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春うらら
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理想への第一歩(長文です)

 去る1月20日(日)、銀座線外苑前近くの梅窓院祖師堂ホールで、
「第1回City Lights映画祭~心に届く音、
あなたも見つけにきませんか。~」というイベントがありました。
 これは、私が副代表として関わっている、
バリアフリー映画鑑賞推進団体「CityLights」の、
初の試みとして行われたイベントです。
 このサークルに関しては、本誌でも、
姉妹誌の「アメディアレポート」でもご紹介させていただいたことがあるので、
皆さんご存知とは思いますが、
主に視覚障害者向けのバリアフリー映画鑑賞を手がけているサークルで、
視力の有無に関わらず、共に映画を楽しんでいます。

 今回は、私たちのサークルの描く夢の映画館、
どの映画にもイヤフォンによる画面解説=『音声ガイド』が付き、
洋画には字幕朗読が付くというシアターを、
1日だけ現実の物とする試みでのイベントとなりました。
この日まで、半年以上の時間を費やし、
場所探し、スポンサー探し、音声ガイド作り、字幕朗読など、
いろいろな形で、実行委員を中心としたいろいろな人が協力し合って
準備に当たってくださった甲斐あって、本当に素晴らしいホールで、
300人以上の皆さんにお集まりいただき、大盛況のうちに幕を閉じました。
 残念ながら、私は去年の後半は芝居の恵子に追われていたため、
全くタッチできなかったのですが、純粋に一参加者として、
大いに楽しませてもらいました。

 全体の司会は、元JBS日本福祉放送のスタッフで、
現在は日本点字図書館の録音製作担当スタッフをなさっている藤沢典子さん。
藤沢さんは、「聞くシネマ館」や、映画「武士の一分」の
音声ガイドナレーションでもおなじみの方です。

 まず、2005年のイタリア映画「ミルコのひかり」
(監督・脚本:クリスティアーノ・ボルトーネ)。
2006年サン・パウロ国際映画祭 観客賞を受賞したこの作品は、
実在する音響技師の半生を描いた感動の物語。
 ミルコは、10歳の頃、不慮の事故で視力を失い、
全寮制の盲学校に入ることになります。
そこで彼が経験したこと、そして彼が周りに与えた影響を、
生き生きと描いた、素敵な作品でした。
ちゃんと書いてしまうとネタバレになってしまうので書けませんが、
映画を愛することになった視覚障害者が多く集うサークルとしては
とてもシンクロするところの多い作品でした。
 これは、字幕だけで、日本語は載っていないフィルムだったので、
プロ・アマ取り合わせて大勢の声優ボランティアによる字幕朗読が付きました。
その中には、台詞を点字で起こして参加した視覚障害声優も混ざっていました。
 音声ガイドも、数名がわいわい楽しみながらこしらえた画面説明になっていて、、
最終的には視覚障害者もモニターとして参加し、
「ここが分かりにくい」とか「これは音だけで聞かせてほしいから
ガイドは要らない」などの意見を出して仕上げていった物です。
 ベテランの音訳者の方がそのガイド原稿を朗読され、
字幕朗読と合わせて録音・編集したものを、FM送信機で飛ばし、
私たちは持参した小型FMラジオで受信し、
片耳にイヤフォンを入れて聞きながら、
もう片方の耳で会場に流れる元の音声を聞いていました。
こうすると、画面の様子と台詞が分かるだけでなく、
元の役者さんたちの演技も堪能できるのです。

 「ミルコの光」終了後は、この音声ガイドと字幕朗読のメイキング映像を観たり、
「音声ガイドの舞台裏」と題した対談を、
携わってきたメンバー(CityLights代表の平塚千穂子さん、
もう一人の副代表で映画祭実行委員長だった視覚障害メンバーの斎藤恵子さん、
実行委員で字幕朗読もやった視覚障害メンバーの杢代絵三子さん、
そして司会は役員でこれまた元JBSのスタッフだった武藤歌織さん)で行い、
ご来場の皆様に日ごろの会の活動の一端を垣間見ていただきました。

 後半は、2006年のドイツ映画「善き人のためのソナタ
(監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)。
2007年アカデミー外国語映画賞を受賞したこの作品は、
壁崩壊5年前の東ベルリンを舞台にした物語。
 国家保安省(シュタージ)の厳格な局員のヴィースラーが、
盗聴器を通じて聞いたのは自由な思想 愛の言葉 そして美しいソナタだった。
果たして心打たれた彼の取った行動は……?
 クオリティの高い音声ガイドに導かれ、
手に汗握り、胸を締め付けられつつたどり着いたラストシーンには、
物凄く重いのにとてもさわやかな感動が待っていて、
思わず「なんてカッコいい男たちなんだ!!」と口走ってしまいました。
 こちらは、配給会社のご好意により吹き替え版のフィルムを
提供していただけたので、字幕朗読ボランティアは関わっていなかったのですが、
主役ヴィースラーの吹き替えの石塚運昇さんの深みのある声には、
ストーリーと相まってしびれました!

 こうして、たっぷりと素敵な映画を堪能した1日は、
あっという間に過ぎていきました。
 そして、平塚リーダーの閉会の挨拶を聞きながら、
やがて、どこの映画館に行っても、いつでも自由に音声ガイド付きの映画を
楽しめる時代がきてほしいものだと、心から祈りつつ、
この日がその理想に近づく第一歩になったことを確信したのでした。


ながら仕事でもホームページが楽しめる音声ブラウザ・ボイスサーフィン


(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



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