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春うらら
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お鍋の季節に寄せて

 大寒を過ぎ、暦ではまもなく立春になろうとしていますが、実際はまだまだ、というか、ますます寒くなっていきますね。
 こんな季節に嬉しいのが、鍋料理、いわゆる「お鍋」ですね。湯豆腐・水炊き・すき焼き・しゃぶしゃぶ・鱈ちり・牡蠣鍋・豆腐チゲ、数年前からはカレー鍋なんてのもありますね。
 ところが、この美味しいメニューの数々は、晴眼者と一緒の時でないとなかなか食べる勇気が出ないものなんです。もちろん、一人で、しかも自宅でやるならできなくはないのですが、やっぱり煮え具合などを見て取り分けてくれる人と一緒でないと、外では無理なようです。いったん口に入れてみて、「あれ?これはまだあんまり煮えてないや」などということになっても、鍋に入れなおすなんていう無作法なことはできませんから。
 というわけで、私は視覚障害者より晴眼者の人数が多いときには、そういった鍋料理を食べに行けたりするととても嬉しいものです。(比率が逆のときには、見える人の負担が大きくなり申し訳ないので、この手のお料理は避けるようにしています)

 そこで、今回は、それらの鍋の他に、見える人と一緒じゃないと食べにくい物を考えてみました。
 まずは、焼肉!特に、美味しい炭火焼の場合、自力でお箸で取ろうとすると、網目からお肉が落ちてしまい、炭の山を形成してしまう危険性があります。
 自力で焼くタイプのお好み焼きにもんじゃ焼き、これもうまく形を作れないし、お好み焼きの場合にはひっくり返すのも失敗しそうです。
 そして、ビュッフェとかバイキングと言われる、セルフサービスの食べ放題のお店!これは何よりお手上げです。
 ただし、ウィークデーの昼間だけ食べ放題をやっているピザのチェーン店「シェーキーズ」は、一人か二人で行った視覚障害者に対してなら、嫌な顔をせずにどんどん持ってきてくれます。とは言っても、あまり好き嫌いの多い人は負担をかけることになってしまうので、控えたほうが良いかもしれません。
 あと、できれば見える人と一緒だと助かるのが、回転寿司です。一人で行きつけの回転寿司を開拓したばかりの頃、「ま、好き嫌いはないから、適当に取って食べるのもロシアンルーレット的で面白いや」と思っていたら、板だけが載ってるお皿とかわさびだけが載ってるお皿などを取ってしまい失敗したことがあったので、それ以降はむやみに手を出したりしないようになりました。
 しょっちゅう行くようなお店なら、よく話して理解しておいてもらえば、注文は全て口頭で伝え、お皿は手渡ししてくれるようになるはずです。(というか、そうならないお店なら、こちらから願い下げで、行かないことにすれば良いのですが)

 自力で行けるお店か、誰かと一緒じゃないと行けないお店かは、そのお店のシステムや忙しさなどを考慮して判断し、気持ち良い外食を楽しみたいものです。もちろん、鍋で体を温めたら懐が寒くなったなどということがないように、お財布と相談しながらね。


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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)



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百聞は一触にしかず

 ずっと以前にも、視覚障害者にとっての博物館見学に関して書かせていただきましたが、先日改めて感じるところがありましたので、再び書いてみようと思います。

 先日訪れたのは、兵庫県宝塚市にある「手塚治虫(てづか おさむ)記念館」でした。
 元々は、宝塚歌劇のファンの私ですので、今回も花組で公演中の壮大なミュージカルファンタジー『太王四神記(たいおうしじんき)』を観に行き、もちろん大変感動したのですが、漫画好きの同行者にも十分宝塚界隈を楽しんでもらおうということで、大劇場から歩いて5分程度のところにあるこの記念館に立ち寄ったわけです。

 当然ながら、私も手塚先生の作品には、TVアニメやラジオドラマといった形で十分に触れて育ってきた世代ですので、興味がないはずもなく、わくわくしながら訪れたのです。
 こぢんまりとした建物の前庭の地面には、手塚先生の作品中に出てくる様々なキャラクターの、先生が想定されたとおりの手形や足形が掘り込まれていて、私はしゃがみこんでアトムやブラックジャック先生の手形に自分の手を当ててみて、にこにこしてしまいました。
 中に入り、入館料をチェックすると一人500円だということです。それで二人分払おうと思っていたのですが、障害者手帳があれば無料になるとのこと。さらに、同行者一人も、付き添いということで無料になったのです。料金がかからないのはちょっと助かりますが、ここで私は少し嫌な予感がしました。
 入ってまもなく、その予感が的中していることに気づきました。b1から2階までの3フロアで構成された館内は、やはり、触れられない物、眼で見るだけの物のオンパレードです。
 予算的なことなどもあるでしょうし、一般のお客さんにはそうとう満足できる展示物に違いないのですが、入館料は一般の人と同じように払ってもまったくかまわないので、あちらこちらにキャラクターの等身大レプリカなどを置いて、それに自由に触れたりしたらどんなに良いだろうと思ってしまいました。
 現状で私が一番楽しめたのは、1階少し奥にあるスペースで、在りし日の手塚先生のインタビューや、藤子不二雄A先生や故・石ノ森章太郎先生からのコメントなどの映像を流しているコーナーでした。そこには椅子が数脚置いてあり、じっくり観ることができるようになっていました。
 次回訪れたときに、まだ展示物に変化がないようなら、今度は私だけそこに腰を据えて、じっくり先生方の話に耳を傾けて楽しんでみようかなと思った次第です。

 一方、宝塚駅までの帰り道では、思いがけない収穫もありました。それは、宝塚大劇場から駅まで続く一段高くなった道、「花の道」の途中に、等身大のオスカルとアンドレ(池田理代子原作の宝塚ミュージカル『ベルサイユのばら』の登場人物です)の寄り添う像が飾られていて、じっくり触ることができたことです。実は、私はここで触るまで、オスカルの髪の毛があんなに長いとは想像できていなかったので、改めて驚いてしまいました。よく考えてみれば、アンドレがオスカルのことを思って歌う歌に「♪ブロンドの髪翻し」とあるのですから、ある程度の長さは想像していてしかるべきだったのに、彼女が軍人だというイメージが強くて、かってに短髪だと思い込んでいたんですね。
 そして、愛しげにオスカルの腰に右手を回してたたずむアンドレ!泣きそうに感動しました!
 これは一つ、手塚記念館にもお手紙を書いて、お願いしてみようかななどと、改めて思った次第です。

 以前、ご紹介した、盛岡にある私設博物館「桜井博物館」の館長で、元岩手県立盲学校で教鞭を取っておられた桜井政太郎先生がおっしゃっておられた「百聞は一触にしかず」という言葉を、身を持って感じることのできた瞬間でした。

 桜井先生は、ご自身も全盲で、触ることの大切さを感じて生きてこられ、そして退職後、それまでに収集してきたあらゆる物を、ご自宅を改造して展示し、「桜井博物館」として無料で観覧できるようにしてくださったのです。 私も一度伺い、10億分の1の太陽と太陽系の惑星それぞれの大きさの比較に感動
し、鮫の歯の鋭さとその機構におののき、寝殿造りの貴族の屋敷の模型に夢を広げてきました。
 「桜井博物館」には休館日というのは特にないそうですが、予め電話で予約を入れてくださいとのことです。
申し込み・お問い合わせ  019-662-4172
 また、こちらのサイトで、詳しい紹介があるようですので、ご参考になさってください。
http://www.bunkanken.com/archive/today_universal/uni_sakurai1.html
 ユニバーサルミュージアムに興味を持ってくださる皆さんには、ぜひ一度は訪れていただきたい博物館です。

by amedia  at 18:16  | Permalink

点字メニューは嬉しいけれど

 度々点字メニューを話題にしてるような気もしますが、また改めて感じたことがあるので書いてみたいと思います。

 先日、凄い土砂降りの夜にお腹が空いて飛び込んだのが、すかいらーく系の和食ファミリーレストランの「夢庵(ゆめあん)」でした。
 よくファミレスを利用する私は、この夢庵の他の店舗にも何度となく訪れていたのですが、今回初めて、ここにも点字メニューがあったことを知りました。
 しかし、残念なことに、今回もその情報を知ったのは、同行していた晴眼者が入り口の表示を見て教えてくれたからだったのです。
 私は明らかに白杖を誇示して座席に着いたのですが、ウェイトレスさんは特に反応することもなく、普通にお水とお絞りを運んできただけでした。
 今、多くのファミレスで点字メニューを置いてくださっているのですが、私が入ったお店で積極的に「点字メニューがございますが、お使いになりますか?」と聞いてくださったのはほんの数店に過ぎません。その数店というのも、新規オープンしたばかりのお店や、行きつけのお店(具体的にはカレーハウス「CoCo壱番屋」西早稲田店)で初めて点字メニューを置いたときくらいのものです。多くの店舗では、「こちらには点字メニューがあるはずなんですが、持ってきていただけますか?」とお願いすると、「そうなんですか?ちょっと聞いてきます。」と言って、しばし待たされることになってしまうのです。
 せっかくある程度の予算をかけて点字メニューを用意しても、それを活用する人に情報が伝わらないのでは意味がありませんし、もったいないと思うのです。
 点字メニューを配備したチェーン店に、点字毎日やJBSなどの視覚障害者向けマスメディアを知ってもらえるような工夫はできないものでしょうか。
 また、そういった飲食チェーン店の運営会社では、各店舗の末端の従業員まで情報を徹底して通達してもらえないものでしょうか。

 確かに、視覚障害者の中で点字をすらすら読める人はほんの一握りにすぎません。
でも、私を含めたその一握りの人にとって点字メニューというのはとてもありがたく、便利なツールなのです。人の手を煩わせず、自力でメニューを吟味する楽しさは、なかなか他では得られないものです。
 ただ、ここにまた、点字の使える人とそうでない視覚障害者の間に不公平が生じてしまうのも事実です。

 そこで、どれほどの予算がかかるかはわからないながらも、ちょっとしたアイディアを思いつきました。
 いま、カラオケボックスなどで、食事メニューを注文するための装置があります。
あれをタッチパネルではなくボタンスイッチにし、音声読み上げ機能を搭載するというのはどうでしょう?そして、階層的なメニュー形式にし、飲食物のジャンル選択をしてから各料理名と値段の一覧を出し、心に留まったメニューに合わせてクリックするとそのお料理の詳細情報を読み上げるというような装置を作り、いろいろな飲食系のお店で使うということです。この端末の音声は、切り替えスイッチ一つで、しゃべったりしゃべらなかったりして、視覚の有無に関わらず誰でも必ず使えるメニュー端末とするのです。もちろん、この端末は各テーブルに常備するなり、お水やお絞りと共に持ってくるメニューの変わりに運んできてもらうなり、特別な物としてではない扱いにするのです。どうでしょう。
 こうすれば、点字が読めない視覚障害者にもメニューを選ぶ楽しさが味わってもらえるはずだし、わざわざ忙しいお店の従業員さんの手を煩わせなくて済むでしょう。
 また、誰もが使う物であるならば、特別な情報通達も要らない……でしょうか?いいえ、やはりそれでも、その端末が音声対応の装置に切り替わるのだという説明を、誰かが視覚障害者に伝えなければやはり意味はありません。それに、そのような装置を作ったからといって、今度はせっかくの点字メニューをやめてしまったら、視覚・聴覚二重障害の人は困ってしまいます。
 要するに、何か美味しい物を作ったらそれを一人でも多くの人に食べてもらいたい、何か便利な物を作ったらちゃんと使ってもらいたいという想いを、バイトに至るまで会社ぐるみで持っていなければ、理想的なサービスなど出来ないということに、多くの人に気づいてもらわないと、根本的な解決はできないでしょう。

 などとつらつら考えを巡らせながらも、冷たい雨と風に冷え切った体をかき鍋で暖めていたのでした。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

点字、インターネットなどの視覚障害者の情報文化や偉大な先駆者の業績を紹介~盲人の歴史

by amedia  at 16:47  | Permalink

誘導者への気遣い

 皆さん、明けましておめでとうございます。本年も、日々感じたことをいろいろ書き綴っていきたいと思いますので、宜しくお願いします。

 さて、私は昨年末、みんなの強ーい味方、カジュアルファッションの国内大手メーカーのお店Uで、ダウンジャケットもどきを買いました。色は、なんと黄色です!!膨張色なので、ちょっと気になったのですが、パートナーいわく「とても綺麗な黄色」なのだそうで、買ってみることにしたのです。彼にとってこの色は、膨張色であることよりも、私のイメージに合った明るい色であるということのほうがポイントになったらしいのです。
 そして、このジャケットはなかなか好評なのでほっとしたのですが、それだけじゃなくてもう一つメリットがありました。それは、混雑したターミナル駅で衝突してくる人が減ったような気がするということです。
 ある程度一人歩きに慣れている私は、ぶつかられることに慣れっこになっているのですが、誘導して一緒に歩いてくれる人は、少しでも私に痛い思いをさせないようにと、とても気を遣ってくれているようです。そんな気遣いを緩和するのに、この黄色いジャケットは一役買ってくれたというわけです。
 黄色は、一緒に選んでくれる人の目を信じられないと選べないような色ですが、誘導者の気遣いを考えるととても有益です。
 黄色に限らず、誰かにアドバイスしてもらいながらコーディネートを考えて、悪くない目立ち方を研究してみるのは、誘導してもらう側のさりげない気遣いになるのではないでしょうか。誘導してくれるような関係の人に相談してコーディネートすれば、その人もわざわざおかしな格好をした人を連れて歩くのは避けたいものでしょうから、親身になって考えてくれるのではないでしょうか。

 でも、秋・冬はやはりシックなファッションで行きたいということなら、それはそれで誘導者への気遣いを忘れないようにしたいものです。つっこんできそうな足音がしたら、なるべく誘導者の後ろに回って幅を狭めるとか、電車やエレベーターへの乗り降りの際には自分の体の向きをケース・バイ・ケースでコントロールするとか、白杖はきちんと人から見やすいように持つとか、自助努力でできる配慮もいろいろある
はずです。
 視覚障害者の中には、誘導してくれる人がいるとさっさと杖をたたんでしまう人も見受けられますが、それはぜひとも考え直していただきたいと思います。ぶつかられるのを防止するためのマークとして持つというだけでなく、せめて自分の足元くらい自分で責任を持って歩くべきだと考えるからです。また、視覚障害者と歩くことに、精神的に慣れていない晴眼者の仲にも、本人以上に白杖の存在が目立つのを恥ずかしがる人も見受けられますが、それもぜひとも考え直していただきたいと思います。障害者のお出かけには、安全確保が必須なのだとご理解いただければ幸いです。

 新年早々、ちょっぴり辛口のコラムになってしまいましたが、やはりこれも、常に相手を思いやる気持ちを大事にしていきたいという、私の根本的な想いですので、少し熱く語ってしまいました。

 さて、明るいジャケットに身を包み、近所までお買い物に行ってきますね。

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(「週刊福祉情報」コラムニスト・美月めぐみ)

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by amedia  at 17:36  | Permalink
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