ機会を与えてくださったということです。 ご自身は、長年にわたり日本銀行に勤務されていた傍ら、多くのジャンルの演劇、とりわけ新劇を愛し、あのお硬いイメージの日銀の中にあって、有史を集めて演劇部を発足し、演出・出演の両方を
しっかりこなしておられた程のめりこまれていたようです。 また、27歳頃にカトリックの洗礼を受け、敬虔なカトリック教徒として熱い信仰を持たれ、それゆえかどうか、視覚障害者のためのボランティアとしても活躍されていました。演劇をなさっていた部分と、信仰に根ざした深い愛から自発的に他人のために尽くす活動をしていた部分の接点として、遠藤さんは対面朗読ボランティアとしても活躍され、多くの視覚障害者のご友人を持たれていたのです。その対面朗読の活動の中で、ある中途視覚障害男性がふと漏らした一言「ああ、またお芝居を観られたらなぁ」という言葉に衝撃を受けた遠藤さんは、その実行力を生かし、視覚障害者にも演劇を楽しんでもらいたいという想いをどんどん実現していかれたのです。
 その第一歩として、1976年、劇団民芸の「奇跡の人」という、サリバン先生とヘレン・ケラー女子を巡る重い感動のストーリーを、最前列で視覚障害者に堪能してもらおうという観劇会を開かれたのです。
以後、この民芸と俳優座を中心にいろいろな新劇の劇団に働きかけ、最前列での観劇や公演毎の点字パンフレットの作成と配布などを実現してこられ、その功績が認められ「ヘレンケラー・サリバン賞」という、視覚障害者の福祉増進・文化向上に活躍された方に送られる賞も受賞されました。

 さて、その第1回目の観劇会「奇跡の人」の奈良岡朋子さん演じる素晴らしいサリバン先生にすっかり心を奪われて、客席最前列で呆けたようになっていた12歳の全盲少女がいました。…、何を隠そう(いや何も隠していませんが)、それが私、美月めぐみだったのです。その後、紆余曲折ありましたが、最終的に舞台役者の道を選んでしまった私の、それが大きな原点だったと、今回の遠藤さんの死で、改めて自覚させられると共に、大きな感謝の気持ちが胸に湧き上がり、はちきれそうになり、眼からぼろぼろと溢れ出してしまいました。
 その後も、私が本格的に劇場通いするようになった21歳の頃のきっかけは、やはり遠藤さんが主催してくれた、俳優座の「セツアンの善人」の観劇会でした。
このお芝居は、主役の栗原小巻さんに惚れ込み過ぎて三日間も通い詰め、さすがの遠藤さんにもすっかりあきれられ、あちこちの講演の際に「こんな芝居バカの全盲の女の子もいます」という例として語られてしまった程でした。

 告別式には、視覚障害者の参列者を含め、多くの方が集っておられたのみか、有名な役者さん・芸能人の方・アーティストの方からもたくさんの弔電が届いていたようで、改めて氏の功績に驚かされました。 また、カトリックの厳粛な儀式であったにも関わらず、今まで出席したどんな告別の儀式よりも、故人に対する想いをたっぷり詰め込んだ素晴らしいお式でした。参列者ばかりでなく取り仕切った外国人の神父さんまで、個人的な想いも込めた心からのお祈りを捧げておられ、悲しさの中にもとても暖かな空気に満ちた儀式となっていました。私は、初めて個人的に遠藤さんとお話させていただいたとき、その穏やかな話し方に、「遠藤さんって、もしかして神父さんかなんかしてらっしゃるんですか?」とお尋ねしてしまい、「とんでもないよ。僕はただのじじいです。」と照れくさそうに苦笑されたことを思い出し、思わず泣き笑いしそうになってしまいました。

 最後に、まだまだ話しきれなかったことがありますので、遠藤さんについてもっと詳しくお知りになりたい方に参照していただけるページを探してみました。ここにurlを貼り付けておきますので、ぜひアクセスしてみてください。生前の記事のようです。

http://www.seibonokishi-sha.or.jp/kishis/kis0012/ki03.htm


 さてさて、少しオマケです。
 そんな遠藤さんに、現世から少しでも恩返しできるように、さらに舞台に精進していこうと決意した私が次に立つ舞台をご紹介します。 詳しくは、また近々書かせていただくことにして、簡単な第一報です。

 演劇結社ばっかりばっかり第三回講演『トイメン』
場所:原宿・ギャラリーハセガワ
日時:12月10日(水)~14日(日)(5日間9公演)
各会30名様、完全予約制
料金:2000円
原宿駅からの誘導あり。
お問い合わせ:TEL 080-6724-5981

 対面朗読を巡る、痛快福祉系コメディーです!
 ぜひお越しください!!


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 18:49  | Permalink

素敵な夜に紅茶で乾杯!

 前回の最後の方で少し触れたように、10日金曜日の夜、地元に新しくできたカラオケ屋さんに、mixiの地域コミュで知り合った新しい仲間たちと「歌い初め(うたいぞめ)」に行ってきました。

 もっと以前にも書きましたが、私たち障害者が生きていく上で、地元の人たちに顔を知っていてもらうことはとても大事なことだと思うのです。ここで言う「顔」とは、自分のパーソナリティ(個性)部分という意味です。そんな意味で、カラオケであればある程度得意とすることでもあったので、受け入れてもらいやすい集まりだなと感じたのです。なので、少し若い世代の人たちが中心の集まりではありましたが、思い切って参加してみたわけです。 結果、とても楽しいひとときを過ごすことができ、その後、メッセージのやり取りや日記へのコメントの付け合いもする仲良し、いわゆる「マイミク」としてのお付き合いが始まった人も何人か現れたし、駅で「あ、めーたん!」と気軽に声をかけてもらえるようにもなりました。

 集まったメンバーは全部で10人で、初参加は私と私のつれあいだけ。その他の人たちはどうやら既に1回か2回くらいは面識があるようでしたが、その基盤があったからこそなのでしょうか、私たちのこともすうーっと受け入れてくれました。年齢的には、20代が中心で、中には私の子供だと言ってもおかしくないような年齢の人もいました。
 ここで彼らと私の橋渡し的なツールになってくれたのが、アニメソング。つまり、ほんの少しのオタクっぽさが、「類は友を呼ぶ」ことになったようで、次から次へと歌いついでいく歌は、打ち合わせしたわけではないのに、アニメソングや特撮ソングが中心となっていたのです。
 そんな歌をBGMに、隣に座った女の子に話しかけられてみると、なんと、彼女は仕事関係の企画で、視覚障害者を対象とした朗読鑑賞会を企画したことがあるというのです。そこから、映画の音声ガイドの話などに発展し、興味を持っていろいろ聞いてもらえたことを良いことに、こちらもいろんなことを話させてもらいました。
 また、このカラオケの入っているビルには点字ブロックやエレベータの点字表示・階数アナウンスなどがあるのでどうやらハートビル法に則って作られているらしいと話すと、この日の幹事さんだった女性が興味を持ってくれたようで、いわく「そういうのって、盲人会連合なんかで働きかけるんですか」と聞いてくるのです。「盲人会」でも「盲人連合」でもなくて、「盲人会連合」という言葉をチョイスしていたのが印象的でした。もしかすると、知り合いに視覚障害者がいて、「日本盲人会連合」という名の大きな組織があること、その組織が行政への働きかけをする力も持っていることを知っているのではないかと思われるのです。聞く機会を逸しているのですが、近々確認してみようと思っています。
 この出会いが、これからどんな風に私と新しい仲間たちを結びつけていくのかを楽しみに思いつつ、ノンアルコールのアイスティーで乾杯したのでした。

 今後も、ときおりこのコミュのつながりについてお話させていただきたいと思っているところです。

(注)「ハートビル法」に関しては、下記のURLをご参照ください。
http://info.pref.fukui.jp/shougai/ffmap/sisaku/heart/heart.htm


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



気軽に一声かけましょう:目が不自由な方への声かけガイド


by amedia  at 16:47  | Permalink

地元地域を愛したいけど!

 まずは嬉しいニュースから。

 先日、都営交通機関の無料パスの更新のために、地元の障害福祉課に行ったついでに、ダメモトで点字ディスプレイの日常生活用具給付制度での補助を受けられないかどうか尋ねてみました。
 2年以上前に、同じことを電話で尋ねた折、電話口に出た福祉課の若い女性職員さんに「は?点字でスプレーってなんでしょう?」と問い返され絶句した挙句、電話のタライ回しに合ってようやく得られた答えが「盲ろう二重障害の人でないと認められません」とのお断りをいただいたということがあり、このコラム欄でもお話しました。その折、点字ディスプレイが点字を使う視覚単一障害者にとってもいかに必要性の高い物なのかを説明して、ぜひとも検討してほしいとお願いしていたのです。その後何も報告がなかったのですっかり諦めていたのですが、せっかくの機会だったので、再度お尋ねしてみたわけです。
 ところが、係の男性が暫く調べてくれた結果、なんと今年の4月から、単一の障害でも給付が受けられるようになっていたというのです。
 実は、私はパソコンのディスプレイ代わりとして使うだけでなく、気軽に持ち運びができて、どこでも点字読書ができる超小型の機種をほしいと思っているのですが、それも大丈夫だということだったので、さっそく見積書と商品カタログを取り寄せることにしました。恐らく、今月中には、PSPなみに小型の点字ディスプレイを手にすることができそうです。
 やはり、諦めてしまわないで、ちゃんと当事者の声として発してみて良かったと思うと共に、きちんと私の要望を取り上げて検討してくださった福祉課の皆さんに感謝しました。
 と、これがとても嬉しかったお話です。

 しかし、残念なお話もあります。
 それは、何かを給付してくれるとかくれないというお話ではないのですが、福祉課の職員さんの想像力というかちょっとした配慮の欠如を感じることもあったからなのです。
 まずは、今回役所を訪れた本来の目的である、都営のパスの申請に関してです。以前の更新までは、紙のカードに写真を貼り付け割り印を押してもらって出来上がりというパスでしたので、今回も700円のスピード写真を撮ってから出向きました。 余談ですが、私は生まれつきの全盲であるせいか、写真を撮られるのが大の苦手なのです。同行者にセッティングしてもらいながら、「もっと顎引いてとか「口角を上げて」とか「眉間に皺寄せないで笑って」などの指示に必死に答えながら、やり直しも含めてしばしの時間を取られヘトヘトになって役所に赴いたわけです。 ところが、係りの方は「あ、写真は2年前から要らなくなったんですよ。磁気カードになりましたから」とさらっとおっしゃるのです。「700円は?あの苦痛は?せっかく取った写真どうすんのよ?」などという想いが頭の中に渦巻き、はっきりテーブルの上にこけました。こけながらも聞かずにはいられませんでした。
 「すみません、そのことって、市の広報かなんかで告知されてましたっけ?一応、点字の広報はざっと読んでるつもりなんですが」 「いえ、特には告知は出してませんでしたね。まぁ、普通はいらっしゃる前に更新に必要な物を電話で問い合わせていらっしゃいますから、そのときにご説明してるんです」
 これまた、さらりとおっしゃられました。私の頭の中には、「あのぉ、それでごめんなさいとかなんとか、そういう言葉は出てこないわけ?」という怒りが湧きましたが、なんとかこらえていました。
 さらにもう一つ、帰り際に、日常生活用具給付制度の対象品目も変わっているからと『障害者サービスガイドブック』なる普通の活字パンフレットをくれたので、帰宅後つれあいに拾い読みしてもらうと、なんと「点字版、カセット版、デイジー版もあります」とのこと。なんで目の前に座った私が全盲なのに、それら活字でない資料を渡すどころか、それがあるという情報すら語らなかったのかと、またもや怒りが再燃
してしまったのでした。

 せっかく嬉しい変化があったのに、そのきっかけを投げかけた一人である私に連絡がなかったことも含めて、なんだかすっかりもやもやしてしまったのでした。 本来なら、もっともっと心の底から感謝して、そしてこの地域の福祉に信頼を寄せて、この市に喜んで住み続けていきたいのに、残念でなりません。

 明日10日は、以前にこのコラムで書きましたmixiの地域コミュのカラオケオフがあります。福祉課の対応にちょっとがっかりしている今、小さな民間のコミュニティーに参加することによって、この地域をもっと愛せるようになることを祈りつつ、古い機種の点字ディスプレイをよいしょと抱えて点字の歌詞を読みながら、楽しく歌ってきたいと思っているところなのです。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



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by amedia  at 17:10  | Permalink

身だしなみとおしゃれ

 9月下旬からいきなり寒くなりましたが、読者の皆さんは風邪などひいておられませんか?「これぞ季節の変わり目」とばかりのこの変化に、私も少し体調を崩しかけています。お互いに気をつけましょう。

 さて、そんな季節の変わり目に付き物なのが「衣替え」です。ということで、この機会に身だしなみとおしゃれについて感じていることをつらつらと書いてみたいと思います。

 私たち視覚障害者の場合、自分で鏡などを見て客観的に自分のミテクレをチェックすることは不可能です。だからといって、「見えないんだからしかたない」と言ってしまっては、箸にも棒にもかからない変な人になってしまいます。
 「身だしなみ」というのは、そのミテクレを醜くなく、一人のきちんとした人格を持った人間として見てもらえるようにする最低限のマナーともいうべき物です。髪の毛や肌を清潔に保てているか、歯に海苔などの食べかすがくっついてたりしないか、衣服に染みやほつれがないか、衣服全体に極端な皺がないか、色あせたり毛玉が付いて古ぼけて見えたりしないか、そして変な臭いがしないかなど、こまめに意識して外出し、相手に不快感を与えないようにすることは、自分をきちんとした人間として見てもらえるようにするためだけでなく、相手に対する思いやりにもなっているんですね。衣服の汚れなど、自分では判断しかねる場合は、家族や友人に積極的に見てもらうようにしましょう。これこそ「聞くは一時の恥」で済むことなのですから。
 この辺りがきちんとできている視覚障害者は多いと思いますが、晴眼者の友人の話によると、視覚障害者の男女共に見られるのが、鼻毛の処理ができていない人なのだそうです。普段あまり意識できないことだろうけれど、爪をきちんと切りそろえておくことと共に、この鼻毛の処理というのも気をつけてみたほうが良さそうですね。私もつい2年くらい前まではほとんど意識していなかったことなので知らなかったのですが、電動式の鼻毛シェーバーなども売られているので、簡単に処理ができます。
 また、夏場などは、女性に欠かせないのが腋毛の処理です。欧米ではこの処理をしていなくて、自然のままでノースリーブを着ている女性が大井ようですが、日本ではやはり気にされるマナーの一つです。うっかりつり革にでも掴まったりしたら大変!!
 まぁ、これくらい気をつけておけば、良識ある人間として、ちゃんと認めてもらえるはずです。

 さぁ、ここからはもう一歩踏み込んで、おしゃれについてです。
 視覚の有無に関わらず、おしゃれに関しては関心の持ち方の度合いが人それぞれです。特に、視覚障害者の友人と話していると、、「無難ならいいや」という人がけっこう多いようです。そのコツとしては、「上下そろいでない物を切るときには違う柄物を組み合わせない」とか「白、黒、ベージュなどは間違いが少ない」とか、「流行に捕らわれない定番の服装にする」などといったところでしょうか。それはそれで否定する物ではありません。
 でも、どうせなら、親しい人のアドバイスを受けながら、流行の服を触りにいった
り、どんなイメージに見られたいかを考えながら新しい服を買い求めたりしてみてはいかがでしょうか。友達同士の会話を気をつけて聞いていると、自分とセンスの合いそうな人が誰なのかが見えてきます。その誰かに付き合ってもらってアドバイスしてもらうと、とてもぴったりくるようなコーディネートも考えられるようになっていくと思います。
 メイクもまたしかりで、アイメイクの色使いやチークの入れる位置などにも流行があって、毎年ちょっとずつ変わっていたりします。デパートでメイク用品を何か一つ買って、ついでに売り場の人に頼むとフルメイクしてくれます。そのときに親しい晴眼者と行って、しっかりメイクのし方をチェックしておいてもらい、後で練習に付きあってもらうなどという方法も良いかもしれません。
 でも、私の場合はどうやらあまり器用ではないらしいので、ある程度大雑把に無難なメイクをすることしかできません。塗ってもらうときの感触を顔の皮膚で覚えていて、なんとなく整えていくことはできるんですけどね。もちろん、鏡に向かって自分の顔を生かせるメイクをすることもできないので、親しい人の手を借りて仕上げてもらうようにしています。
 こうして、「身だしなみ」から一歩踏み込んで「おしゃれ」を楽しんでみると、「きちんとした人」から「センスの良い人」に評価が変わったりするかもしれません。それって、なんだか嬉しいことじゃありませんか?

 そ・れ・か・ら…
 おしゃれは必ずしもお金をかける必要はないというのが最近の持論です。 これも、見える人のアドバイスが大きな役割を果たしますが、リーズナブルでセンスの良いお店の情報を仕入れておいて、一緒に行ってもらい、似合う服を探してもらうと良いでしょう。
 今年の秋口の流行を見ると、長袖のハイネックシャツに半袖のふんわりした襟ぐりの広いカットソーを組み合わせるのが多いようで、私も何枚か買ってみましたが、動きやすさや着心地の良さ込みで、とても楽しく着用しています。
 晩秋、そして冬へ向けて、こんどはどんな服が出てくるのか、お財布の紐をキュッと締めつつ楽しみにしているところなのです。

 今回は、主に私と同じ視覚障害者の皆さんへのメッセージのようになってしまいましたが、見える皆さんへも最後に一つだけお願いしたいと思います。視覚障害のお友達からアドバイスを求められたら、ぜひとも協力してあげてください。もちろん、「身だしなみ」についても指摘してあげられるくらい仲良しになってくれたら嬉しいなと思います。そして、お友達のセンスが少し光って見えたら、その人の鑑の変わりになって、「素敵ね!」って、フィードバックしてあげてくださいね!


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



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by amedia  at 16:02  | Permalink

私が“道徳”を語るなんて!!

昨日、杉並区立井草中学校の公開授業のゲストティーチャーとして呼ばれ、中1の生徒123名とその保護者の皆さん、および数名の教員の方々の前で、なんと、この私が“道徳”の授業を行なうはめにったのです。

 この中学校は、以前から福祉教育などでもモデル校的な役割を果たしていて、3年生は高校受験があるにも関わらず、自主的にボランティア活動をするなど、素敵な取り組みを行なっています。

 今回の授業もそんなカリキュラムの一環のようなのですが、全体のテーマは「生きる強さ」とのこと。パワフルな美月さんは、正にこのテーマにふさわしい」などと、妙におだててくださる先生方数名。別に、私には「生きる強さ」などという意識は無かったのですが、「強く生きるためのノウハウとしての『支えあう力』についてならお話できる」ということでお引き受けした次第です。

 まずは、例によって、私がピアノ伴奏して、『隣のトトロ』の中の「さんぽ」を生徒たちに歌ってもらい、場をほぐしてみます。次に、私の所属劇団、演劇結社ばっかりばっかり主宰にして我がつれあいでもある
鈴木大輔と、点字の活用や「支えあう力」としてのデモンストレーションを兼ねて、絵本「ちいさなあおいさかな」を朗読劇風に読みます。彼は原本を生徒たちに向かって見せながら、そして私は点訳された物を机の上で、読み合いました。内容は、か弱かった青い魚が先輩魚に励まされ成長し、やがて次の世代の魚に勇気を与えていくという、支えあいの連鎖みたいなお話なので、今回のテーマにもなんとかひっかかるのではないかと取り上げた物でした。続いて、軽く自己紹介。このとき、私の問いかけに手を上げるだけで答えた生徒にたいして、鈴木から「みんな、目が見えない人に手をあげるだけで伝わるかい?」との問い返し。「あ、そっか」など、ちらほら反応する生徒たちに「きちんと声で答えて行こう」と鈴木からのアドバイスが飛ぶと、皆「はい」と答え、そこからはきちんと声を出して発言するようになりました。 ここで、生活上工夫されたグッズなどを紹介しながら、盲学校での生活訓練の話や、小学生からの寮生活を余儀なくされて、いやがうえにも生活能力が付いていくことなどを話ました。
 次に、映画音声ガイド作りを通じて鈴木と出合い、自分の夢である芝居のキャストとして舞台に上がることを実現するに至ったことなどを話ました。もちろん、ここまでくるには、両親、教員、友人たちの支えが
大きな役割を果たしてきたのだということも大事な要素として語りました。 それを受けて、鈴木から、「見えない彼女でも、いろいろ支えてくれてるんだよ」という話。軽いお話としては、停電になった夜に、何もできなくなった彼を私がサポートしたことや、積み上げられた荷物の中に埋もれている物を探し出す
「魔法」みたいな話、もう少し日常的名ことでいえば、彼よりハイテク技術を持っている私がパソコンの面倒をみていることや、タイピングをしてあげていることを、「支えられている」と表現してくれていました。最後に、街で視覚障害者の人を見かけたときの声のかけ方や誘導のし方をレクチャーし、50分間の授業を駆け抜けていきました。

 今回の私の話の中で特筆しておきたいのは、「自分一人でなんでもやろうとすると苦しくて倒れちゃうから、もっと人に頼ってもいいんだと思ったほうがいいよ。でも、頼るだけじゃなくて、頼られる自分になって、他の人を支えることも大事。自分のためだけにしっかりしなくちゃと思うより、人を支えられる自分でありたいと思って、努力、いや、工夫していくことが大事なんだと思う。」と語らせていただいたことです。
どれだけ伝わったか分からないけれど、「支えあう」って、とっても強くなれることだと思うから、心の片隅にでも感じていてくれたら良いなと思って放したのでした。

 私たちからの話が終わった後、代表のクラス委員の男子が述べてくれた挨拶は、本当に心のこもったものでした。予め考えていた内容ではなく、今の授業を踏まえてしか語れない内容の感想付きの挨拶は、とても心に染み入りました。

 10月には、高校2校の福祉の授業を数回ずつ引き受けています。もう“道徳”なんて語るのは嫌だけれど、高校生にも何か感じてもらえる授業をしてきたいと思っているところです。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



目が不自由な方々への便利情報満載~視覚障害者お役立ちリンク集


by amedia  at 15:07  | Permalink

秋のバリアフリー上映会あれこれ-ポニョも、ウルトラマンも!

 秋です。ここ東京都町田市では、蝉の声がめっきり減って、僅かにツクツクボウシがぶつくさ言う程度になっています。そして、芸術の秋到来です。都内だけでなく、あちらこちらでバリアフリー上映会が開かれますので、ここでまとめてご紹介していきたいと思います。

(1) 大阪で開催されるバリアフリー上映

「パッチギ!」 LOVE&PEACE (日本語字幕&音声ガイド付き)
 上映日時:2008年9月19日(金)
   第1部 開場10:30  上映11:00~13:00
   第2部 開場14:00  上映14:30~16:30
  入場料 : 千円(前売り券;800円) ※介護者は入場無料
  会場 : 大阪市立青少年文化創造ステーション(愛称:KOKO PLAZA)
  2F エクスプレス・ココ ホール
最寄駅 JR新大阪駅東口より徒歩5~6分        
  お問い合わせは06-6370-5421まで
   主催: (財)大阪ユースホステル協会

「ビッグ・アイ シネマ 中国名画特集」(日本語字幕・日本語吹き替え版・音声ガイド付き)
  ① あの子を探して    
  上映日時:2008年10月4日(土)
  開場 13:30  上映14:00~

  ② 山の郵便配達
    上映日時:2008年10月5日(日)
    開場 13:30  上映14:00~
 入場料 : 無料 事前申し込み制  定員1200名
 会場 : ビッグ・アイ  国際障害者交流センター 多目的ホール
     最寄り駅 泉北高速鉄道「泉が丘」駅下車、徒歩5分
      ( 新大阪から所要時間約55分・JR大阪から所要時間約50分)
 事前応募期日が過ぎていますが、キャンセルが出る可能性も。
 問い合わせ先:072-290-0974
 ビッグ・アイ アドレス http://big-i.jp


(2) 昭和の名画を楽しむ「江東シネマプラザ」(東京)
日時:2008年09月27日 昼の部14:00 夜の部18:30
上映作品:彼岸花
1958年 監督:小津安二郎 主演:佐分利 信 田中 絹代 有馬 稲子
会場:古石場文化センター 大研修室
入場料:800円
問い合わせ先: 03-5620-0224
主催:財団法人江東区地域振興会 江東区古石場文化センター


(3) 「グーグーだって猫である」(全国各地)
アスミックエース配給「グーグーだって猫である」が、住友商事の提供により、音声ガイド付き+日本語字幕スーパーつきで、全国各地の劇場にて、バリアフリー興行されます。 既に終わってしまったところが大井ようです。すみません。

東京 9月15日(月・祝日)9時45分~/12時15分~の2回
・ユナイテッド・シネマとしまえん 03-5912-9800

京都 9月25日(木)17時10分~の回のみ 
・京都シネマ 075-353-4723

大阪 9月30日(火)10時~の回のみ
・梅田ガーデンシネマ 06-6440-5977


(4) 「川崎アートセンター」でのバリアフリー上映会(神奈川県川崎市)
■「ぐるりのこと」(副音声ガイド・日本語字幕付)
監督:橋口亮輔(はしぐち りょうすけ)
出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子
日時:10月3日(金) 14:50~、10月4日(土)、5(日)10:30~

第14回KAWASAKIしんゆり映画祭2008
■「石内尋常高等小学校 花は散れども」(副音声ガイド・日本語字幕付)
監督:新藤兼人
出演:柄本明、豊川悦司、大竹しのぶ
2008年モスクワ国際映画祭30回記念 特別招待作品
日時:10月30日(木)13:00~、11月1日(土)10:00~、11月3
日(月・祝)13:00~
料金障がい者及び介助者1名:各1000円
予約専用ダイヤル Tel.044-959-2255(平日のみ 9:30~19:
30)
【お問い合わせ】川崎市アートセンター
Tel. 044-955-0107 Fax. 044-959-2200  E-mail: info@kawasaki-ac.jp


(5) 「CityLights」関連のライブガイドによる同行鑑賞会
 私美月が副代表の片割れを担当しているバリアフリー映画鑑賞推進団体「CityLights」では、「視力の有無に関わらず、公開中の映画を一緒に楽しもう!」をもっと海栗、数多くのざっくばらんな鑑賞会を企画しています。その中から、私が企画者として関わっている予定を二つ紹介します。いずれも、川崎チネチッタという映画館で行います。最寄り駅はJR川崎駅です。鑑賞料金は、一律千円です。 映写室からライブでガイドを発信しますので、イヤフォン付きFMラジオでそれを聞きながらご鑑賞ください。(貸し出し用のラジオもあります)仮参加表明もお受けしてますので、まずは私美月までメールでご連絡ください。折り返し申し込みフォームをお送りします。
YIV01420@nifty.ne.jp

「崖の上のポニョ」
日時: 9月20日(土) お昼前後あたりで予定(時間は9月16日に決定)
 宮崎駿監督最新アニメ映画です。いま一番耳に残るかわいいCMでお馴染みですね。小さくてしっかりした男の子とその家族、かわいい魚の女の子の物語です。

「大決戦!超ウルトラ8兄弟」
日時: 9月27日(土) お昼前後あたりで予定(時間は9月22日に決定)
最初のウルトラマンを見ていた40年前の子供たち、ティガに夢中になっていた15年前の子供たち、去年までメビウスを見ていた子供たち…一緒に映画館で盛り上がりませんか?初代もセブンも帰ってきたのもエースも、そしてそのヒロインの方も、オリジナルキャストで蘇ります!!

 シティライツでは、この他にもいろいろな映画の同行鑑賞会が企画されています。他の情報もお知りになりたい方も、上記の私のアドレスまでご連絡ください。

 さぁ、みんなで秋の映画を堪能しましょう!!


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



気軽に一声かけましょう:目が不自由な方への声かけガイド

by amedia  at 15:57  | Permalink

地域と繋がる第一歩

 9月になると、特に防災を意識することが多くなります。今年もそんな季節がやってきました。しかも、その寸前の8月末には、東京を含む各地で、大雨・洪水・雷の被害が続出しました。斯く言う私も、二晩続きの物凄い雷雨に脅え、眠れぬ夜を過ごし昼寝しました。(笑)

 いや、真面目な話、本当に家にいられない程の災害に見舞われたとしたら、私たち障害者はどうすれば良いのでしょうか。やはり、そうとう地域の人たちにお世話になることになるのではないでしょうか。中には、「家族と一緒だから問題ない」という方もおられるかも知れませんが、家族に頼ることができない状況も想定されます。 こんなとき、日ごろから地域とのつながりを持っているかいないかで、かなり状況が違ってくると思うのです。 「ありゃ、あの裏のアパートに住んでる、丸っこい目の悪い人がきちゃったよ。面倒みてやんなきゃならないだろうねぇ。」 などと思われるより、 「あ、美月ちゃん、うちらと一緒にいよう!」と、友人として声をかけてもらえたら、どれほど心強いでしょうか。
 などと考えてみると、やはり地域との繋がりはとても大切なことだと思うのです。しかし、そのきっかけをどうやって作っていけば良いのか、これは大きな課題です。
 以前住んでいた練馬区や板橋区、豊島区では、
私は近所の商店街に積極的に買い物に行き、お店の人と沢山お話しました。また、行きつけの喫茶店というのも作り、そこに集う常連さんと仲良しになったりもしました。けれども、2年前に越してきたこの地域には、どうもそのようなお店を見つけることが難しいようなので、未だに道端で気軽に声をかけてくれるような知人はできていません。
 どうしたものかと思っていたのですが、最近になって、地域と繋がる第一歩となりそうなネットワークに出会いました。

 それは、少し前に本コラムでもちょっと触れましたmixiを活用することです。mixiの中にある多くのコミュニティのうち、地域のコミュニティに参加することなのです。もちろん、全ての地域のコミュがあるとは限りませんが、それぞれで検索してみてはいかがでしょうか。ちなみに、私が入ったコミュは、その名もずばり「鶴川」で、小田急沿線の駅名にもなっている地域名がそのままコミュの名前になっている物です。
 こちらのコミュでは、病院やお店の情報の交換、バイク盗難に関する情報交換、地域で起こった事件に関する情報、子供を遊ばせられる公園の情報、放置自転車の対策に関する意見交換などの話題が飛び交い、またオフラインミーティングも企画されるなど、かなり有益なコミュになっています。
 私自身はまだ参加して間もないので、これから馴染んでいこうという段階なのですが、少しずつお友達も増やせたらと胸をわくわくさせているところです。

 自然に馴染んでいくためには、他のメンバーの書いた文章の流れをきちんと捉えて、場の空気を読みつつ、なるべく誤字のないように気をつけながら、自分から発信できる情報を少しずつ出していくことが大切です。こう書くと、なんだかとても面倒に感じてしまう方もおられるかもしれませんが、30年前には夢だった「自分から情報を発信する」ということが、パソコンやインターネットの発達により実現できた喜びを思えば、ちょっとくらいの工夫や勉強を厭わしく思って怠るのはとてももったいないことだと思います。 「たまたま視覚に障害はあるけれど、普通に馴染んでいるじゃないか」と思ってもらうことが、地域と上手に繋がっていくことの第一歩になるのだと、私は思っています。

 まだ結果を出すには至っていませんが、いずれその後の経過などもこのコラム欄でお話したいと思っています。ご期待ください。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



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by amedia  at 16:12  | Permalink

障全交

第14回障害者問題全国交流会 実行委員会 委員長 望月優

「障全交」は、「障害者問題全国交流会」という中小企業家同友会の催しの略称です。中小企業家同友会は全国に4万名の会員を持つ中小企業経営者の団体です。各都道府県の組織がそれぞれ極めて自立的に活動していて、それを取りまとめるのが
中小企業家同友会全国協議会
http://www.doyu.jp/
で、ここが全国行事を主催します。

私は会員数2200名の東京中小企業家同友会
http://tokyo.doyu.jp/
の会員で、障害者雇用や福祉ビジネスをテーマとする障害者委員会の委員長を2005年4月から務めています。

障害者問題全国交流会は、1982年から2年に一度全国行事として行なわれてきました。そして、今年9月、第14回目の「障全交」が東京で行なわれることになり、昨年11月から東京同友会で実行委員会を組織して取り組んできました。

中小企業家同友会は、良い経営者になることを目指した「経営者の学校」的な団体で、日常は毎日東京都内の3・4箇所で経営の勉強会やビジネス交流会が行なわれています。

参考:東京同友会例会参加登録システム
http://www.tokyo.doyu.jp/tokyo-doyu/common/index.php

福祉や障害者の団体ではないので、日常の活動で障害者に関連したことが多いわけでは決してありませんが、そんな経営者の団体が2年に一度障害者をテーマにした全国行事をずっと継続してきたことには大変大きな意義があると感じています。そして、私自身、第14回目のこの交流会を企画・運営する
立場にさせて頂いたことに感謝し、今東京同友会の多くの仲間とともに、最後の準備に取り組んでいます。

内容的には、1日目の9月19日(金)の午後に六つの分科会があります。分科会は同時に行なわれますので、どれか一つを選んで参加する形となります。9月20日(土)の午前中に前日の分科会の座長がパネリストとなるパネルディスカッションを行ない、午後二宋 文洲さんの記念講演を行ないます。

内容の詳細は
http://shozenko.org/
をご覧ください。

とにかく、障害者や福祉団体が主催する催しとはかなり雰囲気の異なる交流会です。「ノーマライゼーション」とか「メインストリーミング」といった障害者の社会における本来的なあり方は、このような福祉分野とは関係のない人達が動くことによって始まることが実感できる会です。ですから、福祉関係者の皆様には、是非この障全交に参加していただきたいと思います。
「福祉」という一定の枠の中から社会を動かそうとするのではなく、別の分野で社会的に活躍している人々、社会的に影響の大きい人々を動かすことによって達成されるであろう「ノーマライゼーション」や「完全参加」といったものを体感していただければ幸いです。

参加登録は以下のページからお願いします。
http://www.tokyo.doyu.jp/tokyo-doyu3/meeting.php?mid=2

なお、障全交当日までは、このメルマガへの返信でご質問、お問い合わせを受け付け致します。
どうぞ、ご遠慮なく!

ゲーム感覚で自然に点字が身につく点字学習ソフト・ろくてん満天

by amedia  at 12:22  | Permalink

残暑=ビールの季節を惜しみつつ夢を語ります。

 昼間の暑さはまだまだですが、夜中まで鳴いていた油蝉が激減し、秋の虫の声が目立つ夜が増えてきました。 とはいうものの、そんな虫の音をBGMに、ビールをクイッとやるのも乙な物ですよね。

 ビールといえば、缶ビールの上面に点字が入るようになってもうどれくらい経つのでしょう。最初は本当に嬉しくて大喜びしたものですが、いつの間にかだんだん当たり前のようになってきています。 これは、未成年者や体質的にアルコールを受け付けない視覚障害者の誤飲を防止する画期的なアイディアを、ビール会社各社がご理解くださり実現した革命でした。このように点字が入っている缶飲料は他にないため、中途失明で点字の苦手な方にも、「何やら点字が付いてるから、これはアルコール飲料だな」と認識してもらえるわけです。

 ところが、最近になって、「おさけ」だけでは不十分だという苦情とか問合せが増えているということをある関係者から耳にしました。 確かに、銘柄が知りたいとか、せめてメーカー名を知りたいとか、具体的なお酒の種類くらいは知りたいという気持ちが分からなくはありません。でも、それを言い出してしまっては、ソフトドリンク愛飲家の視覚障害者も黙ってはいないかもしれません。 本来の目的は、体質的な影響を恐れての誤飲防止だったはずなのに、何か方向が変わっていっているようです。

 同じ目的で、牛乳の紙パックの天辺に切かきを付けて、乳製品アレルギーの人たちの誤飲を防止するという工夫も定着しています。これに対しても、私の仲間内でさえ、 「じゃ、他の飲料は?」という不満が見受けられるようになってきています。

 私は、もうそこから先は、家庭で工夫しても良いのではないかと思っているのですが、視覚障害の顧客のために、なんとかそれ以上の情報を与えられる工夫はできないものかと考えている企業デザイナーの人たちもいらっしゃるようです。確かに、体質的なことをいえば、カフェインアレルギーの方もいらっしゃるし、ビールに似ていても発泡酒だと悪酔いしてしまう方もいらっしゃいます。そう考えてみると、単なる視覚障害者のわがままとしてしまうのも乱暴ではあります。

 一方、最近自動販売機でよくおしゃべりする機械が増えてきています。これは、ダイドードリンコの機械で、季節の挨拶とか、独自のポイントカードのポイントのお知らせなど、本当に沢山しゃべるうえに、外国語バージョンとか各地の方言バージョンがあるようなのです。これだけ多弁な機械ができているのなら、ボタンの2度押し方式で買う物を選べるようにならないものかと思います。と、さも自分が思いついたようなことを書いてますが、実は、ある関西在住の視覚障害の友人の思いつきなのです。本当に、あったらいいなという「夢」を語るだけなのですが、具体的に、関西弁バージョンで考えるならこんな具合です。 任意のボタンを押します。すると、機械が「コーラでっせ。ほんまにこれでよろしおまっか?」と聞いてきます。嫌ならすかさず別のボタンを押します。「レモンティーでっせ。」と聞こえてそれがほしい物だったらすかさず同じボタンを押します。そうすると「ミルクティー、おおきに!」と発声しつつ、ゴトンとミルクティーが出てくる。こんな自販機ができたら、アルコール飲料にも流用できて……、あれ?ちょっと待ってください。これだけでは、やっぱり家に持ち帰ったとき、複数あったらどれがどれだかわかりませんよね。
となると、やっぱりここからは各自の工夫が必要になります。それでも、自販機で自由にほしい物を買えるようになったら、本当に画期的だと思いませんか?その便利さの前には、多少自分で工夫しなければならないことぐらい、なんともないような気さえしてきます。

 自分たちで工夫しつつ、配慮してくださる企業へは感謝をし、新技術を流用して次なるユニバーサルデザインへのステップを踏めそうな企業に望みを託して、今宵もビールで「乾杯!!」と行きましょうか。

参考URL(アクセシビリティはあまり良くないですが)
おしゃべり自販機紹介
http://www.dydo.co.jp/corporate/jihanki/talk/index.html


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町で出会ったら気軽に声をかけましょう!目の不自由な方への声かけカード


by amedia  at 17:43  | Permalink

出会いは十色(といろ)、そこから先が大事です。

 私は、数年前、一人で歩いているときに友達から電話があり、「あと2時間後の子供向けお話会で語る予定だった人が急にこられなくなったから、なんでも良いから覚えてる話を語りにきてほしい」と助っ人を依頼されました。
 そのとき、自分は語る予定がなかったので、読み聞かせできる本はなんにも持っていないまま、新宿伊勢丹での買い物に向けて歩いてました。
「さぁ大変!」とばかりに、頭はフル回転。子供が好きそうな話で、とりあえずストーリーを追いながらフリーで話せるネタはと考えて、落語の「饅頭怖い」をおさらいし始めました。
 「おう、おめぇは何か嫌いな物はねえのかい?」
 「んなもんねえよ。……待てよ、おっといけねぇ、…ああ、
思い出しただけでも怖くていけねぇ。……お、おれぁ、ま、饅頭が…」
 などと頭の中で考えていたので、 私は上り階段の存在を忘れていました。
杖もろくに使わぬまま歩いていた私は、あっと思った瞬間に、その階段にけっつまずいて見事に階段の上に倒れこんでしまいました。右膝をしたたかに階段の角に打ち付けてしまい、せっかくおさらいした「饅頭怖い」が吹っ飛んで頭の中が真っ白になりました。
いやぁ、痛いのなんの!!
でも、ちょっと座り込んでるうちになんとか立って歩けるようになり、大したことはないだろうと医者にも行かず仕舞いになりました。ところが、それ以来、階段の上り下りのときとか、長い時間立っていたりとかすると、膝がじんわり痛むようになってしまいました。

 というわけで、最近では電車の中で声をかけていただいたら、ありがたく座らせていただいています。
声をかけていただく理由が、白い杖を持っているからだということは分かっていて、申し訳ない気持ちもあるし、違和感もあるのですが。 で、この声をかけていただけるかどうかですが、日によって、路線によっても違うようです。 先日などは、若いお兄さんが譲ってくれたり、自分の隣に導いてくれたり、乗る電車乗る電車、ありがたいシチュエイションの連続でした。また、エレベーターの近くに寄って行っただけで、手をとって導いてくれる人もいたりして、嬉しい1日となりました。

 かと思えば、連れ合い(晴眼者)と歩いているのに、その間にぐいぐい割り込んでこられたり、すごい勢いでぶつかってこられたりすることもあります。私は見えていないので気づかずにいるのですが、電車やエレベーターに乗り込む列の一番前に並んでいたはずなのに、横合いから割り込んで乗り込もうとする人もけっこういるそうです。 また、最近一番嫌な想いをしたのは、電車に乗り込んだとき、連れ合いに導かれて行った私が座らせてもらおうとしたら、その横で二人分の幅を取って座っていた男性が、迷惑そうな顔をして立ち上がって行ってしまったことでした。空いたところに連れが座っても、ゆったり座れる余裕があったというのにです。

 さらに、路上で点字ブロック上にかかるように止めてる自転車やバイクが多くて困るのですが、正に止めようとしている人に連れ合いが注意したら、なぜ注意されたのか分からずきょとんとする人やら、逆切れする人やらの不思議な反応が返ってきて、頭を抱えてしまうこともしばしばです。

 そんな中、昨日は某図書館近くの公園でスケポーの練習をしていたあんちゃんが、点字ブロックの延長上の階段に荷物を置いていたのでこれまた連れが注意しました。私は、例によって逆切れされるか、あるいはふてくされた態度でしかたなしに誤られるものだと覚悟していました。ところが、このあんちゃんは「すみません。気が付きませんでした。以後、気をつけます。」と、とてもさわやかに、そして神妙な感じで、素直に謝ってくれたのでした。この瞬間、私の中の印象が、「ちゃらいあんちゃん」から、「さわやかな好青年」に大変身したのは言うまでもありません。

 このように、通りすがりの出合いでの反応は様々です。もちろん、思いやりの度合いだって、視力や聴力のように、様々なのですが、私は多かれ少なかれ、通りすがりに留まらない関わりを持っていったときには少しずつ理解していけるのではないかと思っているのです。
 先日、ある障害者サービス担当の公共図書館職員さんと話していたら、
「私も、役所の他の部署から回ってきて最初に図書館職員として障害者サービスを担当させられたときには、なんでこんなことになっちゃったんだろうと思いましたよ。」と笑って話してくれました。でも、その職員さんは、今では人一倍親切で意識の高い担当者となって、利用者からもボランティアさんからも慕われているのです。どうしてそんなに変われたのかと聞いたところ、「必要とされていることと、喜ばれていることが実感できたから」という、とても素敵な答えをいただきました。 こんな例もあるのですから、じっくり付き合っていける機会のある健常者とは、大事にお付き合いしていけるよう、障害者側も思いやりと
感謝を忘れずにいたいものだと思うのです。


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デイジー録音再生機プレクストークPTR2の詳しい操作法

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マジでびっくり!-発想の転換

 昨日7月30日の東京は、前日までの猛暑を物凄い雷雨に断ち切られたからか、かなり過ごしやすいちょっと涼しい日となりました。しかし、私たち演劇結社ばっかりばっかりの稽古場としている東京都障害者福祉会館は、連日の猛暑のせいか、館内の冷房がダウンしてしまい、職員さんに「扇風機をご用意しましたけど、お水を沢山飲んで、脱水症状にならないようにしてくださいね」と心配される状態になっていました。 夕方6時頃会館に到着したとき、玄関前の外のスペースにはとても気持ちの良い風が吹き渡っていて、このとき私は思わず、「あら、ここなら良い風がくるし、中で朗読の稽古をするより、ここでやったほうが涼しくて良いじゃない?」とはしゃいでしまいました。すると、主催でもある私のパートナー氏(晴眼者)が、「…あのね、ここじゃ僕たちは暗くて字が読めないでしょ」と笑って言うのです。あぁー!そうか!!」私もその言葉で気づいて大笑い。私は、完全にマジボケで、自分が何の支障もなく点字原稿を読むことができるものだから、目で読む人の不自由さを失念していたのでした。 そのとき、パートナー氏の言った一言が、なかなか振るっていたのです。 「僕らは、点字使用者から見ると、いわば“明るさがないと読めない障害者”だね。」 ちなみに、「読めない」の「い」の字は下げないで、「障害者」の「しょう」の字と同じ高さでつなげて読んでみてくださいね。そうするとニュアンスが伝わるかな? なんだか長ったらしい名前の障害ですが、言い得て妙というか、「なるほどなぁ!」と感心してしまいました。もしも、この世界が真っ暗だったら、少なくとも視覚の障害においては、そのハンディキャップが逆転してしまうわけです。もちろん、人間は環境に順応する生き物ですから、その状態が長く続けばみんな視覚以外の感覚を研ぎ澄まして生活することにも慣れていき、やがては視覚のハンディそのものが消えて、一緒になっていくのでしょうけれど。
 そこで思い出したのが、下記の二つのイベントです。両方とも、現在は開催していないので、今後は逃してしまわないようにそれぞれの動向を見守っていきたいものです。
 一つは、「Dialog in the Dark(ダイアログ イン ザ ダーク)」です。
 これは、1989年にドイツのアンドレアス・ハイネッケさんという方が考案された、「真っ暗な中で、視覚以外の感覚を高めながら、楽しく過ごしてみよう」というような、芸術性溢れる体験型展覧会です。暗くて広い空間の中に、森や牧草地や街並みを作り、その中を3人一組になり、視覚障害者の案内人に導かれながら探検し、最後には、暗い中で、ジュースなど飲んで一息ついて終了、といった、約1時間ほどの
コースのようです。
 日本でも、1999年から毎年実施されているようで、非常に人気の高いイベントになっているそうです。 晴眼者の方に楽しんでいただくだけでなく、視覚障害者自身がアテンドスタッフとして活躍できることも魅力の一つとなっています。 現在、日本での主催者となっている「NPOダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン」では、このイベントの常設展示に向けて準備しておられるようですので、その動きにも注目していきたいと思います。
 もう少し詳しくお知りになりたい方は、下記HPをご参照ください。
http://www.dialoginthedark.com/index.html

 もう一つは、スイスの視覚障害者の牧師さんが考えたという「クラヤミ食堂」です。これは、元々は「暗い中で食事をしてもらい、視覚障害の疑似体験をしてもらうことにより、視覚障害者への理解を深め、雇用の拡大につなげたい」との想いから始まったイベントらしいのですが、日本では「こどもごころ製作所」というところが、昨年から、体験型イベントとして、ときおり行なっているようです。主に、東京都港区赤坂にある「テーブルスタジオ タキトー」というところで行なわれているようですが、残念ながら、夏休み体験イベントが、ちょうどつい最近終わってしまったばかりのようで、次の開催予定が分かりません。
 こちらは、体験した人が身近にいないので詳しいことは分かりませんが、変な物を食べさせる「闇鍋」とは違い、ちゃんとしたフルコースメニューを、「これはなんだろうね」と参加者同士がわいわい語り合いながら味わっていくという、これまた楽しそうなイベントになっているようです。フルコースですので、それなりのお値段のようですが、機会と予算の都合が合えば、私も晴眼者の友人と参加してみたいなと思っ
ています。
 こちらの企画は、以下の二つのHPを参考になさってみてください。

http://www.kodomogokoro.jp/wsarchive/cat33/
http://www.sowxp.co.jp/kurayami

 以上、今回は“明るさがないと読めない障害者”という名言(?)から思い出した
二つの体験型イベントをご紹介してみました。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

町で出会ったら気軽に声をかけましょう!目の不自由な方への声かけカード

by amedia  at 15:42  | Permalink

障害者と親戚付き合い

 今朝、実家から連絡があり、本誌247号で紹介した百歳の祖母の
具合があまり良くないと知らされました。
とても元気で食欲も旺盛だという話をしていたのがつい2ヶ月前だったのに、
この暑さがこたえたらしく、入院騒ぎにまでなっているということなのです。

 そして、ああ、また母から言われてしまいました。
 「あんたが会いに行ったって、先方(祖母と暮らしている叔父家族)に
迷惑かけちゃうから、パソコンでお手紙書いてお見舞い替わりにしなさい。」
 普通のときなら、そんなことは言わないのですが、
弱っている家族を看なければならない状態では、目の見えない私が行くと、
さらに面倒を見なくてはならない存在が増えてしまうからということなのです。
 理屈としては、よーく分ります。けれど、介護の手伝いすらできない、
というか当てにされず、あまつさえ邪魔になってしまうというのは、
なんとも情けない話です。

 同じ視覚障害者の人でも、同居する家族内に介護を必要とする
病人がいる場合は、そうとう訓練や工夫をなさってのことではあるのでしょうが、
自力でなんとかしておられるケースを多く見受けます。
 ただし、恐らくそういう方でも、他所のお宅での介護は、
なかなか引き受けることはできないでしょうし、
任せてもらうことなど考えられないことなのではないでしょうか。

 これは、介護の話や他所のお手伝いに限ったことではありません。
 私の父は8人兄弟の長男だったので、実家のお盆やお正月や法事などには、
叔父・叔母・いとこなどがわんさと押し寄せて、家中人だらけになります。
 こうなると、いつもすいすい動き回れる家の中でも、人を避けたり、
特別に出されたテーブルなどにつまずかないように気をつけたりしながら、
おたおた、おたおた行動することになります。
 台所を手伝おうと思っても、母以外に何人もの叔母がさっさか立ち働いていて、
入る隙がないどころか、うっかり踏み込もうものなら
完全に邪魔することになってしまいます。
 それでも、小さい頃なら、隅の部屋に逃げ込んで、
そこに入ってきてくれる従姉妹(いとこ)たちと、
着せ替え人形などを作って遊んだりして、
格好も付いたし実際楽しく過ごすこともできていました。
 でも、大人になってみれば、今度はテーブルの片隅に座り、
にこにこしてることしかできないのです。
 そんな私は、きっと親戚の人たちの目には、
「何もできない可哀想な人」と映っていることでしょう。
まぁ、ピアノが弾ける歌のお姉さん程度には評価してもらってる
かもしれないのですが。

 そして、あるとき気づいたのですが、私は祖父母の葬儀には出席したものの、
それ以外の親類の冠婚葬祭のときには、いつもお留守番だったのです。
 それに気づいたときには愕然としましたが、紛れもない事実です。
 以前、色素の薄い病気で弱視になったという友人から、
「私は見た目ですぐ障害が分っちゃうから、
家柄のいいお医者さんのところに嫁いだ姉の結婚式には出席させて
もらえなかったし、その家の人たちが訪問してこられたときには、
奥の部屋に押し込められるんだよ」と話しているのを聞いて、
大変憤慨したことがあったのですが、気づいてみれば、
私も似たり寄ったりな経験をしてきていたのでした。

 親戚付き合い。それは、障害者にとって、
ある意味永遠の課題かもしれません。
 もちろん、理解のある親戚に恵まれている方も多くおられるでしょうが、
私の周りではわりと私と同じような経験をしている人が多く見受けられます。
 幸い、今はこうしてパソコンを使えば、
自力でできることがいろいろ増えているので、
「ただ何もできないわけではない」ということを知ってもらう
機会も与えられているわけです。これからも、自分ができることとして、
いろいろクリエイティブなことにチャレンジしたりしながら、
いつか親戚の目にも触れて、少しは認めてもらえるようになると良いと思っています。
 ということで、まずは、「退院させてくれねがったら、
病室から飛び降りっから!」とだだをこねているらしいおばあちゃんに、
パソコンを使って、お見舞いのお手紙を、
心を込めて書いてみようと思っているところです。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



デイジーもあり~視覚障害者のスキルアップに役立つ各種録音図書

by amedia  at 15:30  | Permalink

十人十色-偉能力者でもダメ人間でもないんです

 一口に「視覚障害者」と言ってしまうと、
どんなイメージが湧いてくるのでしょう。
 ある人々は、「座頭市(ざとういち)」みたいな偉能力者を想像し、
「目が不自由な分、他の感覚が鋭くなっているから、
なんでもできちゃうんですね!」などと買い被ってしまう。
またある人々は、自分が目を閉じて何かをすることを想像し、
「視力がない=何もできない」などと決め付けてしまう。
 いずれにせよ、両極端なイメージが多く見受けられるような気がします。
 本当は、「目が見えない」ということ以外では、
一般の健常者と同じように、それぞれの性格、
それぞれの能力は千差万別なのです。
だから、金子美鈴さんの詩の一説「みんな違ってみんないい」の
フレーズが大好きです。
 こういう話は、ずーっと前にも書いたことがあったと思いますが、
改めて書いてみたくなりました。

 そんな気持ちにさせてくれたのは、阿川佐和子さんの
 「婚約の後で」という小説を読んでいるからなのです。
 まだ読了してはいないので、この先どうなるかはわからないのですが、
この小説の途中に、全盲の素敵な女性が出てくるのです。
いや、そういう人が登場してくるとも知らずに読み始めたので、本当に驚きました。
 小説や映画、戯曲などの作品で描かれる視覚障害者は、
最初に述べたような両極に描かれることが多いのですが、
阿川さんの書かれたこの小説は、
本当に等身大の視覚障害女性が良い感じのポジションで扱われているのです。
 ネタバレにならないように書くのは難しいのでかいつまんでの説明になりますが、
年齢30歳くらいで、翻訳の仕事をしているこの女性が語ることの中に、
「同じ視覚障害の中でも、耳の感覚に優れている人や、
空気圧を感じて広さを認識できる人もいる」というように、
視覚を補う能力の中でも、人によって得意不得意があることが出てくるのです。
阿川先生、さすがです!!
 予断ですが、音声化ソフトとパソコン、スキャナ、点字ディスプレイ、
読み上げ機能のある携帯電話などを使っている彼女の生活の細部まで、
とてもよく調べて書かれていて、
さらに作者阿川先生の見識の高さに驚かされました。

 実は、私も、最近友人に話していたところだったのです。
 「私は、耳はそこそこ良いし、触覚もかなり鋭いほうだけど、
平行感覚とか水平感覚が鈍いのよ。
だから、スプーンですくった液体は口に運ぶ間にこぼれるし、
うっかりするとお椀やカップの中身もいつの間にかこぼれてたりするの。
でも、そういうことが得意な全盲の人もいるし、
逆に聞こえてるはずなのにどうして音の識別があまりできないんだろうとか、
どうして触地図がちゃんと認識できないんだろうと思うような人もいるんだよ。」
 そんな話をした相手から知らされた面白いこともありました。
なんと、私は、一般の人たちより、関節技がきめられにくいらしいのです。(笑)
 要するに、その友人が私の手なり腕なりに関節技をかけてくると、
私は瞬時にというか、反射的にそれを回避するのですが、
その反応が異常に早いらしいのです。
いわく「皮膚感覚で察知する」のだそうです。
「柔道やったら?」の言葉を笑って交わす昨今です。

 話が少し(だいぶ?)横に反れましたが、とにかく、障害の有無に関わらず、
十人十色ですから、人に対するイメージは、柔軟な気持ちで描いていけたら、
世の中の誤解もかなり減るのではないかと思っているのです。

 最後になりましたが、ないーぶネットで調べた情報です。
 話を引用した阿川佐和子さんの「婚約の後で」ですが、
点字データが着手になっています。
また、カセットの図書・デイジー図書は完成になっている物が多いようでした。
 変な書き方ですが、点訳も音訳も「あれ?」と思うほど
重複製作されているようなので、こんな紹介になってしまいました。
ちょっと労力がもったいないですね。
 視覚障害者のお話がメインではないのですが、ご興味を持たれましたら、
ぜひ読んでみてください。
 七人の女性の立場から、一つのお話を紡いでいく中の
 「そら」という女性のお話です。

 なお、原本の情報は以下の通りです。

阿川佐和子著「婚約のあとで」
ISBN:978-4-10-465503-8
発売日:2008/02/29


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



点字、インターネットなどの視覚障害者の情報文化や偉大な先駆者の業績を紹介~盲人の歴史

by amedia  at 17:31  | Permalink

「同病相哀れむ」のではないけれど

 先日、開通したばかりの副都心線から千代田線に乗り換えるべく パートナーと歩いていると、エレベータのところで彼が 「ちょっと待ってて」と言って数歩離れ、 通りがかりの誰かに「エレベータはこちらですよ」と声をかけました。 声をかけた相手は、白杖を持った人でした。 その人を誘導してきた彼は「一緒に行きますか? もう一人白杖を持ってる人もいるので、連結してください」と声をかけました。 私もすぐそれと悟ったので、「良かったらつかまってください」と、 件の人物に声をかけました。  「あ、どうも」と答えたその人は、でも私にはつかまることなく エレベータに乗り降りしました。「どちらへ?」と聞くと 「代々木上原です」と答えます。私たちも同じほうだと伝えましたが、 「後は大丈夫です」と言いながらふらふらと去っていきます。 何か、「旅の道連れ」のような出会いで、これから乗る千代田線、 小田急線での楽しいおしゃべりの予感を持っていた私は 拍子抜けしてしまったのですが、それはかってな思い過ごしだし、 一人で歩きたいこともあるだろうしと、自分自身を納得させました。  ところが、その人は、少し見当違いの方向に歩きかけつつ、 「ええと、トイレはこっちのほうに?」などと口走っています。 私のパートナーが、「あ、良かったらお連れしますよ」と言うと、 「いや、千代田線に」と言う。私たちはまたもや狐につままれたような気分で、 ビュンビュン杖を振りつつ千代田線への通路を歩いていくその人を見ていました。  「視覚障害者だからと言って、必ずしも同じ視覚障害の人と交わりたいとは 限らない」と、私も日ごろそう思わなくもありません。 でも、私の場合はちょっと違います。「同じ視覚障害の人と」ではなく 「同じ視覚障害の人だけと」と言った方が適切なようです。  だから、いわゆる「視覚障害者協会」的な団体には所属していません。 かと言って、まったく視覚障害者がいない団体にだけ所属したいとも思いません。  それは、「見える人も見えない人も混在して、共に活動してこその社会」だと 思っているからです。  私が今まで関わってきたグループは、全てそういったグループです。  まずは、盲学校を卒業した直後から関わった点訳サークル「点字あゆみの会」。 ここでは、点字図書を作るに際して、視覚障害会員による触読校正を基本としていて、 運営も全て視覚障害者と晴眼者が混在して行なっていました。 最初にそんな刷り込みがあったからかもしれませんが、 それ以降関わってきたグループは、どれもこれもそういう感じでした。  朗読グループ「ねこのめ」は、会員内で「聞く人、読む人」という区別は あったけれど、それは「視覚障害者、晴眼者」とイコールではなく、 視覚障害者が点字で書かれた物を読んで、 それを見える人が聞くというパターンもありました。 また、やっぱり運営も一緒にやってました。  トークパフォーマンスグループ「こうばこの会」も、 「視覚障害者が語る人で、晴眼者が裏で支える」的なものではなく、 舞台に立つほうも、裏方も、それぞれ、見える人、見えない人が活躍しているのです。  現在所属している、「演劇結社ばっかりばっかり」、 「バリアフリー映画鑑賞推進団体CityLights」、 私が代表を務める「バリアフリー読書さーくるYAクラブ」、 いずれも、晴・盲混在して活動・活躍しています。  それでもやっぱり、人という物は、自分の趣味・特技だけでなく、 境遇の共通点にもふと親近感を覚えたりするのではないでしょうか。  その境遇の共通点だけで傷をなめあっていては、 今一つ発展性に欠けると思うものの、親しみを感じあうことはあると思うのです。  ふと思い立って、mixiの「友人を探す」で「視覚障害」のキーワードだけで 検索してみたら、601人ヒットしました。 その中には、視覚障害当事者だけでなく、 点訳・音訳・ガイドヘルプに関わっている人も多いでしょうけれど、 なんだかみんなと知り合いたくなってしまうような嬉しさを、 ちょっとだけ感じてしまいました。  視覚障害者の中には、「同じ視覚障害者同士だからこそ分かり合えるのだ」と 信じ切ている人、「主に晴眼者だけと出会いたい」と思っている人など、 極端な人がいますが、もっともっとナチュラルに、 いろんな人を受け入れていける方が、きっと素敵だと思います。  明治神宮前駅で遭遇した人がどんな考えの人だったのかは、 もう知ることはできないけれど、晴・盲、他の障害の人とでも、 出会いのチャンスを大事にしていけると、 楽しく生きられるんじゃないかなと、余計なことを考えてしまいました。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

スポーツ選手も愛用する健康グッズ~キネシオテープの使い方

by amedia  at 11:52  | Permalink

車いすユーザーの目線で考えること

 先日、既に何度かお知らせした立教大学ボランティアセンターと
シティライツの共催によるバリアフリー上映会「ツォツィ」の日に向けて、
同大学内で視覚障害者と車いすユーザーの誘導方に関する
レクチャーを行なう機会がありました。
 「ツォツィ」の音声ガイド作りのモニターとして関わってきた私も、
視覚障害者の誘導のサンプル(?)として参加していたのですが、
普段なかなか知ることのできない車いすユーザーの方の
生の声を伺うことができました。

 まず、一口に視覚障害者と言っても見え方見えなくなった時期、
置かれた環境などの様々な条件によって、千差万別であるのと同じに、
車いすユーザーも歩けなくなった時期、歩けない要因、
どこまで自力で動けるのか、使用しているのがどんな車いす
なのかなどの条件でいろいろなパターンの方がいらっしゃるのだと、
改めて教わりました。

 印象に残ったことは、こんな感じです。
 1. 遠回りでも段差の少ない、ある程度道幅のあるところ、
できればエレベーターのあるところなどを、
常に把握しておかなければならないこと、。
 2. 車いす用のトイレ(障害者用トイレの他、
多目的トイレ・多機能トイレ・だれでもトイレなども含む)の場所を、
予め頭に入れておかなければならない。
 3. 坂道では、上半身のコントロールができる力がない障害の場合、
後ろ向きで下りないと落っこちてしまう。
(落ちやすい場合には、シートベルトのような物で固定する)
4. 落車したら、手を貸してほしい。一人でむりな場合には、二人がかりでも、
とにかく両脇を抱えて、車椅子に乗せてほしい。
 5. 小さな段差や踏切の線路などはそのままでは通りにくいので、
前輪を浮かせて乗り越えるが、これも人によっては健常者の手を必要とする。
 6. 電動車いすは、途中で充電が切れてしまうと大変だが、
最近の機種は掃除機のコードのように電源コードが収納されていて、
引っ張り出すとどこのソケットでも充電できるようになっている。
また、機種によっては手動に切り替えられる者もある。
 7. でも、充電できるところも通れず、バッテリーも古くなっていたりすると、
お手上げ。重さも、普通の車いすより遥かに重たいので困る。
 等々です。

 その後、視覚障害者と車いすの人が一緒に街を歩くことが
可能なのではないかということで、大阪へ旅に行ったときの私の体験談をお話すると、
快く聞いてくださいました。
視覚障害である私が車いすの後ろにつかまらせてもらい、
前輪を上げる際など力を必要とする際に私の手をお貸しするということで、
協力し合いながら、他愛の無いおしゃべりを楽しむことができたという体験談でした。

 また、日ごろパートナーである男性と行動を共にしている私は、
男性にでも説明してもらえる障害者用トイレなどを使用することが多いことを
打ち明け、「それについてはどう思いますか?」と問いかけると、
「それはやむをえないことなので、かまわないと思います。」との
お返事をいただきました。
(もちろん、なるべく早く済ませるようにはしますが。(笑))

 さて、その集まりがあったからということではなく、
日ごろからそういうトイレを使っていて感じていたことがありますので、
最後に少しだけ書いてみます。
 ボタン式とかセンサー式のドアもありますが、
 まだまだ手動のところも多いのに、なぜあんなにドアが重たいのだろうということ。
また、手を洗う位置やペーパーの一が高過ぎると思うことや
石鹸の一が奥まり過ぎていて、車いすに乗ったままでは
届きにくいのではないかと思うことなどもしばしばです。
 また、どこもなんともなさそうな健常者が
使用していることの多さにも疑問を感じることも多々あります。
特に、タバコを吸った残り香がはっきりしていたりすると、
とても嫌な気持ちになります。
だから、「多目的」「だれでも」などの名前の付けかたにも、
少し疑問を感じてしまいます。
 そんなことを思ったりするのですが、
今度車いすユーザーさんとお話する機会があったら、
ぜひそんなことも聞いてみたいと思います。
 聞いてすぐにどうこうできることではないけれど、
まずは別種ではあっても障害者同士なのですから、
私たちが理解していることはとても大切なことだと思うわけです

 そういう意味で、車いすユーザーの方に限らず、いろいろな障害を持った人たち同
士で分かり合う機会がもっと増えると良いのにと思った次第です。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



全国の三療治療院を網羅~鍼灸あん摩マッサージ治療院カタログ

by amedia  at 17:31  | Permalink

人情の街-門前仲町

 先々週、まとめてお送りしたバリアフリー上映情報の中に、
「江東区古石場文化センターの音声ガイドボランティア養成講座発表会、
『野菊の如き君なりき』」というのがあったのをご記憶でしょうか。
 この講師をお引き受けしていた関係で、
 このところしょっちゅう門前仲町界隈をうろついていました。
 というか、2006年にも2クール程この講座の講師をやらせていただいて、
『二十四の瞳』『幸せの黄色いハンカチ』の上映発表会をやっていたので、
この街はすっかり親しみ深い街になっているのです。

 東京メトロ東西線と都営地下鉄大江戸線の2線が通るこの街は、
いわゆる下町です。時代劇などでおなじみの深川は、ちょうどこの辺りです。
 なぜ「門前」仲町なのかというと、
ここは深川不動尊の門前の街として大変活気があるからです。
また、不動尊の傍には、富岡八幡宮という大きな神社もあり、
縁日ともなればそれはそれは賑わう街なのです。
 多くの面白そうなお店が立ち並び、中でも飲食店の数は物凄いのです。
アサリを使った名物深川飯(炊き込み)や深川丼(味噌仕立てのぶっかけ飯)の店、
信じられない程安いのに美味しい魚介類がてんこ盛りで出てくる居酒屋さん、
冬場には泡ぜんざいを食べさせてくれる甘味所など、
魅力的なお店が軒を連ねています。

 そして、この街の魅力は、そんな楽しさや美味しさばかりではないのです。
 ある時、私の仲間であるバリアフリー映画推進団体CityLightsの
リーダー・平塚千穂子さんとコンビニに入り、
「M銀行はないかなぁ。お金下ろしたいけど、他の銀行じゃ手数料かかるし。」
などと話しながら買い物を済ませ店を出ると、
後から出てきたお姉さんがヒールの音を響かせ近づいてきて、
「M銀行をお探しでしたね。それだったら」と道案内してくれたのです。
何のえにしもない人間の話を通りす
がりに小耳に挟んだだけなのに、心配して声をかけてくれたのです。
 また、サツマイモのお菓子の専門店「三咲堂(みさきどう)」に初めて
入ったときには、大学いも、お芋のパイ、スイートポテトや
お芋のシュークリームなど、
いろいろ並ぶ美味しそうなお菓子にすつかり迷っていると、
元気な若い女店員さんが、すっごく嬉しそうに「どれも美味しいんですけど、
私が一番好きなのは」と言って、お芋のパイを進めてくれました。
そのときも、こちらから「お薦めは何?」と聞いたわけではなかったのですが、
本当にフレンドリーに声をかけてくれました。
しかも、自分の働いているお店の品を本当に愛しているのが伝わってくるような、
嬉しくてたまらないというような説明のし方だったのです。
 どこにも例外はあるものですが、
それでも、どのお店に入ってもたいていはほっこりする会話を楽しめるのです。

 だから、チェーン店みたいなところは避けて、
地元ならではのお店を選んで入っていたのですが、
つい昨日、成り行きでファミレスのジョナサンに入ってしまったのです。
「せっかく門仲にいるのに、つまらないな」などと思いながら入ったら、
嬉しい誤算でした。
 席に案内してくれたさわやかで優しい話し方をするウェイターさんは、
なんと、いきなりクロックポジショニング*で渡しに説明してくれたのです。
「お客様、6時の位置にお水を置きますね。」といった具合に!
まるで、一流ホテルのレストランにいったような驚きでした。
 また、帰り際には、レジで「雨の日の夕方5時以降に使える割引券」というのを
くれたので、思わず「ええ!そんなのあるんだぁ!」と笑いながら驚いていると、
レジのお姉さんが「ええ、あるんです」と、これまたとても嬉しそうに
気持ちの良い笑い声を立てていました。

 ボランティア講座の今回のクールはあと2回で終わってしまうので、
この街とも当分疎遠になってしまいそうで残念なのですが、
今度はお仕事でなく、ゆっくり歩き回りに行こうかと思っているところです。
 皆さんも、東京の下町を堪能しに、この笑顔のあふれる街、
門前仲町を訪れてみて はいかがでしょうか。


* 「クロックポジショニング」というのは、
たぶん航海士の発想から出てきた物だと思うのですが、
視覚障害者に位置を説明するために、
目の前のお皿やテーブルをアナログ時計の文字盤に見立てて
説明する方法のことです。つまり、今回の例でいうならば、
お水を私の正面、一番手前に置いてくれたということになるわけです。
これ、便利ですよ!


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



視覚障害者に好評~役所からの書類ならお任せの音声読書機・よむべえ


by amedia  at 16:05  | Permalink

点字のお手紙事始-ある傷痍軍人さんとの思い出

 先日、ある演劇ユニットの脚本・演出家の方から、
「傷痍軍人(しょういぐんじん)をメインにした芝居を作るので、
目の見えない人のことについていろいろ教えてほしい」という相談をいただき、
お会いしてお話する機会を持ちました。
私たち「演劇結社ばっかりばっかり」の稽古場に、
失明傷痍軍人役の方と一緒にみえて、
いろいろ私たちの話を聞いてくださったのですが、
そのとき話している中で、思い出したことがありました。
もう何年も忘れていたことだったので、自分でも驚いてしまったくらいでした。

 そもそも、その思い出すきっかけになった話というのは、
「点字を使えるのは、ほんの一握りの視覚障害者だけで、
多くの中途失明者は点字を知らない」ということを説明したことでした。
年配の失明者の方の多くは「今から覚えようとしても、疲れるだけだ」と言って、
あえて点字にチャレンジしないのだと説明しているうちに、ハタと気づいたのでした。
今は、音声パソコンの普及と、読み書きを助けてくれるボランティアの充実もあって、
無理して点字を習得しなくても、あまり不便を感じないで暮らせるから、
中途失明の方の点字離れが顕著になったのではないか、ということに。
もしかすると、戦後まもない頃には、点字を習得せざるを得ない状況があり、
視覚障害者の数に占める点字人口のパーセンテージは
もう少し高かったのではないかと。

 そこで浮かんできた思い出というのは、
私が生まれて初めていただいた点字のお手紙のことでした。
薄い茶封筒に入れられた点字用紙1枚分のお手紙。
残念ながら、もう手元にはないのですが、
それは福島県いわき市の実家の近くで治療院を開業しておられた、
正に、元傷痍軍人のおじいさんからいただいたものでした。
 そのおじいさんは、戦争で失明してしまったばかりでなく、
片腕を肘のすぐ下から飛ばされてしまったという痛々しい障害も
負っておられましたが、鍼灸・按摩の腕が素晴らしいということで、
その界隈ではとても評判の治療師さんで、
うちの両親も祖父母もお世話になっていたようです。
なんと、飛ばされてしまった腕の痕が癒えてツルンとなったところで
器用に揉まれるのがまた格別気持ち良いというのです。
今思えば、自分にとってハンディになっている部位を隠すどころか、
それを利用して治療されていたこのおじいさんは、
ものすごい人だと改めて尊敬してしまいます。
もちろん鍼の腕前も素晴らしく、幼い私の記憶の中にも、
ぎっくり腰で動けなくなった母が、
帰りには歩いて帰ってきたという奇跡のような出来事が鮮明に残っています。
 ルールどおり、裏の4・9・14行目に折り線を入れて
きちんとたたまれたその手紙の文面は、もうほとんど忘れていましたが、
誤字一つなく、綺麗に分かち書きされたものだったと記憶しています。
覚えているのは、「めぐみちゃんも点字を覚えられて良かったですね。
これからしっかりお勉強しなさい。」といったような内容だったと思います。
盲学校の小学部1年生の冬頃だったと思いますが、
くすぐったいような、嬉しいような気持ちでその「おてがみ」を大事に
机の引き出しに仕舞ったことを憶えています。
 千葉さんというそのおじいさんは、もうとっくに故人となられましたが、
ご存命中にもっといろいろお話を伺っておけば良かったと、
今回改めて残念な気持ちになりました。

 今回ご相談にみえた演劇ユニットの公演は、
終戦の日近辺に上演されるようですが、詳しい情報が分かり次第、
またこのコラム欄でご紹介したいと思います。
 演出家の方・役者さん、共にまだお若いお二人は、
とても真面目に視覚障害者について考えていこうとなさっているし、
また観劇上でのバリアフリーも検討していってくださるようなので、
本当に応援したいと思ったのでした。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



ダイエットしなくてもスリムに見える~下着ファッション

by amedia  at 12:24  | Permalink

音声ガイド付き上映会続々!

 今月から来月にかけて、いろいろな規模のバリアフリー上映会が目白押しです。
 中には、私自身がガイド作りに関わった物もありますので、
ぜひまとめてご紹介したいと思いました。
 字数の関係で最低限の情報になっていますので、
 映画の内容等は、検索していただけますようお願いいたします。
 今回は、横浜市、東京都江東区、豊島区、武蔵野市、調布市、
静岡県浜松市の情報です。お近くの上映会、または、
お好きな映画の上映会に、どうぞ足をお運びください。


■シネマ・ジャック&ベティ主催 音声ガイド付き上映会
「サラエボの花」「靖国」
日時: 6月28日(土) 
   10時~11時40分 「サラエボの花」 
   12時50分~15時 「靖国 -YASUKUNI-」 
場所: シネマ・ジャック&ベティ
 (神奈川県 横浜市 中区 若葉町 3-51)
最寄駅:京浜急行「黄金町(こがねちょう)」/横浜市営地下鉄「阪東橋」
鑑賞料:1作品800円 (晴眼者も一律)
問合せ: 045-243-9800

■財団法人江東区地域振興会 古石場文化センター主催 音声ガイド付き映画上映会
「西鶴一代女」(1952年 新東宝 モノクロ)
日時:6月28日(土)
   昼の部14時上映開始 (13時30分会場)
   夜の部18時30分上映開始(18時会場)
場所:江東区古石場(ふるいしば)文化センター 二階大研修室
(江東区古石場2-13-2)
最寄駅:東京メトロ・都営大江戸線「門前仲町」/JR京葉線「越中島」
鑑賞料:500円
申し込み:03-5620-0224(江東区古石場文化センター)

■シーンボイスはままつ主催 字幕・音声ガイド付き上映会
『ふみ子の海』(原作:市川信夫)
日時:6月29日 (日) 15:30~
場所:松菱劇場 (浜松市中区肴町317-4)
最寄駅:JR東海「浜松」
鑑賞量:大人 1,800円
    中学生・小学生・シニア・身障者手帳を お持ちの方および介助者 1,000円
    大学生・高校生 1,500円 
    幼児 800円
問合せ:090-1989-0484(シーンボイスはままつ)
内容:新潟県の高田盲学校で教鞭をとり、
生涯を視覚障害者教育に捧げた実在の盲女性・粟津キヨさんの少女時代を描く。

■立教大学ボランティアセンター主催 バリアフリー上映会(トークセッション付き)
「ツォツィ」
日時:2008年7月5日(土)13:30~17:00
場所:立教大学池袋キャンパス 8号館8101教室
最寄駅:JR/西武池袋千/東武東上線/
東京メトロ有楽町線・丸の内線・副都心線「池袋」
入場料: 無料(申込不要)
誘導希望の方: 池袋駅からの誘導を希望される視覚障害の方、
車椅子利用の方は(車椅子スペースに限りがあるため)
6月25日までに申し込みが必要です。
問合せ:立教大学ボランティアセンター
    TEL/03-3985-4651
    メール  volunteer@grp.rikkyo.ne.jp
※ 聴覚障害者の方向けに、映画には日本語字幕が、
トークセッションにはPC文字通訳と手話通訳が付きます。

■武蔵野市社会福祉協議会主催 「七夕のつどい」バリアフリー上映会
「しゃべれどもしゃべれども」
日時:7月6日(日) 午前・午後の2回上映
   午前の部 10:00~(開場9:30)
   午後の部 14:00~(開場13:30)
場所:武蔵野市民文化会館 大ホール(中町3-9-11)
対象者:市民社協会員
※当日入会できます(個人会員 1口 1,000円/年)
鑑賞料:無料
問合せ:0422-23-0701(武蔵野市民社会福祉協議会)
※ 日本語字幕、手話通訳付き。

■財団法人江東区地域振興会 古石場文化センター主催 
「映画音声ガイド制作ボランティア養成講座」上映発表会
「野菊の如き君なりき」(1955年松竹 モノクロ。
原作:伊藤左千夫『野菊の墓』)
日時:7月9日(水) 午後1時30分開場 午後2時上映開始。
場所:江東区古石場文化センター 2階 大研修室
最寄駅:東京メトロ・都営大江戸線「門前仲町」/JR京葉線「越中島」
参加費:無料
問合せ:03-5620-0224(同センター)
 ※門前仲町駅から会場までの誘導をご希望の方はお申込み時にお伝えください。

■調布市文化・コミュニティ振興財団主催 調布シネサロン
「大魔神」(1966年 大映映画)
日時:7月15日(火) 15時の回/18時30分の回
場所:調布市グリーンホール
最寄駅:京王線「調布」(南口からすぐ)
鑑賞料:無料
協力:シティライツ
問合せ: cityli