芝居の話=演劇結社ばっかりばっかり
度々手前味噌な芝居の話で失礼します。
少し前にもチラッと書かせていただいた、
この秋の私主演の芝居「だからこそ愛」についてお話したいと思います。
そもそも、私が動きのある普通のお芝居にチャレンジしようと思ったのは、
「視覚障害者が視覚障害者の役をやるなら、不可能ではない」と思ったからです。
視覚障害者が、晴眼者と混在して晴眼者の役を演じると、どうしても違和感が否めず、
観客に「大丈夫かな?」という、まるで学芸会の劇を見守る親のような
気持ちにさせてしまいがちです。だから、本格的な舞台劇をやるなら、
晴眼者の役ではなく視覚障害者の役をやるべきだし、
どうしてもそれが嫌なら朗読劇で行くしかないと思うのです。
朗読劇であれば、晴眼者であることどころか、魔法使いにも宇宙人にもなれるので、
それはそれでとても楽しいのです。
けれど、舞台上で体を動かす楽しさは、また別物として、とても素晴らしいものです。
去年、「視覚障害者の役なら」と思い決めた時から、その緊張感を伴う楽しさに目覚め、
今年はついに、実在の全盲女性にして私の尊敬する大先輩・河辺豊子さんの
自伝を舞台化して演じる決心をしたのです。
この河辺さんの自伝「見えなくても愛」は、今はもう手に入らなくなった本ですが、
その本の後日談も河辺さんご本人に取材させていただき、
座付きの脚本家・和風まくだ煮L(ワフー マクダニエル)が2時間程の
舞台劇「だからこそ愛」という作品として書き上げました。
河辺さんは、私には考えられないくらいの想いを経験してこられた方なのですが、
何しろものすごく元気で明るい女性なのです。私もよく「明るいね」と言われますが、
すぐへこたれてしまうしいじけて人を困らせてしまったりすることもあるのです。
けれど、河辺さんのパワーは本物です。今回、彼女の役をさせていただくことによって、
私自身をも少し磨くことができたらという想いもあるのです。
とにかく、ご来場いただくお客さんに、「元気」と「パワー」を持ち帰ってもらえるように、
頑張って稽古に励んでいます。
台本は、まず私がすべてパソコンに打ち込み、自動点訳ソフトで点字データに変換し、
校正して、稽古場としても使っている福祉会館のシステムでプリントアウトします。
点訳した状態で、120ページくらいの物が2巻分になってしまいました。
ちょっとした文庫本くらいの量です。
そして、河辺さん役の私は、物凄い台詞量です!ふうーっ。
今週からいよいよ立ち稽古に入りました。
他の役者たちは、立ち稽古になっても、台本片手にゆっくりと台詞を
憶えていけば良いのですが、点字台本を使う私はそうはいきません。
ある程度台詞を暗記した状態まで持っていってから立ち稽古に臨みました。
演出家で、夫精孝さん役でもある鈴木大輔が、
私を舞台上で動かす方法を模索しながら支持を出します。
心がけているところは、「自然に見えること」と「安全に動かすこと」のようです。
友人役、母役、祖母役といった仲間たちが、みんなで協力して、
私と共に舞台上を移動してくれる時。思わずその手たちのぬくもりに感動しそうになるけれど、
それでは稽古にならないので、演技に集中します。
「見えない役なら大丈夫」との自負で立つことにした舞台ですが、
じつは、やはり長い台詞の時の自然な所作というのがなかなか難しいのです。
台詞をきっちり伝えようとすると、どうしても棒立ちになってしまい、
「それじゃ、東海林(しょうじ)太郎だよ。」などという鈴木氏からの
注意を受けることになってしまいます。
というわけで、今後さらに悪戦苦闘の、苦しくも楽しい日々が続きそうなのですが、
どんな風に仕上がっているのか、そして本当に「元気」と「パワー」を
持ち帰ることができるのか、ぜひ足を運んで確かめてみてくださいませ。
日時 11月16日(金)~18日(日)
場所 ART THEATER かもめ座(丸の内線「南阿佐ヶ谷」徒歩4分)
代金 前売り(予約)2500円、当日2800円
配慮 割引はありませんが、音声ガイド無しでも楽しめるように工夫した作品になっ
ています。また、駅からの誘導も行いますので、お気軽にお問い合わせください。盲
導犬歓迎!
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