福祉専門学校で点字の授業
縁あって、最近、某福祉専門学校に、点字を教えに行くようになりました。
最初、児童福祉科と聞いて、いったいなぜ点字を教えなくてはならないのかと、
疑問に思いました。児童福祉科というのは、保育士さんや児童擁護施設の職員さん
を養成する科だと言うのですから、疑問がわいても当然ですよね。
でも、知っておくことに越したことはないとは思ったので、お引き受けしました。
引き受けたものの、聞くところによると、彼ら・彼女らは、とても賑わしくて、
なかなか話を聞いてくれないと言うのです。とっても恐ろしくなってしまいました
が、いろいろ考えた末、目的意識を持ってもらうことが大事だと思いました。
初日、私は、その考えた末に出てきた「目的」を、さっそく彼らの前で披露しま
した。
「児童福祉に、点字なんて関係ないんじゃないかと思ってるでしょ?私も、最初
そう思ったんだけど、気がついたことがあるから、話してみるね。みんなが勤めた
保育園や幼稚園に、眼の見えない子が入ってきたとして、点字を教えてあげたり、
それを使って絵本を点訳してあげられたら素敵だと思わない?」
ここで、ちょっと間を取ります。
「ああ、そうか。」
「やってみたい。」
など、ちらほら、つぶやきのような言葉が聞こえてきます。
(やった!ちょっと捕まえたぞ!)
嬉しい感触を得て、さらに続けます。
「それに、園児たちのお母さんやお父さんに目の不自由な人がいたらどうする?
お知らせのプリントなんかを、ちょちょいっと点字にして渡してあげたら、すっご
く喜ばれると思うよ!少なくとも、私なら嬉しいな。」
「うわぁ、そうだね!」
「やらなきゃじゃん!」
さっきの私語より明確な反応が返ってきます。
それからの授業は、「賑わしくて聞いてない」なんていう噂を吹き飛ばすほど、
熱心に聞いてくれていました。
一コマ90分の授業の1階目で、五十音、濁音、半濁音、拗音、拗濁音、拗半濁
音、伸ばす発音の「ウ」の扱い、促音まで説明し、自分の名前が書けるところまで
を一気にやってしまいましたが、ほとんど全員、綺麗に書くことができました。
確かに、授業の前後や、合間に賑やかなことはありましたが、恐ろしくてびびっ
てしまうほどのことはありませんでしたし、二十歳未満の若者が集う場が、そんな
に静かな物になっていたら、そちらの方が気持ち悪いと感じると思うのです。そん
なわけで、私はとっても気持ち良く彼らと接することができました。というか、で
きています。
先日も、大雨が降った日にちょうど授業があったのですが、校舎間を移動するの
に、なんと、8人もの生徒が送り迎えしてくれて、3本もの傘が差し掛けられると
言う大サービスを受けてしまいました。
ひとなつっこく語りかけてきたり、盲人用の時計や生活上の話などに、純粋な興
味を示してくれる彼ら・彼女らは、きっと、素敵な保育士さんたちになって行くに
違いありません。
さらにこれから数ヶ月、彼らとの付き合いが続いて行く予定なのですが、最後に
どんな風に仲良しになれるのか、とても楽しみになりつつ、彼らを失望させないよ
うに、楽しさをキープして行く努力も惜しまないように努めたいと思っているとこ
ろです。