生活できる工賃を目指した通所施設「バイ焼き釜」
世田谷区で地域の人々においしいパイを提供するパイ焼き釜。
ここは、精神障害者が働く通所作業所だ。
施設長の西谷久美子さんは、13年前に精神障害者の働く場を作ろうとした頃、「無理をさせない方がいいんじゃないの」、「精神障害者なんかに仕事をさせたら障害が重くなる」などと非難を浴びた。
そんな言葉にもめげず、仕事を通して賃金をもらい、社会の一員として活躍する喜びを精神障害者の仲間にも是非提供したい、できるはずだという信念からこの事業を起こした。
今では、月額9万円を越える賃金をもらっている通所者もいる。
西谷さんは、この活動を始めてから
・障害者の就労支援の社会資源作り
・障害者の居場所作り
・行政の政策に食い込んでいく
ことに注力してきた。
そして、昨年10月に本格施行された障害者自立支援法にもいち早く対応し、世田谷区で一番最初の障害者就労支援センターとなった。
働くことを通じて人間らしく生きることを実現するために、以下の3点が大切だと西谷さんは言う。
1.暮らしている社会の文化を共有できること。
2.自分のことを自分で決め、責任を持つこと。
3.社会に役立つという関わり方の中で成長していくこと。
上の3点は、障害者のみならず、誰にでも当てはまることだと思う。
ただ、障害者は企業などの職場での文化に慣れていない面がある。
また、日常生活の中でも自分で決定する場面が少ないため、自分で決めたり責任を負うということにもやや不慣れだ。
このようなことから、健常者にも当てはまることであっても、障害者に対置したときに、これらのことの大切さがさらに深く・重く刻み込まれる。
さらに、西谷さんは、社会との関わりの中で成長していくことイコール障害を軽減することだという。
障害者の「障害」が社会との関わりの中で発生していることをずしんと感じさせる1句だ。
「精神障害者も、その人にあった環境があればきちんと働ける。働けないとしたら、雇用主や支援者がその環境を作れていないだけだ。」
上の西谷さんの言葉、とりあえず「精神障害者」の部分を「どんな社員」に置き換えて自社の働く環境作りに励みたい。
(東京中小企業家同友会会員 望月優)