久々に字幕朗読
初夏のように暖かな日があったかと思えば、いきなり真冬に逆戻りしたりして、読者の皆さんは体調崩したりしてませんか?
私は元々風邪をひきやすい体質なんですが、案の定、今回もしっかり発熱&喉を痛める風邪をひいてしまいました。
そんなさなかの昨日2月18日水曜日、今回の福祉情報の別コーナーでもお知らせします『調布映画祭2009』に向けて、海外ドキュメンタリー映画『ミリキタニの猫』という作品の字幕朗読の収録が行われました。
収録スタジオには、主役の日系アメリカ人のおじいさんの声を担当した鈴木大輔をはじめとする演劇結社ばっかりばっかりのメンバーや録音を担当した平塚千穂子さんをはじめとするバリアフリー映画鑑賞推進団体CityLights(以下、シティライツと書きます)のメンバーが12名集まりました。そして、和やかで楽しい雰囲気の中、朝10時から夕方7時過ぎまでかけて、全字幕台詞を録音したのでした。
この映画は、日本とも浅からぬ内容のドキュメンタリーではありますが、フィルムには日本語の吹き替えが付いていないため、画面に表示される字幕を朗読しないと、私たち視覚障害者は、よっぽど英語のヒアリング能力がある人でない限り、鑑賞することができないのです。
これまでも、調布映画祭で上映される外国フィルムは、吹き替え版がTV放映されたりDVDかされたりしていても、ほとんどの場合字幕版の上映になっていたため、画面の説明を入れる「音声ガイド」を付けるだけでなく、「字幕朗読」が必要とされてきたわけです。
私も、以前は、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ役をはじめ幾つかの作品で時折字幕朗読にも参加していたのですが、近年はどちらかというとレコーディングディレクターとしての関わりが多く、今回は久々の字幕朗読となったわけです。
さて、全盲の私がどうやって字幕を朗読したかということですが、今回は調布映画祭実行委員会にも協力しているサークル「シティライツ」が配給会社から字幕用のテキストデータを入手してくれたので、予めそれを自動点訳プログラムで点字データに変換し、私自身がそのデータを校正し、点字でプリントアウトした台本を使って読みました。
本当は、この映画の監督のリンダ・ハッテンドーフ役の字幕を読む予定だったのですが、喉にきた風邪のため、台詞の多いこの役を断念し、ツアーガイドの女その他、いろいろな役をちょこちょこやらせてもらうに留まりました。
今回は、私以外にも、同じばっかりばっかりの芝居仲間である視覚障害青年・大河内聡之(おおこうち としゆき)も、ちょい役二つと・主人公ジミー・ミリキタニの古い知人・ルイ役で字幕朗読に初挑戦しました。
とは言っても、当然そのまんま画面の字幕に合わせて読むわけにはいかないので、担当する台詞の前後の場面を、まずは原音のみ、次にその原音に合わせて見える人に全て字幕を読み上げてもらい、最後にやはり原音を流しながら本人が担当するところ以外の字幕を読み上げてもらい、それを繰り返しながら予習しておくわけです。ちなみに、最後の「本人の台詞以外の字幕を読み上げてもらう」というのは、要するに台詞読みのカラオケにしてもらうようなものなのです。
なぜここまでいろいろ工夫してまで全盲でも字幕朗読をするのかという疑問を感じる方もおられるかもしれません。これには幾つかの理由があります。
一つには、字幕朗読を担当する人数が少ない中、一人何役も担当することによって聞く立場の人の理解を妨げることにならないようにするため、少しでも多くの人間が字幕朗読に関わるようにするためです。
また一つには、シティライツが単に「視覚障害者のために映画を観やすくしてあげる」団体なのではなく、「一緒に楽しむサークル活動」だから、視覚障害者も「言葉をを発して表現すること」という特技を持っているなら、その技術を生かせる機会を得て、さらに技術が向上するようにしたいということもあります。公開中の映画で、ライブで画面を読むことしかできない場合は、字幕朗読は全て晴眼者の手に委ねなければならないのですが、既にDVDが出ていたり、字幕台本が入手できたりという条件下では、全盲の音声表現者にもなんとか活躍する場ができるわけです。
というわけで、3月6日から8日の調布映画祭、音声ガイドの付く作品全てお薦めなのですが、特に8日のドキュメンタリー映画『ミリキタニの猫』がどんな仕上がりになっているのか、ぜひ見届けに、いや、聞き届けにいらしてくださいませ。全て無料で鑑賞できます。
詳しくは、今回の別コーナーをご参照ください。
ながら仕事でもホームページが楽しめる音声ブラウザ・ボイスサーフィン