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春うらら
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十人十色-偉能力者でもダメ人間でもないんです

 一口に「視覚障害者」と言ってしまうと、
どんなイメージが湧いてくるのでしょう。
 ある人々は、「座頭市(ざとういち)」みたいな偉能力者を想像し、
「目が不自由な分、他の感覚が鋭くなっているから、
なんでもできちゃうんですね!」などと買い被ってしまう。
またある人々は、自分が目を閉じて何かをすることを想像し、
「視力がない=何もできない」などと決め付けてしまう。
 いずれにせよ、両極端なイメージが多く見受けられるような気がします。
 本当は、「目が見えない」ということ以外では、
一般の健常者と同じように、それぞれの性格、
それぞれの能力は千差万別なのです。
だから、金子美鈴さんの詩の一説「みんな違ってみんないい」の
フレーズが大好きです。
 こういう話は、ずーっと前にも書いたことがあったと思いますが、
改めて書いてみたくなりました。

 そんな気持ちにさせてくれたのは、阿川佐和子さんの
 「婚約の後で」という小説を読んでいるからなのです。
 まだ読了してはいないので、この先どうなるかはわからないのですが、
この小説の途中に、全盲の素敵な女性が出てくるのです。
いや、そういう人が登場してくるとも知らずに読み始めたので、本当に驚きました。
 小説や映画、戯曲などの作品で描かれる視覚障害者は、
最初に述べたような両極に描かれることが多いのですが、
阿川さんの書かれたこの小説は、
本当に等身大の視覚障害女性が良い感じのポジションで扱われているのです。
 ネタバレにならないように書くのは難しいのでかいつまんでの説明になりますが、
年齢30歳くらいで、翻訳の仕事をしているこの女性が語ることの中に、
「同じ視覚障害の中でも、耳の感覚に優れている人や、
空気圧を感じて広さを認識できる人もいる」というように、
視覚を補う能力の中でも、人によって得意不得意があることが出てくるのです。
阿川先生、さすがです!!
 予断ですが、音声化ソフトとパソコン、スキャナ、点字ディスプレイ、
読み上げ機能のある携帯電話などを使っている彼女の生活の細部まで、
とてもよく調べて書かれていて、
さらに作者阿川先生の見識の高さに驚かされました。

 実は、私も、最近友人に話していたところだったのです。
 「私は、耳はそこそこ良いし、触覚もかなり鋭いほうだけど、
平行感覚とか水平感覚が鈍いのよ。
だから、スプーンですくった液体は口に運ぶ間にこぼれるし、
うっかりするとお椀やカップの中身もいつの間にかこぼれてたりするの。
でも、そういうことが得意な全盲の人もいるし、
逆に聞こえてるはずなのにどうして音の識別があまりできないんだろうとか、
どうして触地図がちゃんと認識できないんだろうと思うような人もいるんだよ。」
 そんな話をした相手から知らされた面白いこともありました。
なんと、私は、一般の人たちより、関節技がきめられにくいらしいのです。(笑)
 要するに、その友人が私の手なり腕なりに関節技をかけてくると、
私は瞬時にというか、反射的にそれを回避するのですが、
その反応が異常に早いらしいのです。
いわく「皮膚感覚で察知する」のだそうです。
「柔道やったら?」の言葉を笑って交わす昨今です。

 話が少し(だいぶ?)横に反れましたが、とにかく、障害の有無に関わらず、
十人十色ですから、人に対するイメージは、柔軟な気持ちで描いていけたら、
世の中の誤解もかなり減るのではないかと思っているのです。

 最後になりましたが、ないーぶネットで調べた情報です。
 話を引用した阿川佐和子さんの「婚約の後で」ですが、
点字データが着手になっています。
また、カセットの図書・デイジー図書は完成になっている物が多いようでした。
 変な書き方ですが、点訳も音訳も「あれ?」と思うほど
重複製作されているようなので、こんな紹介になってしまいました。
ちょっと労力がもったいないですね。
 視覚障害者のお話がメインではないのですが、ご興味を持たれましたら、
ぜひ読んでみてください。
 七人の女性の立場から、一つのお話を紡いでいく中の
 「そら」という女性のお話です。

 なお、原本の情報は以下の通りです。

阿川佐和子著「婚約のあとで」
ISBN:978-4-10-465503-8
発売日:2008/02/29


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



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