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春うらら
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自書できないというだけで(前編)

 金融会社もカード会社も、貧に窮している私には縁のないお話なのですが、
友人が経験した話を聞いて、軽く取材してみました。

 クレジットカード会社のOMCを利用しようとした友人Mさん(中途失明・全盲)は、
神戸三宮のダイエーの同社カウンターにガイドヘルパーさんを伴って出向いたそうです。
そこで、申し込み書類に必要事項を書き込もうということで、
ヘルパーさんに代筆してもらって書き始めると、
担当職員の女性が「あ、それはご本人に記入していただかなくてはなりません。」と
制してきたというのです。
 「署名だけなら自分でできますから」と説明したそうですが、
「こういった書類は、自筆で書いていただくように、法律で決められておりますので」との答え。
Mさんは驚いて、「それは無理です。それじゃぁ、視覚障害者はカードを作れないと
いうことですか?」と反問しました。
彼女の答えは、「そういうことになりますね。」だったそうです。
Mさんは、釈然としないまま、すごすごと引き返されたそうです。

 この話を聞いた知人Nさんと私は、他のカード会社では署名さえ代理署名が
認められているところもある昨今、なんとかならないものかと思い、
本社のお客様相談室に問い合わせてみました。
 Nさんが電話したときの感触は悪くなさそうだったので、私から連絡して、
友人Mさん当人から聞いた詳しい話をし、実態を調査していただきました。
 1週間ほど経った頃、担当Oさんから報告の電話がありました。それによると、
「ご指摘の件ですが、M様が代筆で記入され始めましたので、
担当の者が“丁重に”ご説明したそうです。」というのです。
 結局“丁重に”対応したのだということを強調されただけで、
事実関係は私が伝えたことと何等変わりはなかったのです。
「それでは、結局のところ、自書できないとカードが作れないということに
変わりはないのですね?」と、がっかりしながら確認すると、
「申し訳ございません。やはり、まだサインレス対応でないお店も多いものですから、
署名ができないと。」とのこと。
「ですからMさんは署名ならできるとおっしゃってるのですよ。」とさらに踏み込むと、
「申し訳ございません。現状では当社の対応としてはお断りするしかないのです。」という答え。
私は、一所懸命気を沈めつつ「代筆を認めているカード会社も多いようですが、
そういう会社と御社の違いというのは、どういうところにあるんでしょうね。
なんとかならないものですか?」と聞いてみました。
「はぁ、他社様のことは存じませんのでなんとも言えませんが、当社ではこれが現状ですので、
ご理解ください。」という最終的な答えに、私はそれ以上追及する気力を失い、
「今後の改善をご検討ください。」と言って。電話を切りました。

 ちなみに、友人Mさんは、ネットで書類をダウンロードして、手続きを続けたよう
ですが、その後のことはまだ聞いていません。

(次号に続く)

(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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