群盲、象を触る
このタイトルの言葉、視覚障害者をバカにしてるみたいで、
あまり感じの良い言葉ではありません。
っていうか、どちらかというと、むかつきます。(笑)
もちろん、物事の一部しか捉えられず、全体像を掴めない、
もしくは掴もうとしないことの例えで使われるのですが、
果たして本当に大きな物事を把握するのは無理なのでしょうか。
象に群がった盲人たちが、それぞれが触った部分の感想を話し合い、
その印象が違ったからといって、そこでバラバラな判断材料に驚き、
象という物の形を把握することを諦めてしまうから、
結局理解できないままになってしまうだけなのではないでしょうか。
触った盲人たちが、その場に踏みとどまり、
「ここはこんな形だぞ」「こっちはこんな形だぞ」という情報交換をしていくとどうでしょう。
その情報を繋げていくことによって、
「どうやら、杉山君が触ってるのは尻の方らしいぞ」とか
「塙君の触ってるところは長い鼻らしいぞ」と判ってくるに違いありません。
さて、なぜこんな話をしたかというと、私の住んでいるM市の福祉に関して、
一面だけを見るのは良くないと思ったからなのです。
この『M市の福祉』というのは、子供の象くらいの大きさはあるようで、
少し捕らえがたいのです。
私は、越してきて1年3ヶ月。実はこの市の福祉にあまり良い印象を持っていませんでした。
以前にも書きましたが、日常生活用具の給付制度に関しての基準が、
利用者サイドに立って考えようとはされていないことに驚きを禁じえないからです。
あらゆる障害を持つ人たち向けにいろいろな用具が日常生活用具給付対象品目として
指定されているわけですが、福祉課の担当者の皆さんは、
それぞれの用具がどんな障害の人にどんな目的でどう使われる物なのか、理解していないし、
勉強しようともしていないようなのです。
『点字ディスプレイ』という、パソコンの画面情報を点字で表示する装置を
申請して断られたことがあるのです。「点字で、スプレーってなんですか」と聞かれたときは、
どうしようかと思って苦笑してしまいました。
一部の職員さんは、対象品目についてある程度理解してはいても、
それを必要とする利用者の実態を理解しようとしていなかったりするのです。
ところが、同じ市内在住のある視覚障害者は
「この市は、福祉が充実していて良いですよね」と言っていたのです。
よくよく話を聞いてみると、彼女はガイドヘルパーさんをお願いすることが多いそうで、
その利用基準は他の市よりも緩いのでお願いしやすいのだそうです。
気付いてみれば、点字ブロックの敷設状況、図書館の障害者サービスなど、
この市にも良いところがいろいろあるのです。
自分が感じたことだけを基準にせず、こんな風に、情報交換をし合えば、
象の一頭や二頭、なんとか把握できるような気がしてきた一瞬でした。
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