人情の街-門前仲町
先々週、まとめてお送りしたバリアフリー上映情報の中に、
「江東区古石場文化センターの音声ガイドボランティア養成講座発表会、
『野菊の如き君なりき』」というのがあったのをご記憶でしょうか。
この講師をお引き受けしていた関係で、
このところしょっちゅう門前仲町界隈をうろついていました。
というか、2006年にも2クール程この講座の講師をやらせていただいて、
『二十四の瞳』『幸せの黄色いハンカチ』の上映発表会をやっていたので、
この街はすっかり親しみ深い街になっているのです。
東京メトロ東西線と都営地下鉄大江戸線の2線が通るこの街は、
いわゆる下町です。時代劇などでおなじみの深川は、ちょうどこの辺りです。
なぜ「門前」仲町なのかというと、
ここは深川不動尊の門前の街として大変活気があるからです。
また、不動尊の傍には、富岡八幡宮という大きな神社もあり、
縁日ともなればそれはそれは賑わう街なのです。
多くの面白そうなお店が立ち並び、中でも飲食店の数は物凄いのです。
アサリを使った名物深川飯(炊き込み)や深川丼(味噌仕立てのぶっかけ飯)の店、
信じられない程安いのに美味しい魚介類がてんこ盛りで出てくる居酒屋さん、
冬場には泡ぜんざいを食べさせてくれる甘味所など、
魅力的なお店が軒を連ねています。
そして、この街の魅力は、そんな楽しさや美味しさばかりではないのです。
ある時、私の仲間であるバリアフリー映画推進団体CityLightsの
リーダー・平塚千穂子さんとコンビニに入り、
「M銀行はないかなぁ。お金下ろしたいけど、他の銀行じゃ手数料かかるし。」
などと話しながら買い物を済ませ店を出ると、
後から出てきたお姉さんがヒールの音を響かせ近づいてきて、
「M銀行をお探しでしたね。それだったら」と道案内してくれたのです。
何のえにしもない人間の話を通りす
がりに小耳に挟んだだけなのに、心配して声をかけてくれたのです。
また、サツマイモのお菓子の専門店「三咲堂(みさきどう)」に初めて
入ったときには、大学いも、お芋のパイ、スイートポテトや
お芋のシュークリームなど、
いろいろ並ぶ美味しそうなお菓子にすつかり迷っていると、
元気な若い女店員さんが、すっごく嬉しそうに「どれも美味しいんですけど、
私が一番好きなのは」と言って、お芋のパイを進めてくれました。
そのときも、こちらから「お薦めは何?」と聞いたわけではなかったのですが、
本当にフレンドリーに声をかけてくれました。
しかも、自分の働いているお店の品を本当に愛しているのが伝わってくるような、
嬉しくてたまらないというような説明のし方だったのです。
どこにも例外はあるものですが、
それでも、どのお店に入ってもたいていはほっこりする会話を楽しめるのです。
だから、チェーン店みたいなところは避けて、
地元ならではのお店を選んで入っていたのですが、
つい昨日、成り行きでファミレスのジョナサンに入ってしまったのです。
「せっかく門仲にいるのに、つまらないな」などと思いながら入ったら、
嬉しい誤算でした。
席に案内してくれたさわやかで優しい話し方をするウェイターさんは、
なんと、いきなりクロックポジショニング*で渡しに説明してくれたのです。
「お客様、6時の位置にお水を置きますね。」といった具合に!
まるで、一流ホテルのレストランにいったような驚きでした。
また、帰り際には、レジで「雨の日の夕方5時以降に使える割引券」というのを
くれたので、思わず「ええ!そんなのあるんだぁ!」と笑いながら驚いていると、
レジのお姉さんが「ええ、あるんです」と、これまたとても嬉しそうに
気持ちの良い笑い声を立てていました。
ボランティア講座の今回のクールはあと2回で終わってしまうので、
この街とも当分疎遠になってしまいそうで残念なのですが、
今度はお仕事でなく、ゆっくり歩き回りに行こうかと思っているところです。
皆さんも、東京の下町を堪能しに、この笑顔のあふれる街、
門前仲町を訪れてみて はいかがでしょうか。
* 「クロックポジショニング」というのは、
たぶん航海士の発想から出てきた物だと思うのですが、
視覚障害者に位置を説明するために、
目の前のお皿やテーブルをアナログ時計の文字盤に見立てて
説明する方法のことです。つまり、今回の例でいうならば、
お水を私の正面、一番手前に置いてくれたということになるわけです。
これ、便利ですよ!
ながら仕事でもホームページが楽しめる音声ブラウザ・ボイスサーフィン
視覚障害者に好評~役所からの書類ならお任せの音声読書機・よむべえ