バリアが外れていくとき(其の三)
7月16日~20日まで上演された『改造人間哀歌2』関連のお話しの続きです。
さて、観劇サポートのほうですが、18日終演後に、翌日来る視覚障害のお客さん
が点字ユーザーであることを思い出した私は、画期的なガイド方法を思いつきました
。
つまり、予め、説明したい内容を点字のカードにして用意しておき、隣に座って、
説明を入れたいタイミングで順番に手渡していくという方法です。
例えば、前半のほうで、場面と場面の間に一瞬だけ、中幕の合間に謎の女の後ろ姿
が浮かび上がり、こちらに振り向きかけるとき、にやりと笑いを浮かべた瞬間暗転に
なるという場面が挟まっていました。ここは、不気味な音楽のみで、その様子を知る
ことのできる台詞その他の音は何もありません。こんなタイミングで、
“コートを着た女の後ろ姿。ゆっくりと振り向くとき、にやりと笑いを浮かべる。暗
転。”
と書いた点字のカードをそっと手渡します。ベテランの点字ユーザーは、これを瞬時
に読み取ります。
この方法は、左右に座った点字ユーザー二人までにしか有効ではありませんが、周
りに声が漏れる心配がないうえ、このサービスを受けていただいたご本人たちにも、
「今までで一番分かりやすかった!」と好評でした。
ケース・バイ・ケースですが、この方法も新しい場面解説の方法としてこれからも
やってみたいものだと思いました。
ちなみに、今回のカードは全部で20種類。楽日にいらした点字ユーザーのお客さ
んにも、とても喜んでもらえました。しかも、後述する「DVDへの音声ガイド」を
作る上でも役に立ちそうです。
私は、この上演期間中毎晩行なわれていた「佐々木剛を囲む会」という、お客さん
と出演者・スタッフも巻き込んでの飲み会に、初日(16日)、中日(18日)、楽
日(20日)の3回参加してましたが、その中日の会で、主宰篠原さんと照明兼制作
の大村さんとじっくり話すことができました。
ここで、出演者でもある私の相方の鈴木大輔と共に、視覚障害者にとっての「音声
ガイド」の必要性をはじめ、あらゆる障害の人たちに対する観劇上でのバリアを取り
除く方策について、お二人に対していろいろお話ししてみました。
元々、福祉的視点を持っている篠原さんと、そして他の劇団での経験である程度観
劇のバリアフリーについての知識をお持ちだった大村さんは、私たちの熱い話を、と
ても熱心に聞いてくださいました。
結果、今回の『改造人間哀歌2-星空の約束-』のライブDVDを発売するに当た
り、「音声ガイドを付けて出すことを検討したい」と、非常に前向きなお言葉をいた
だくことができました。
正式に決定したら、この誌面でもご紹介します。
また篠原さんは、これまで持ち小屋として使ってきたこの「タカタカブーン」のあ
るビル自体が建て直しされることになったということで、この秋には別なところで新
たに劇場「タカタカブーン」をオープンさせるそうなのですが、こちらの場所も階段
のない1階にするなど、バリアフリー的な配慮をしていきたいということも話してく
ださいました。
結果的に私たちにとっても非常に実りの多かった5日間の公演もあれよあれよとい
う間に過ぎて行き、20日の千秋楽も無事終わりました。
佐々木さんは、篠原さんがこの「改造人間」を書くに当たっての着想の原点ともな
った、あの「仮面ライダー」の2号だった人です。その佐々木さんの、仮面ライダー
2号に対する強い想いを含めて、今回の「改造人間」に対する愛をたっぷり感じさせ
てくださったカーテンコールでのご挨拶は、私の胸を大きく打つ物でした。あまりの
感動に、暫くの間はハンカチを目元から話すことができないくらいでした。
お客さんが全て帰られた後の舞台の上で、出演者の集合写真を取るとき、みんなは
、声の出演だけだった私も温かく迎えてくれて、全ての集合写真に参加させてもらえ
ました。
また、鈴木と二人で、佐々木さんを挟んでのスリーショット写真も撮らせてもらえ
ました。ぎゅっと肩に回された腕のぬくもりを思い出すと今も嬉しさがこみ上げてき
ます!!
これだけでも思い出いっぱいのひとときだったのですが、最終日のオールナイトウ
チアゲが、これまた素晴らしい思い出となりました。
というわけで、来週はそのお話しをして、この「バリアが外れていくとき」の最終
回としたいと想います。
(来週へ続く)
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