点字メニューは嬉しいけれど
度々点字メニューを話題にしてるような気もしますが、また改めて感じたことがあるので書いてみたいと思います。
先日、凄い土砂降りの夜にお腹が空いて飛び込んだのが、すかいらーく系の和食ファミリーレストランの「夢庵(ゆめあん)」でした。
よくファミレスを利用する私は、この夢庵の他の店舗にも何度となく訪れていたのですが、今回初めて、ここにも点字メニューがあったことを知りました。
しかし、残念なことに、今回もその情報を知ったのは、同行していた晴眼者が入り口の表示を見て教えてくれたからだったのです。
私は明らかに白杖を誇示して座席に着いたのですが、ウェイトレスさんは特に反応することもなく、普通にお水とお絞りを運んできただけでした。
今、多くのファミレスで点字メニューを置いてくださっているのですが、私が入ったお店で積極的に「点字メニューがございますが、お使いになりますか?」と聞いてくださったのはほんの数店に過ぎません。その数店というのも、新規オープンしたばかりのお店や、行きつけのお店(具体的にはカレーハウス「CoCo壱番屋」西早稲田店)で初めて点字メニューを置いたときくらいのものです。多くの店舗では、「こちらには点字メニューがあるはずなんですが、持ってきていただけますか?」とお願いすると、「そうなんですか?ちょっと聞いてきます。」と言って、しばし待たされることになってしまうのです。
せっかくある程度の予算をかけて点字メニューを用意しても、それを活用する人に情報が伝わらないのでは意味がありませんし、もったいないと思うのです。
点字メニューを配備したチェーン店に、点字毎日やJBSなどの視覚障害者向けマスメディアを知ってもらえるような工夫はできないものでしょうか。
また、そういった飲食チェーン店の運営会社では、各店舗の末端の従業員まで情報を徹底して通達してもらえないものでしょうか。
確かに、視覚障害者の中で点字をすらすら読める人はほんの一握りにすぎません。
でも、私を含めたその一握りの人にとって点字メニューというのはとてもありがたく、便利なツールなのです。人の手を煩わせず、自力でメニューを吟味する楽しさは、なかなか他では得られないものです。
ただ、ここにまた、点字の使える人とそうでない視覚障害者の間に不公平が生じてしまうのも事実です。
そこで、どれほどの予算がかかるかはわからないながらも、ちょっとしたアイディアを思いつきました。
いま、カラオケボックスなどで、食事メニューを注文するための装置があります。
あれをタッチパネルではなくボタンスイッチにし、音声読み上げ機能を搭載するというのはどうでしょう?そして、階層的なメニュー形式にし、飲食物のジャンル選択をしてから各料理名と値段の一覧を出し、心に留まったメニューに合わせてクリックするとそのお料理の詳細情報を読み上げるというような装置を作り、いろいろな飲食系のお店で使うということです。この端末の音声は、切り替えスイッチ一つで、しゃべったりしゃべらなかったりして、視覚の有無に関わらず誰でも必ず使えるメニュー端末とするのです。もちろん、この端末は各テーブルに常備するなり、お水やお絞りと共に持ってくるメニューの変わりに運んできてもらうなり、特別な物としてではない扱いにするのです。どうでしょう。
こうすれば、点字が読めない視覚障害者にもメニューを選ぶ楽しさが味わってもらえるはずだし、わざわざ忙しいお店の従業員さんの手を煩わせなくて済むでしょう。
また、誰もが使う物であるならば、特別な情報通達も要らない……でしょうか?いいえ、やはりそれでも、その端末が音声対応の装置に切り替わるのだという説明を、誰かが視覚障害者に伝えなければやはり意味はありません。それに、そのような装置を作ったからといって、今度はせっかくの点字メニューをやめてしまったら、視覚・聴覚二重障害の人は困ってしまいます。
要するに、何か美味しい物を作ったらそれを一人でも多くの人に食べてもらいたい、何か便利な物を作ったらちゃんと使ってもらいたいという想いを、バイトに至るまで会社ぐるみで持っていなければ、理想的なサービスなど出来ないということに、多くの人に気づいてもらわないと、根本的な解決はできないでしょう。
などとつらつら考えを巡らせながらも、冷たい雨と風に冷え切った体をかき鍋で暖めていたのでした。