偶然とインスピレーションがもたらしたステキな出会い
先日、私が一番よく利用している小田急線で、とてもステキな出会いがありました。
その日は、いまだにMS-DOSから離れられずにいる千葉の友人宅まで、
パソコン環境の修正を手伝いに行ってました。
その帰り、小田急線の地下ホームのエレベーター近くで各駅停車を待っていると、
連れのW君が「白杖を持った青年が困ってそうなんだけど、どうしよう?」と言うのです。
「声かけてあげてよ。」
と頼むと、即座に飛んでいきました。飛んでいくといってもすぐ近くだったので、
「大丈夫です」という声が聞こえました。
W君はすごすごと戻ってきたのですが、乗り込むときに再度声をかけました。
「もう一人、白杖使用者がいるんですけど、一緒に乗りませんか?」と声をかけて
みました。すぐに、私からも、「私がそうなんですけど」とフォローしてみました。
すると、青年はにこやかな声で、「そうなんですか。ではご一緒させてください」と
答えてくれました。
車両の端の席に座った私たち3人は、彼が降りていくまでの約20分間ほどを、
とても楽しいおしゃべりをしながら過ごすことができました。
「楽しい」というと少し語弊のあることもあるのですが、かいつまんで話すと、
こんな感じでした。
彼、K君は、2年半ほど前に交通事故で失明したそうですが、落ち込んでも仕方が
ないと割り切り、すぐに都内の施設で生活訓練を受けたそうです。そして現在は都内
の盲学校の理療科に通い、三療の勉強に打ち込んでいるとのことでした。
彼の学校を聞くと、どうやら、通学時間は片道1時間以上かかりそうだし、
乗り換えも何度かしなくてはならないし、かなり大変そうだと思ったのですが、
既に一人歩きにも慣れている様子だし、何よりとても明るいのです。
少ない時間の中で、私のやっている活動=芝居とか映画の音声ガイド付き鑑賞会の
ことなどをお話したのですが、それにもとても興味を持ってくれたようで、
K君が降りていく頃には、すっかり打ち解けてお友達のようになっていました。
しかも、なんと現在、盲学校教員をやっている私の同級生に、
教科を持ってもらっているということも発覚したのです。
もちろん、K君のほうも、そして連れのW君も、楽しい気持ちで過ごしてくれてい
たようでした。
偶然というのは、面白いものですね。
普段、私とW君は、そのエレベーターの傍で電車を待つことはないし、
白杖を持っているからという理由だけで話しかけてみたりはしないのですが、
この日に限っては、なぜかそういう行動をとっていたのです。
だって、私自身が、そんな理由だけで話しかけられたら、心の中で、
『十把一絡げにしないでほしい』なんて思ってしまう方なのですから不思議です。
でも、正直な気持ちでは、少し困っているときに、声をかけていただくと、
とても嬉しい気持ちになるし、声をかけてくれた人、
あるいはその連れが楽しい相手だったりするとなおさら嬉しくなります。
だから今回、偶然の巡り会わせとインスピレーションに従って、
K君に声をかけてみて、本当に良かったと思いました。
そして、「中途失明なのに、すごく立ち直りが早かったんですね。
それにすごく明るいし」なんて言ってしまった自分に、
『あんただって、そうやって十把一絡げにしてちゃだめじゃないか』と
心の中でつっこみを入れてしまいました。