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春うらら
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童謡・唱歌を歌いながら

 先月・7月31日に、杉並区のとあるおじさまのご依頼で、なんとこの私が、童謡を歌うコンサートをやりました。
 と言っても、極々小さな会場で、観客もたった10数名の物でしたが。

 これが、不思議ないきさつなのです。
 4月29日の昭和の日に、とあるカトリック教会で、知り合いのクリスチャンの若者が結婚式を挙げた際、私もご招待いただきました。そして、大変アットホームな教会の信者さんたちの手作りパーティーにも参加させていただき、とても祝いたい気分になったので、“me & my girl”というミュージカルのテーマソングを歌いました。
その歌詞の中に

♪小さな教会で集い合って確かめる
♪二人の愛ハッピー、それからいつも

というフレーズがあったので、その場にぴったりだと思いアカペラで歌ったのです。
 芝居ではあまり上がらないのに、音楽のステージでは足ががくがくになるほど緊張する私ですが、このときはとにかく興が乗ってしまったので、まったく緊張などしていなかったのも、歌声のリラックス度合いを高めてくれたのかもしれません。新郎新婦のみならず、多くの皆さんに温かい拍手をいただき、ちょうど良く回ったアルコールもあいまって、気分も最高でした。
 ところが、帰り際に、件のおじさまにつかまり、
 「こんど私の企画するイベントで歌ってくれませんか」
と声をかけられたのです!でも恐ろしいことに、そのときはとても気分が良かったので、ほいほいと承諾してしまったのでした。

 ということをすっかり忘れた6月のとある日、そのおじさまから連絡があり、ひっこみのつかない状態に陥りました。
 いわく
「あなたのゴスペルは、素晴らしかった!」
 そもそも、ミュージカルナンバーを「ゴスペル」と認識されていたのも物凄いのですが、
 「あのお声なら、高齢者の方向けの童謡や唱歌のコンサートもお願いできますよね?」
 と言われるに至っては、本当に驚いてしまいました。
 確かに、私は小さい頃から童謡や唱歌が好きというか、親が繰り返しかけてくれたレコードのお陰で、そういった歌が体に染み付いていました。また、その中でも幼児向けの歌は、絵本朗読の会などで合間に弾き語りなどしていたこともあったので、できないことではないと判断し、引き受けてしまったのです。

 でも、7月には、前回まで連載させていただいていたように、『改造人間哀歌』への出演その他のイベントが入り、結局このコンサートの準備は、たった10日しかないという状態になってしまいました。
 そのうえ、引き受けた当初には聞いていなかった「大正時代の作品を中心に」などの指示が、後から後から出てきて、アップアップしてしまいました。
 とにかくなんとか間に合わせようと思ったので、ないーぶネットで資料になるような童謡・唱歌の本を探し、曲を選び、それを元に曲の解説文を作り、私の下手なピアノでは弾き語りが難しいと判断した曲はピアノ伴奏だけ録音したカラオケを作り、本業は役者なのだからということで合間に読む絵本を選び、それを一緒に読んでくれる相方・鈴木大輔との稽古をし、作っておいた曲の解説の朗読を鈴木に頼み、そのタイミングなどを練習し、…等々、怒涛の10日間を経て本番に臨んだのでした。

 歌った曲は以下の通り。

『ゆりかごのうた』  北原白秋作詞、草川真作曲
『あめふり』  北原白秋作詞、中山晋平作曲
『村の鍛冶屋』   作詞・作曲者不詳
『我は海の子』 作詞・作曲者不詳
『夏は来ぬ』  佐佐木信綱作詞、小山作之助作曲
『青い眼の人形』  野口雨情作詞、本居長世作曲
『赤い靴』  野口雨情作詞、本居長世作曲  
『牧場の朝』  杉村楚人冠作詞、船橋栄吉作曲
『里の秋』  斎藤信夫作詞、海沼實(かいぬま みのる)作曲
『ふるさと』  高野辰之作詞、岡野貞一作曲
『森の小人』  玉木登美夫・山川清作詞、山本雅之作曲

 恐れていた通り、前半はかなり上がってしまいましたが、やはり私は役者だったと自覚し、ストーリー性のある歌を歌ったり絵本を読んだりしているうちに、すっかり落ち着くことができました。
 お陰さまで、ご来場くださった人たちから、「また歌ってください」とか「懐かしくて涙が出そうになりました」などの温かいお言葉をいただきました。

 本人としては、もうこんな緊張は勘弁してほしいという気持ちだったのですが、不思議なことにそれから20日も経った今でも、ふと気づくと「♪うーのはなーのにおう垣根に」と口をついて出てくるのです。そして、いつの間にか、「音楽療法ってあったよなとか「認知症のお年寄りが、懐かしい童謡で元気になったり意識がはっきりしたりっていう話も聞くわよね」などと、何かたくらみかけている自分がいるのです


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

by amedia  at 16:06