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春うらら
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視覚障害者の一人歩きと街中の交通機関

 どんなに頭脳明晰であっても、「マイカーを持ち、それを運転する」
ということが不可能な視覚障害者にとって、バスやタクシーの割引は、
本当にありがたい制度だと感謝して利用しています。
 そんな街中の交通機関にも、ケース・バイ・ケースで苦楽を感じることがあります。

 まず、バス・タクシー両方に共通して言えることは、
正しく列に並んで待つのがかなり困難だということです。
特にタクシーの場合は、最前列の人が乗って離れていく度に
少しずつ列が前に進んでいくので、
どれだけ進めば良いのか把握することが難しいのです。
 一人歩きを始めた頃は、勇気が出なくておたおたしているうちに、
どんどん横入りされたり、自分の意図せずに横入りになってしまい舌打ちされたりと、
ずいぶん嫌な思いをしたものですが、
最近では、なるべく近くの人に声をかけて、一緒に並んでもらい、
進む度に手引きしてもらうようになりました。
頼む勇気が出ると、周囲の人たちとも、
お互いに変な気兼ねをすることが減るものです。
ちなみに、これは公共のトイレやスーパーのレジなどの列でも言えることです。

 バスは、乗り込む際に運転手さんに行き先を尋ねれば、
安心して利用することができるというメリットがあります。
整理券を取らなければならない方式のときには、
取る位置が分からずに少し苦労することはありますが、
それも周りの人に尋ねる勇気さえあれば、さほどのストレスにはなりません。
 むしろ、一番苦労するのは、座席のことです。
電車に比べて揺れの激しいバスの場合、
必ず手すりやつり革に捕まる必要があり、手で探ったりするのですが、
そうすると、ご高齢の方が座席を譲ってくださろうとなさるのです。
 「ありがとうございます。でも、私は捕まってれば大丈夫ですから」
と柔らかくお断りしても、なかなか座りなおしてはくれません。
 そんなこともあるので、入り口からあまり動かないで立っていると、
今度は後から乗ってこられた方のじゃまになってしまいます。
 バスに関しては、日々、そんな葛藤を感じながら利用しています。

 タクシーは、アタリ・ハズレが激しい交通機関です。
 まず、メリットとしては、行き先の玄関前まで
しっかり連れていってもらえるということがあります。
視覚障害者の場合、大雑把に近くまで行けたとしても、
目的の建物を特定すること、さらにその入り口を認識することが
最も困難なこととなるので、しっかり真ん前まで
連れていってもらえるということは、大変助かることなのです。
さらに、多くの場合、運転手さんがとても親切で、
降りたときに、その玄関口までしっかり手引きしてくださるのです。
 ところが、ハズレの場合は悲惨です。
 私の経験から少しお話すると…。
 1. 「目で見て道を説明することもできないのに、
一人で乗るなんて困るんですよ。」と言われて、
ぐるぐる回られたあげく、法外な料金を請求された。
 2. 上と同じケースで、「お金は要らないから、降りちゃって」と言って、
どことも知れないところに放り出された。
 3. 通りがかりの人に頼んだりしてタクシーを拾おうとしたのに、
乗車拒否された。
 4. 障害者手帳を提示して割引をお願いしたら、
嫌な顔をされたあげく、つり銭を道路に投げられた。
 と、こんなこともあったのです。
 対策としては、次のようなことが考えられます。
● 迎車メーター分の料金はかかっても、知っているタクシー会社に電話して呼ぶ。
● タクシー乗り場から利用する場合、乗り込む際に、運転手が行き先を理解できそ
うか確認して、怪しいようなら次の順番の人に先に乗ってもらう。
● 後部座席左の窓の下寄りにタクシー会社と番号が記載された点字表示があるかど
うか触ってみて、あれば口に出して読み上げてみる。(嫌な思いをしたら、それを憶
えておいて、そのタクシー会社に電話して事情を訴える。)
● 点字表示がない場合、領収証をもらっておく。
そこには、タクシーのナンバー等が記載されているので、
誰かに見てもらって、やはりタクシー会社に連絡する。

 いずれにしても、視覚障害者の一人歩きには、かなり勇気が必要です。
それは、物理的な恐怖心に立ち向かうということだけではなく、
周りの他人としっかりコミュニケーションを図っていこうとする
勇気でもあるのです。
 それでも、自分の意思で行き先を増やしたりやめたり、
臨機応変に行動できる。
そんな風に自由という物は素晴らしいと感じているのです。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



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