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春うらら
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聞くは一時の恥

 視覚障害者はよく『情報障害者』と言われます。
雑誌や新聞、TVの視覚的情報、街中にあふれる看板その他の文字情報、
ショーウィンドーのディスプレイからの情報、個々の商品に付いている説明など、
あらゆる『目から入ってくる情報』から隔絶されています。
けれど、これらの情報は、点訳や音訳をしてもらったり、
ネットで得られたり口コミで聞いたりできるし、
親しい晴眼者がそれなりに教えてくれたりすることで補えるケースが多いのです。
 ところが、もっともっと生活の根本的な事で知らなくてはいけないのに知る機会が
極端に少ない事というのがあるのです。
 例えば、自分の洋服の汚れ、コーディネートの悪さなど、
あるいはメールやblogなどでの誤字など、
自分のマイナスイメージにつながるような事です。
こういった事は、指摘されるとその瞬間はショックでちょっと嫌な気持ちになります。
でも、『良薬は口に苦し』という諺もあるように、
こういった指摘はありがたく受け止めなければならないと思うのです。
「見えないんだからしかたないじゃないか」と開き直るのではなく、
『あ、これ以後、恥をかかなくて済むぞ』というホジティブな
気持ちで受け止めることが大切なのです。
中には無神経に指摘してくる人もいるかも知れませんが、
多くの場合は、心の中で葛藤した挙句に、
私たちの為を思って指摘してくださっているのですから、喜んで受け取るべきだと思います。
 ところが、見えている人たちは、その優しさから、
「見えないのだからしかたがない。
そんな指摘をして、嫌な気持ちにさせては気の毒だ」と感じるのか、
かなり親しい仲であっても、なかなか指摘してはくれません。
指摘を受け取る側の視覚障害者の精神の成熟度によっては、
確かにぎくしゃくしてしまうこともあるかもしれません。
けれども、その視覚障害者の先々を思うまでの優しさを持ってくださっているのでしたら、
ぜひ思い切って指摘していただきたいと思います。
 また、視覚障害者は、『人の振り見て我が振りを直す』ということが不可能なのです。
それは、元来の意味である反面教師的な事というより、
人の振りを参考にするということができないという意味合いが強いのですが。
大げさな言い方に感じるかもしれませんが、
今目の前にいる人がどんな服装をしているのかすら分からない私たち視覚障害者は、
今どんな服装が主流なのかさえ知ることができないのです。
だから、現在奇異に感じられてしまうような服なのに
平気で着てしまったりしていても気付かないことがあるのです。
つい先日も、アメディアのメーリングリストで
「クールビズって、具体的にどんな服装をしたら良いのでしょうか」という質問が
投げかけられていて、いろいろなパターンの返事が寄せられていました。
 また、固有名詞の表記も、なかなか知ることができません。
例えば、近々岩波ホールで公開される映画のタイトル『ヒロシマナガサキ』も、
「漢字じゃなくてカタカナだよ」と言われるまで、まったく気付きませんでした。
だって、スクリーンリーダーでなめらか読みをさせていたのでは、
同じようにしか聞こえないからなのです。
また、メーリングリストで話題になった鹿児島名物のアイスの表記も『しろくま』という
音でしか分からなかったので、あえて同居人に確認してみると、『白くま』、つまり
『白馬』の『白』という漢字に、『くま』はひらがなだというのです。
 そんな情報交換も含めて、晴眼者が気軽に指摘・アドバイスしてくだされるような
人間関係を、お互いに作っていけたら、
障害者理解のステップをまた一つ上がれる事になるのではないかと思う今日この頃です。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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